僕らの夏休み!~ひの自然学校職員の夏休み~【わか編】
ひの自然学校 サステナブルレスポンシビリティマネージャーの“わか”こと若泉です!今年のサマーキャンプ、気温もココロも“アツい”キャンプになりましたね~!今年もたくさんの挑戦と想い出をありがとうございました!
子どもたちの夏休みが終わると、我々職員にもようやく夏休みがやってきます。今回はそんな我々の夏休みをご紹介させていただきます!
諸事情により急遽予定の空いた2泊3日、迷いすぎて直前まで何をしようか決まっていませんでしたが、夏休みの想い出にふけっていると、ふとひの自然学校の清里大草原キャンプでよく利用している施設「山梨県立八ヶ岳少年自然の家」から一望できる“八ヶ岳”が頭の中をよぎりました。
「あ、そうだ、八ヶ岳を全部縦走してみたい…」
コロナ禍で遠のいていた“山に行きたい欲”がここにきて再燃!八ヶ岳は2000m級の山々が南北に連なる名峰で、過去にそのいくつかには登頂経験がありましたが、北から南まで繋ぐ縦走はしたことがありませんでした。ふとテント泊が頭をよぎりましたが、今回の山行日数と危険個所の有無から山小屋泊で挑戦することにしました。
【1日目】蓼科山~双子山~双子池
まずは北八ヶ岳の最北端「蓼科山」からスタート!登山口は現在閉鎖になっている「女乃神茶屋」のある蓼科山登山口から入山。この日の難関はこの蓼科山で、登山口から約800mの高低差を登りつめなくてはなりません。まずは熊笹エリアを黙々と歩くのみ。想定外だったのが気温と湿度…。登山口がすでに1700m地点なので涼しいかな、と思いきや暑いこと暑いこと…。一昨年も同時期に訪れたのですが、ジメジメ感がまったく違うように感じました。(とはいえ、高原ですので下界に比べれば涼しいのですが…。)
熊笹エリアを抜けると徐々に落差の大きいゴツゴツした岩場が増えてきます。バテバテになりながら登りつめていくと、ようやく「蓼科山」に到着!
蓼科山は成層火山によって生まれた山で、諏訪市方面から眺めると美しい円錐型をしていることから“諏訪富士”とも呼ばれているそう。山頂はブロック状の溶岩がゴロゴロしており、樹林が育っていないため360°の大パノラマ。一面岩だらけで異世界に来た気分!
その先「双子山」を超えると、今回の目的地「双子池ヒュッテ」に到着。今日はここに1泊です。「双子池」というステキな池を望むことができる山小屋、池を眺めながら今日の自分へご褒美です。
今回は夏休みの自分へのご褒美山行ということもあり、山小屋では自炊ではなく、山小屋の提供食を夕食にしました。山小屋のお料理は意外にも豪華!!疲れが吹き飛びますね~。
【2日目】北横岳~縞枯山~麦草峠~天狗岳~夏沢峠
2日目は早朝4:30起床の5:00出発。この日の行動時間は10時間半の予定だったので、なるべく早めに出発します。前夜から出発前ギリギリまで雨が降っていましたが、僕が出発準備をしているとお天道様が忖度をしてくれたのか、すぐに止んでくれました!
今日の難題は3日間の中で最も距離を歩かなくてはならないということ。およそ17㎞をこの1日で歩き切らなければなりません。まず目指すは「北横岳」。途中の「亀甲池」の景色と朝の霧がかった空気が何とも気持ちがいい!そんな環境に背中を押されながら「北横岳」に到着!早朝の山頂からの景色は、雲が低く最高の眺め。
その先を進むと、「三ッ岳」というピークとその巻道の分岐に差し掛かります。この「三ッ岳」、実は北八ヶ岳では稀にみる岩場コースになっています。それ故に、分岐のところには「この先、岩場で危険です。」の看板が設置されています。こういう看板を見ると、冒険心がくすぐられてしまうんですよね~(笑) その時点では心身ともに余裕があったため、予定していなかった「三ッ岳」を経由することに。しかし、この選択をあとで後悔することになります…。
進んでいくと徐々にゴツゴツした岩場が出現してきます。そしてまさかの鎖場まで出てきました…。そして昨夜までの降雨により滑る滑る…。かなり慎重に通過したため、まだ序盤にも関わらずここで大きなロスタイム。「岩場+雨=滑る」ということぐらいわかったでしょ、と猛反省。事前の計画の甘さを痛感しました…。
しかし、そんなことは言ってられません。先を急ぎます!次に見えてきたのは「縞枯山」。その名の通り、木々が立ち枯れたり、倒れたりすることにより、遠くから見ると縞状の模様にみえる“縞枯れ現象”が見られる山です。
足はガクガクで、序盤の岩場がよく効いているみたいです。ホント後悔…。そこから登り下りを繰り返すことおよそ5時間。次の目標ピークである「東天狗岳」に到着!天狗岳は東西二峰から成り立っており、最高ピークは「西天狗岳」。時間にも体力的にも余裕はなかったのですが、ここまで来たら行かねば!およそ20分かけて東西を往復しました。
