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【台本】名誉白人でありたい僕ら——Mrs.GREEN APPLE「コロンブス」MV騒動と戦後日本

 皆さんこんにちは、火野佑亮です。今回はYouTubeで公開されていたロックバンドMrs.GREEN APPLEの「コロンブス」というMV(ミュージックビデオ)が炎上し、13日に突如として非公開になった件について話していこうと思います。

 まず誤解しないでいただきたいのですが、僕はMVの内容を非公開にして当然のものだとも、肯定すべき内容のものだとも思っていません。僕はただ、表現の自由が平然と踏みにじられるような現状と、今回の事件から垣間見える現代日本人の自意識に対し物申しておきたいだけなのです。

 MVではコロンブスやベートーヴェン、ナポレオンに扮したバンドメンバーが、猿の着ぐるみを着た出演者に音楽や乗馬、天文学を教えるといった描写がなされていました。公式側はそういう意図はなかったと否定していますが、植民地主義や西欧中心主義的なものを読み取らざるを得ません。コカ・コーラとのタイアップ曲だと聞いていますが、ウクライナ・パレスチナ戦争に加担している会社に相応しい内容だと感じますね(笑)

 冗談はさておき、なぜ植民地主義や西欧中心主義が問題なのかを懇切丁寧に説明している人を僕は見かけていませんし、おそらくほぼ居なかったのではないでしょうか。これでは単なる教条主義であり、他者を尊重していることになりません。MVの制作には作曲したバンドのギターボーカル本人も携わっているとのことですが、音楽性についてぐらいしか物を考えないバンドマンに教養を求めるのはナンセンスです。その他のレーベルの人間についても同様です。馬鹿に消費させて食わせてもらっている人間が馬鹿であるのは当然のことです。

 話の流れから逸れますが、僕がこの件をわざわざ取り上げようと思ったのは、日本人がわざわざ白人風のコスプレをして、未開の類人猿たちを啓蒙してやるという図式に見えかねない、PVの構造を興味深く感じたからです。

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