今と過去③
【大学時代】
中高+浪人の失われた7年を経、ジャックナイフのように尖り切った私。桜満開の中、有名私立大に入学した。
当然、友達はいない。東大落ち意識高い系の1人として勉強サークルを片端から回り、憧れの霞ヶ関を目指す勉強サークルに入部するつもりで見学に行った。
「………………なんか違う」
生き急いでいる気がした、というのが率直な感想だ。スーツに身を固めた先輩方が、出身高校がどこだとか、国立落ち(つまり「俺は数学ができる」と言いたい)であることを語っており、各々公務員試験の科目の講義をして見せていた。
「こういう人たちが官僚になるのか」と考えた時、自分に霞ヶ関は合わない気がした。それ以来、政治や経済に関する関心は霧消した。
時には可愛いジャージのお姉さんと話したくてチラシをもらったりしながら、いろいろな団体を見て周った。
結局、選んだのはゴリゴリ体育系の部活だった。全くの想定外である。
勉強に明け暮れるつもりで入った大学。図書館で思想系の本を読んでアカデミックにかぶれたのは最初の1週間だけ。
成り行きで入った部活で4年間、実質週7日の部活に明け暮れた。教授の顔を拝む機会はどんどん減っていき、留年の危機も何度もあった。
が、なんとか4年で卒業した。
部活を中心にした4年間だった。勉強しなかったり、留学しなかったなど後悔も多い。
だが、遅きに失しつつも決断した大学受験と並び、記憶にある人生において、自分を褒めるのに十分な決断の片割れとして、その部活を選んだことが挙げられる。
失われた7年でクズみたいな性格に成り下がった自分が、(今もって欠陥だらけではあるが)なんとか社会でやっていけるくらいになれたのは、部活のおかげだ。
暗黒の中高と浪人生活を経て、4年間の充実を味わった私だが、大学卒業とともに再び暗黒時代に入ってゆく。人生は、辛い。だが、ここまでの二つの重要な決断から、重要な教訓を身をもって知った。
・自分の意思に正直であること(自分をごまかすことはできない)。
そして、
・とにかく試すこと。納得いくまで気になったことを試してみること。
まさに今も、その渦中にいる。