見出し画像

Re:孤独なグルメは美味いもの知らずVOL 2

レバニラ定食を頼んだが、まだ20分も来ない。厨房では調理のベテラン女性が新人と思われるアジア系バイト君を手厳しく怒鳴りながら指導している。見た目ちょっと肥っている彼は全く要領を得ない。品出しは時間がかかり、レジには既に会計待ちのオバチャンがイライラして待っている。
よく来る中華屋、例の不味い中華屋ではない、が、今日は戦乱模様なのだ。
品出しが遅いと言うのはB級グルメにはあってはならないこと。
今までこのチェーン店の中華屋でこんな混乱は一度も経験したことがない。だから今日はレアだなと思いながらTwitterを見ていた。
ようやく来たレバニラ定食は、あれ…冷めている。
マジか。
しかもスープの味が塩っぱく更に肉は焦げていた。
やばいじゃんこの状態と思った。
が特に文句も言わずに食べた。だからいつも普通の味の店であったが、今日は不味かった。
早めに食べ終わり、そそくさと会計に向かう時、私の動きを向かい側のオッサンが見ていて、我先にとばかりにバタバタと会計に行く準備を始めたのだった。何と言う浅ましさだ。けど白髪のオッサンなのでこちらも要領が悪く無駄に手間がかかり、私の方がスムーズにレジに向かうことになった。するとそのオッサンは諦めたかのように、ふぅと溜息をついて同じ席に座り直していた。なんてアホくさい事をする奴だなと、こっちまで惨めな気分になった。
あまりB級グルメ屋では見ない光景だか、この街ではこう言うことが起こっていた。

気分を取り直してドトール珈琲で一杯飲もうと思い駅前にある所に入った。プリペイドカードでいつものようにアイスコーヒーSを注文。するとその女性がバリューからで良いでしょうか?と聞いて来た。
え?なんて?
聞き直してしまった。するとまたバリューからの支払いでいいでしょうか?と言うので、ああ…なるとほどドトールカードにはバリューポイントと言ってお金をチャージするポイントと、利用した際に生じるポイントの2系統があるのだ。それをわざわざバリューポイントで…と聞いて来たのだった。
って言うか、そんなのいちいちお客に確認する方が珍しく、通常は黙ってバリューポイントかは引き落とし、クレジットが不足している場合のみ、ポイントから支払いで宜しいでしょうか?と聞いてくるのが普通。
でもどう言う訳か、この街の駅前ドトールはわざわざそれを聞いてくるのでお客である私は一瞬混乱したのだった。
なんか個人的感想としては、実に馬鹿げた丁重過ぎるサービスだなと思った。
ドトールと言うカフェは、品出しが早いのが売り。それを損なっては本末転倒なのである。
アイスコーヒーを持って自席に付き、ストローを刺して一口含む。
ええ…何これ薄いよ。
原因は氷の入れ過ぎ。どうするか。
虫の居所が悪かったら速攻でクレーム言って作り直してもらうのだか、今日はそれをしたくなかった。だから少し我慢して飲んだ。
ああ不味いな。

30分程して甘いものが食べたくなったので、一番安価なクッキーを買った。チョコチップクッキーかぁ。
一口齧ると、うっ…甘い。甘過ぎるなぁ〜これ。
ここまでの甘さは全く求めていなかったのである。
ああ…これも不味い。 

昨日の話になるが、電車で2、3駅隣の街にナポリタン専門店がある。都心から進出して来たチェーン店だ。
私は都心にあるこの店によく行く。値段も安価でお腹いっぱいになるので好きだった。最近はミートソースも始めたようだ。
しかし東京都下のこの街の店には入った事がないので、腹具合も昭和のナポリタンを欲していたので行って見たのだった。
看板も値段も同じ。うむ、これならあの味が味わえると思った。
いつものようにナポ大を券売機で買って店員に渡す。カウンターに座り、混んではいたが流石はB級グルメ屋だけあって品出しは早い。
私はいつものようにトッピングを整えタバスコを掛けてフォークで丸めて食べた。
もぐもぐ…あれ。
あれあれ…なんか違うなぁ。
ええ〜なんで味が薄いの!
どう言う事なんだろう。明らかに健康志向と思われる薄味に非常に不満足な私だった。
味が濃いのが昭和ナポリタンなのであって、これは味を整えた令和ナポリタン。
ダメなんだよこれじゃ。ナポリタンはね、味が決まっているんです。これは日本で生まれたJAPANナポリタンなのだから、味を変えてはならぬの。オリジナルに忠実にやらねばならぬの。
都心にある同じ店では、しつこいくらいに昔のままの味の濃い昭和ナポリタンをいまだに普通に提供してくれる。だから客足も絶えない繁盛店。
なるほど、こうやって飲食店は暖簾分けすると必ずと言って良いほどその店は潰れる伝説。それを間近に見て味わった訳だ。

B級グルメと言うのは、何が大切なのかと言うと、実は美味い不味いじゃ無い。オリジナル店がもしウケていたなら、その美味いか不味いかは知らぬがそのオリジナルの味と雰囲気を継承する事。それに尽きるんです! 
それが分かってない新世代が勝手に良かれと思って味を変えてしまう。ここに大きなトラップがあり、店は撤退してしまうのである。

揚げパンの移動販売と言うのが少し昔にあったが、あれも今や全く見なくなった。個人的に思うことは、あれはね見た目は揚げパンだが、味がぜんぜん違っていた。しかも古い油で揚げているせいか、臭い。
更に軽トラの作っている奴が全くヤル気が無く、髭面で髪もボサボサで不衛生極まりない様。
どうせバイトだろうけど、あれじゃあね誰も買わんわな。  
そんな違いが少しでもあると、B級グルメ屋は途端に潰れゆくのである。


つづく

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?