舳先

会いたいという奇跡

友達ふたりと会う約束をした。
正確に言うと後輩たちなんだけど、学校を卒業して何年も経ち、気づいた時には完全にタメ口になっていた。末っ子で下っ端体質の私には先輩としての振る舞い方がよくわからないのでそのほうが助かる。

「久しぶりにフレンチが食べたいなー!」と言うので、フレンチの店を探す。「私も探すねー!」と言っていたが、忙しくて探せないことは分かっている。こちらは暇だし、相手の希望に合わせて店を探すのが好きなので苦にならない。彼女たちと会う時はワインが必須なので、ワインの品揃えが充実している店を選ぶ。

私から声をかけることもあるが、最近は彼女たちから誘ってくることが多くなった。年に1,2回集まるこの会が始まってもう10年近くになるんじゃないだろうか。仕事や家庭があって自由に使える時間に限りがある中で、時間を作って会いたいと思ってくれるのはとても貴重なことだ。

会いたいと思うのは何かしらメリットがあるからだ。それは単純に話していると楽しいとか、ためになる話が聞けるとか、あの人と一緒だと美味しいものが食べられるとか、そういうことだけど、お互いにメリットを享受できると認めたときに会うことができる。こちらがメリットを感じているからといって、相手も同じとは限らない。私たちは結構奇跡的なことを当たり前にやっているのだ。

私が会いたいと思っても、相手はどうか分からない。会いたいと思う人に同じように会いたいと思ってもらえる自分でいたい。

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