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訪問先:コペンヒル(廃棄物発電所)

『屋上からの景色は次回のお楽しみに…コペンヒル』野口 久仁子

コペンハーゲン中央駅からバス移動15分程、バス停から歩くこと10分、大きな台形の『コペンハーゲンの山』が近づいてきた。 

大きさ・形は、昔、船橋にあった屋内スキー場ザウスのイメージ

ここは、2019年に完成した廃棄物発電所、でも、ただのそれではない。
デンマーク人の建築家、ビャルケ・インゲルスは、この場所を地域の嫌われ者の施設ではなく「誰にでも来てもらえる場所にしたい」と考えた。
デンマークの地形は山がなくほぼ平ら(デンマーク人の国民性、人々の平等感にも通じているといわれている)で、そんな山のないデンマークに山を作り、施設の屋上でスキーやハイキング、外壁でウォールクライミングが出来るようにするというビャルケの構想は、想像力と共に建築費も膨らんだが、このアイディアを「面白い!」と形にしていくところにも、デンマーク人のバイタリティが示されているように感じる。
施設屋上からコペンハーゲンの景色を眺めながらのガイドツアーに参加する予定が、当日はトラブルによる設備点検により、立ち入り禁止に。地上でガイドを受けた。
この施設には、毎日250~300台のゴミ収集車が、分別後の(リサイクルされない)焼却ゴミを運び込み、5つの近隣自治体に電力と地域暖房としてエネルギー提供をしている。
若い世代の人々は、生まれた時から基本的に身の回りにあるものが環境に優しく、ゴミの分別も上手なため、エネルギー生産に必要なゴミの量が不足しイギリスやスウェーデンから焼却するためのゴミを買っているという話は興味深かった。
山でやることを、そのままできる施設に。がコンセプトのコペンヒル。
外国に行かないとできないスキーが、ここでは手軽に楽しめる。当初、人工雪も候補にあったが、多くのエネルギーを要し、持続可能なゴミ焼却施設を作るという観点からはずれてしまうため、手入れの簡単なプラスチック製になった。

プラスチックの人工芝、転ぶと痛いらしい

緑色のプラスチックにしたことにも理由があり、外壁とプランターとの融合性も念頭においた。箱が積み重なっているように見える、外壁は3,600個のプランターが配置されていて、将来的には植物が植えられるそう。
屋上では様々な木や植物、花が育ち、ハイキングやトレールランニングを楽しめる。外壁のクライミングウォールの高さは、世界一の80m。
(職場の壁好きの人たちは、この話に最も色めき立っていた。)

下から見上げた壁、圧巻

そして、印象的なものがもう一つ。コペンヒルを運営する企業の意思表示として『CO2をつかまえる』の文字。新しいテクノロジーの開発を考えているが、開発にはお金がかかるため、表向きに出すことが大事、とのこと。
「やっている」ことだけでなく「やる!」ことの意思表示。これは、すぐにでもマネしたいところ。

意思表示は”言ったもん勝ち!”


感想『学びと人をつなぐツアー』

2月末から募集したこのツアー。3/7、11にオンラインにて説明会を行い、終了と同時に13人の定員が埋まった。その日からツアー初日まで、
「参加してくれた皆さんの『学び』への期待に応えなければ!満足してもらえるツアーにしなければ!次につながるものにしなければ!」ずっとそんな緊張感の中に居たように思う。
でも、そんなものは私ひとりが頑張ってどうにかなるものではなかった。
参加してくれた一人一人と、そしてさやかさんが、惜しみなく語ってくれた経験や想い、お互いに対話をとおして生まれる学び、みんなが作ってくれたものが残った。
9日間、よく学び、よく語り、よく遊び、よく笑い、よく泣き。
60代と10代があだ名で呼び合い、ヘルシンガーの街に地元のような愛着が涌き、次回もここに滞在したいと言い出し、「次回開催」の言葉が当たり前に出始め、別れが近づき、頭の整理に感情の説明が追い付かず、心が震える経験。
社会に貢献することを学び、人を育てるフォルケホイスコーレで、外国からの留学生をも受け入れ、そこには国の補助金も使われているのは何故?という質問に対しての言葉。
『デンマークは小さな国。だからこそ世界に目を向け、いろいろな国の人とネットワークを作る。デンマークの種を世界に蒔くことを大事にしている。』
わたしたちもこんな風に学び合えたと思える旅。
学びの種を交換し合う、旅の仲間との出会いに感謝、さやかに感謝。
共に過ごした仲間たちは”控えめに言って”最高でした。ありがとう。

最高の旅の仲間たち


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