最後の授業

「だって自分のことを可愛がってくれるほうに行くの当然でしょう」

率直に投げかける少年の眼差しに
私も結局そうなんだよなと思って
だからたぶんきっと私この仕事は
向いてないんだなと思ったあの日

努力も苦労も絶対的に報われるってわけじゃないし
人生すんなりいく人は最初から最後までそんな感じ
その波に乗り切れなかったところから自分はすでに
人生ハードモードに突入してたような気がしていた

だけど道は一本しかないわけじゃないから
順当に敷かれたレールの上を走れなくても
目指すところに向かうためならどの道でも
生きてさえいればルートはいくらでもある

絶対的に正しいことなんて本当はごくごくわずか
世間一般に言われることが正しいとは限らないし
周りに惑わされて自分の心身を削らなくてもいい
あなたが持つ感情があなたにとっての真実だから

そう言える人になりたかったけれど
そう言うような人は求められなくて
否定と拒絶の雰囲気さえ感じられて
正解って何だろうって自問自答して

決してすべてに後悔してるわけじゃない
経験するチャンスがあったのはよかった
楽しいことも悲しいことも成功も失敗も
そして自分には難しいことと納得したし

もしもこれを最後の授業だとするのなら
伝えたいことが本当は山ほどあって困る
私にできることはもう何ひとつないから
結局人の言葉を借りることになるけれど

どうかこれからの日々で 人生で
しなやかであれ したたかであれ

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