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今年の28本目

今年の28本目、東京物語、観ました。

冒頭、東京へ向かう老夫婦が旅支度をするシーン。背を丸め、同じ姿勢で同じ方向にポツポツと語る2人が相似形に配置されます。

この相似形は、その後も度度描かれ、観客は、それをあるべき姿として自然に受け入れていきます。でも、その安定は、妻の死によってあっけなく崩れます。

冒頭と同じ部屋で、残された夫が1人、背を丸めて座るシーン。そこには相似形としての妻の姿がありません。

あるべき存在の欠落によって生じる不安定さが構図によって語られます。Ozu生誕120年・没後60年の日に彼の映画を観ている私も、何かの喪失を味わいます。

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