見出し画像

雪の降る場所に住むよさを考える【檜原村こよみだより・2月】

都心を含め関東の広い範囲で雪が降った2月10日、檜原村では大雪が降りました!都心と比べると標高が高く、冬は気温が下がる檜原村ですが、ここまで雪が降るのは数年に一度なのだそうです。

役場前の交差点の様子

雪は朝から日没を過ぎるまで降り続け、仕事を終えて帰宅する頃には、一面に銀世界が広がっていました。木々に雪が積もった様子は、幻想的で本当に美しかったです。

役場の周辺は、役場職員で力を合わせて雪かき!私は雪かきの経験がほぼなく、あまり手際がよくなかったのですが、先輩方は熟練した手つきで雪をぐんぐんかいていました。

翌朝はどこの地域でも、朝から雪かきタイム。都道や村道には除雪車が通るものの、その他の狭い道には除雪車は通りません。私が今住んでいる家は、幸いにも目の前に村道が通っているので、そこまで雪かきが必要ではありませんでした。

そのため朝はのん気にゆっくりと起き出してしまったのですが、集落の上の方の道は、なんと途中から村道ではなくなるそうで(!)、私の上の方に住んでいる方は家の前を自ら除雪機で除雪していたそうな…。来年は、上の方に住む方々の雪かきをぜひとも手伝わねばなるまい、と思いました。反省です。

私の集落に住む方々の多くはご高齢なので、こういうときこそ、若い力の発揮のしどころなのです。(都心に住んでいると、アラサーである私は自分のことを「若い」だなんて堂々と言えませんが、檜原村に住んでいると、自信を持って自分のことを若者だと自称できるのが、ちょっと嬉しかったりもします)

私の住む集落は、檜原村の中でも世帯数が最も少ない集落の一つで、家と家との距離が少し離れています。しかし、別の協力隊員が住む集落では、家と家との距離が近いため、朝から集落の人たちみんなで協力して雪かきを行ったそうです。誰かが雪かきをしている音が聞こえると、みんな少しずつ家から出てくるのだそうな。

私の家の庭の様子。不覚にもキャンプチェア出しっぱなしでした

雪が降ったのは金曜日で、もともと村内の方との食事会が予定されていました。ずっと楽しみにしていた会だったのですが、残念ながら雪のため中止に。それでも、雪で身動きが取れないからこそ、なにもしない時間を堂々と満喫できる、という側面もあるよなぁと思います。

福島の奥会津に住む私の友人が以前、こんなことを言っていました。「冬は、いろいろなことが諦められるからいいんだ」と。

彼の住む地域は、冬になると家の二階部分まですっぽり雪で覆われてしまうほどの豪雪地帯。家から外に出られるよう、最低限の雪かきは毎日するそうですが、それでもやはり、雪によって行動はかなり制限されてしまうそうです。でもだからこそ、なにもしない自由を得られるのかもしれません。

私が自然の近くで暮らしていて感じるのは、「春夏秋冬、変わらずに同じリズムで生活しているのって人間くらいなんじゃないか?」ということです。

冬には、草花も動物も虫たちも、とても静かに、大人しくなります。一方で私たち人間はなぜだか、春夏秋冬、365日、同じスケジュールで、同じパフォーマンスを出し続けられるという、謎の幻想を持っているような気がします。でも私は、30度以上も気温が変わり、最大で5時間も日照時間に差があるのに、それが私たちになんの影響も及ぼさないわけがないのでは?と思ったりするのです。

だから、こうして冬がちゃんと寒く、雪も降るような場所に暮らせて、私は嬉しく思います。ちゃんと寒さや雪のせいにして、休日は家でただただぬくぬくすることが許されるのを、とても贅沢に思います。

とはいえ2月も終わりを迎え、最近は春に向けて少しずつ気温が上がってきました。冬はしっかりのんびり休んだので、春からは気合いを入れて動いていきたいと思います!

text by 高野優海(檜原村地域おこし協力隊)