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踊り子号(1)

踊り子号で伊豆を目指します。列車は、早い春を先取りする旅に向かう乗客で混み合っていました。東京駅から乗り込んで、私の座席を探します。

進行方向に向いていた座席をひっくり返してこしらえたボックス席の、7人連れのオジサン・オバサンに占拠されなかった残りの通路側7Bが私の席でした。

何かの同窓生らしい一行の会話が耳に入ります。会話の中心は、8Bと8C。聞き役が7C、8Aと8D。あとは会話の同心円からはみ出し気味の7Aと7D。

「若い頃の力関係や役回りは、年を取っても変わらないんじゃないだろうか」と勝手に面白がりながら、完全アウェイの状況での2時間半の旅が続きます。


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