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ショートショートのようなもの

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2000文字程度のお話しです。 それぞれに出されたお題を入れて書いたものです。 後から文字数を増やしたお話しあり。
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2022年11月の記事一覧

お題 働く妖精の一日 2000字以内。

お題 働く妖精の一日 2000字以内。

 私は弟の創にお話を聞かせるのが大好き。創も楽しみにしている。さあ今夜も始まるよ。
✴  
 妖精の国ベルレーナ。
沢山ある妖精の国の中で、ここベルレーナは歌、ダンス、お芝居、ご本を作る国。今朝も妖精は一生懸命お仕事を為ているよ。
創君は木陰から見てて。
「だからこの歌はこのダンスに合わない」
「どうして? 私は良いと思うよう」
そう言うと、桃色の羽を付けた妖精が楽しそうに飛び始めた。
それを呆れ

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やっと言えた

やっと言えた

 お前の理屈で言い負かされたけど納得してない。寂しい。そりゃそうだろが、お前の温もりが恋しくて俺だって泣くんだ。
 お前の欲しい言葉が言えなくて愛想尽かして出て行った。
でもなぁ言わなきゃ駄目か。気持ちは伝わらないのか? お前が傍にいるだけで嬉しいよ。お前は? 同じだと思っていた。
 本当はこのクリスマスにプロポーズするつもりだった。
だからお前に内緒で「音声燻製」マシーンを買ったんだ。吹き込んだ

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儚さは微塵も無い僕のマーメイド お題  夜明けのマーメイド 2000字以内

儚さは微塵も無い僕のマーメイド お題  夜明けのマーメイド 2000字以内

 息子が真剣に仕事を為ている。
私にとってこの上もない喜びだ。
「蒼、上手く行ってるか?」
「上々だよ。昨日教えて貰った裾のドレープが綺麗にできた。どう?」
「うん、良い出来だよ。これならニ日はかからないな」
 波華、蒼は良い職人になるよ。見てるか? 病室で私が涙した時、お前は力ない声を振り絞って
「母は太陽。夜明けから陽が沈むまで見えてるから。寂しくないよ」ってな。
見てるか……そうだよな。

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お題 忘れられた城  第13番聖典    俺は再起出来るのか

お題 忘れられた城  第13番聖典    俺は再起出来るのか

2000字以内
 目の前に何かが落ちて来た。
危ねえ! 上を見たが、そこに見えたものはどんよりした空だけ。オフィス街で物が降ってくるなんてねえよ。
俺は足元に落ちてる手帖を拾った。スマホのアラームが鳴る。
アポの時間か、これから四件の営業だ。
拾った手帖を上着のポケットに捻じこみ、俺は戦いに向かった。
「お疲れ様です。成果は?」
後輩の本木に声をかけられた。
「本木くん? 桐山だよ!四件頂きました

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