そしてまたいくつかのピークを経由して、いよいよ本日のお宿「オーレン小屋」に到着!予定よりも1時間半押し。激しい上り下りで膝は痛いし、足の裏にはマメができるし、もう心身ともに疲労困憊…。
しかし、そんな僕に救いの手を差し伸べてくれたのがこの「オーレン小屋」! 基本的に山小屋での宿泊は相部屋が基本なのですが、なんとド平日ということもあり、1人の宿泊ながら個室対応!しかも、この山小屋、ヒノキ風呂付! 2日目もご褒美ビールを片手に豪華夕食を食べ、疲れを癒しました。
【3日目】硫黄岳~横岳~赤岳~権現岳~編笠山
3日目にして鎖場・ハシゴなどが連続する岩場になっている八ヶ岳の核心部を通過予定。昨日の反省も活かして3:30起床、4:00出発に予定を変更。事前にゴール地点である観音平登山口にタクシーを手配していますから、この日も遅れるわけにはいきません…。
「いざ、出陣!」と気合いを入れて出発するも、朝早すぎて真っ暗闇…。1人だとやっぱりちょっと怖いっす…。ヘッドランプの灯りを頼りに先に進みます。間もなくすると日の出を迎えました。昨日よりも早い出発だったので、稜線で日の出を眺めることができました。早起きの特権ですね。そして「硫黄岳」に到着!
そしていよいよここから先が核心部。鎖場やハシゴが連続する区間で、油断して転倒でもすれば、命を落としてしまう危険個所が多数存在します。ヘルメットを装着し、改めて装備を確認して目指すは「横岳」!
鎖場やハシゴはもちろん、高低差のあるゴツゴツとした岩場を慎重に登っていきます。実際にその場に立ってみると、その高度感に息をのみます。「落ちたら死ぬぞ!」と自分に言い聞かせながら常に緊張感をもって前に進みます。集中して登っていたのかあっという間に「横岳」に到着!
そして次はいよいよ八ヶ岳の主峰「赤岳」です。この辺りは斜度・落差のある岩場が多いため、1つの転倒が滑落、大けがに繋がります。また、脆い石も多いことから落石の危険性もあります。自身が落としてしまわないように注意しながら歩きます。感覚的に40°以上あるんじゃないか!?というような最後の壁を乗り越え、ついに「赤岳」登頂!3日間で一番いい天気で山頂からの眺めを見ることができました。
残す大きなピークは2つ!ここまでとてもいいペース。しかしながら、すでに膝はガクガク、足の裏には多数のマメ。赤岳から今日のゴールまでは残り10km弱、標高差1300m、数値を見て愕然…。まぁ、歩くしかないんですけどね。(笑) 大きな核心部は抜けましたが、ここから「権現岳」にも数か所、危険個所があります。特に赤岳からの下りは浮石が多め。足元を慎重に見ながら先に進んでいきます。下りでありながら、ザレ場(不安定な石が積み重なっている場所)、鎖場、ハシゴの連続で足への負担大。しかも、ちょっと雲行きが怪しくなってきた…。休みたい気持ちを抑えて先に進むと「権現岳」に到着!
さぁ、残すピークはあと一つ。「疲れと油断から下りは事故が発生しやすいぞ。」と再び自分に喝を入れて進んでいきます。とどめの鎖場と浮石に四苦八苦しながらも何とか峠に到着。目の前にはだかるのは最後のピーク「編笠山」です。初日に登った蓼科山を彷彿とさせる大きな岩がゴロゴロとした岩場が続きます。「これが最後のピークだ!」という心を奮い立たせて登りつめていきます。そしてようやく「編笠山」山頂に到達!山頂はすでにガスの中で景色は望めず…。しかし、たとえ晴れていても景色を眺める心の余裕はなかったでしょう(笑)
そしていよいよ最後の下り。標高差およそ1200mを一気に下山します。下りだからと言って侮ることなかれ!山頂からの序盤は高低差の大きい岩場が約1.5km続きます。これが疲れた体と痛めた足によく響く!「これを下り終えれば挑戦達成!」と心に何度も言い聞かせてひたすら降りまくる。下山すること3時間、今回の山行のゴール地点「観音平」に到着しました!疲労感と達成感が一気に押し寄せ、久々の山縦走に感動していました。
活動の記録はこちらから👇
タイム:28時間57分(2泊3日) 距離:39.6km
獲得標高:上り/4145m 下り/4303m
あまりにも辛かったのか、縦走を終えてすぐ「もうやりたくない…」気持ちが大きかったのに、あれから1か月ほど経った今、なぜかまた縦走したい願望が出てきてしまいました…。次は南アルプスかな…? 八ヶ岳よ、たくさんの想い出と経験をありがとう!
ひの自然学校サステナブル レスポンシビリティマネージャー
若泉わか
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