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可愛い子には体験をさせよ??

「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがありますが、どうやらそれは科学的にみても正しいようです。

 令和2年度に文部科学省がおこなった「体験活動等を通じた青少年支援プロジェクト」という調査があります。その中には体験活動がもたらす長期的な効果についてが言及されてました。
 日頃から行っている様々な体験には一つ一つに意味があるようです。
今日はすぐに実践できそうなことから、いつかチャレンジしてみたいことまでをいくつかピックアップしてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

子どもの頃の「体験」は未来社会を担う子どもたちの健やかな成長を確かなものにする

 21世紀出生児縦断調査という、平成22年度に生まれた子どもを対象にした、家族の状況、子育てに関する意識、父母の就業状況、起床・就寝の状況、学校生活・放課後の状況などを毎年継続的に聞く調査があります。
その調査を基にして体験について研究してみたところ、体験は”子どもたちの成長にいい!”ということが分かってきたようです。

どんな体験をすると成長によいのかをみていきましょう。

自然体験は自尊感情や外向性の向上にいい!

 キャンプや登山、川遊び、ウインタースポーツなどの自然体験を行うことによって、自尊感情が高くなる傾向にあると言われています。

五感をフルに使って遊んでみよう!


 ちなみに文部科学省(2010)によると自尊感情とは、「自分を価値ある存在として尊重する感情」と定義されています。
 自尊感情の高い人は自分を肯定的にとらえることができ、自尊感情の低い 人は自分を否定的に考えやすくなるそうです。充実した生活を過ごすためには幼少期から自分のことを大切にできる力は将来にとっても重要ですよね。

キャンプを過ごした仲間を囲むキャンプファイヤー

 また外向性も高くなる、と言われています。
 外向性とは「私は自分自身のことを、活発で、外向的だと思う」などからなり、いわゆる「社交的な人」を想像してみてもらうとわかりやすいと思います。
 キャンプは自己決定やコミュニケーションの連続です。一人ではどうやっても生きていけない状況に身を置くことが多くなるので、自ずと他者との関わりも増えていくからかもしれません。自然体験をするだけで外向性が向上するというのも納得できます。

活動中に行われるミーティング。どの活動を選ぶかリーダーと子どもたちで相談中・・・


 また自然体験を含めた「遊び」という観点でとらえてみると、「異年齢で自然の場所や空き地・路地などで遊んだ経験のある子のほうが自尊感情や外向性が高い」ということもいわれています。

知恵とアイデアが子どもたちの遊びを大きくしていく


他にも様々な体験が子どもたちを立派にする!

自然体験以外にも「体験」はありますよね。
例えば、読書
読書は新しいことに興味をもつ「新奇性の追求」や自分の感情を調整する「感情調整」などの精神的な回復力が向上すると言われています。
よく、本は自分の世界を広げてくれるといいますが、様々な本との出会いが自分を豊かにしてくれることは間違いなさそうです。

文字が読める小学生が幼児さんへ読み聞かせ


小さいときは誰でも通る「お手伝い」にも効果が!

 頑張るとお小遣いがもらえたり、約束したお手伝いをしないでカミナリが落ちたり、誰しもお手伝いには思い出があると思いますが、お手伝いには向学校的な意識 ・自尊感情 ・外向性 ・精神的回復力(新奇性追求、 感情調整、肯定的な未来志向) ・心の健康とすべての意識にいい効果が見られたそうです。
 この結果として、お手伝いを経験した人の多くがは「誰かの 役に立つ」、「他者から褒められる」という経験をしており、そのことがその後の意識等に影響している、 という可能性があるのではないかと考えられています。
家庭の中ですぐにできる体験ですね。

お手伝いすることある?と自ら動く子どもたち

「体験する」ことの考え方

最後に。
一つ一つの体験を「よりよいもの」とするためにいいことがあるようです。
それは、感情が動くようなものにしてあげること体験から気づきや学びを得られるようにすることです。

 感情が動くようにというのは、例えば友達と何かを成し遂げられて「うれしい」と思ったり、喧嘩をして「悔しい」「悲しい」と思ったりするようにそこに自分という主体があることが大切なのだそうです。

 また体験からの気づきや学びについては、それを引き出してくれる大人の存在が必要かもしれません。体験したことの内容を聞いてくれる人や、想いを共有してくれる人がいると体験の質も向上していきます。

一つの体験にこだわらずに様々な体験を!

 どうやら自然の中にずっといるだけだと、それはそれで向上できる部分にもかたよりが起きてしまうそうです。
 職業体験やボランティア、音楽や美術館鑑賞などの文化的体験など幅広い体験をすることによって健やかな成長につながっていく、と様々な調査結果がサポートしています。

 先の見えない世の中だからこそ、読めば読むほど、あれもこれもと多くのことを子どもたちに経験させてあげたいと思えるようなレポートでした。
 加えて、多くの文献には「質も大切」と説かれています。
”ただやる”だけではなく、体験をする前のドキドキから実際に体験してみて感じたことを言葉にしてみたり自分で振り返ったりする時間もまた、子どもたちを強くするのだということを学びました。 
 子どもたちの体験一つひとつは、ちいさな種かもしれませんが、やがてそれが自分を支えてくれる大きなものに繋がっているプロセスなのですね。

以下参考文献です。読みやすい形にまとまっているものも掲載しておくので、読みやすいものからぜひ見てみてくださいね!

記事:井上えっぴ
   ーひの自然学校ブランドバリューマネジャー

ー参考文献ー
令和2年度 青少年の体験活動の推進に関する調査研究 報告パンフレット(概要) (mext.go.jp)

154817135.pdf (core.ac.uk)

令和2年度 青少年の体験活動の推進に関する調査研究 報告書(全文) (mext.go.jp)

kodomoseityo.pdf (niye.go.jp)

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