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お題 働く妖精の一日 2000字以内。

 私は弟の創にお話を聞かせるのが大好き。創も楽しみにしている。さあ今夜も始まるよ。
✴  
 妖精の国ベルレーナ。
沢山ある妖精の国の中で、ここベルレーナは歌、ダンス、お芝居、ご本を作る国。今朝も妖精は一生懸命お仕事を為ているよ。
創君は木陰から見てて。
「だからこの歌はこのダンスに合わない」
「どうして? 私は良いと思うよう」
そう言うと、桃色の羽を付けた妖精が楽しそうに飛び始めた。
それを呆れて見ている水色の羽を付けた妖精。
「あのさ、ハロウィンでみんなを驚かすのに、可愛い曲は合わない! もっと怖くてもっと恐ろしのにしないと」 
突然創君が手をあげた。
「えっお姉ちゃん! 僕お話の中にいるの?」
「うん。今夜のお客様だもの。質問でも何でもして」
「やった!」
創君は立ちあがると、
「はい! 質問!」
「はい! どうぞって、あなた誰?」
「僕、人間の国からきました。
創です。よろしくお願いします」
「今日もお客様がきてるんだ。よろしく。ところで質問って?」
「あの、妖精さんは一日中お仕事してるの?」
「勿論。特にお祭りがある時は一日中働いてるよ。音楽決めたり、ダンスを考えたり、楽しい事一杯考えるんだ。それにご飯だって食べるし、昼寝もする。後おやつ! 寝る時間は九時。夜から朝まで仕事する妖精と交替ね」
「大変だね」
「うーん、でも、僕たちがこうやって考えた事を、悩んでいる人間さんたちの頭の中に落としていくんだ。そうするとそこから色々なお話や音楽、ダンス、お芝居が生まれる。その時のみんなの嬉しそうな顔を見ると、またやるぞって思うよ」
そっかぁ、そうやって素敵なものが出来あがるんだ。
「また質問! それは僕にも落としてくれるの?」 
妖精は笑いながら
「勿論! 良いこと考えた! とか、閃いたとかあるでしよ! それそれ、ただしそれをどう素敵にするかは君次第。僕たちも毎日仲間と色々話しながら、少しでも素敵なキラキラを考えているんだから」
「そうなの。どんな小さなキラキラでも、これだって喜んでくれると嬉しい! そしてそのキラキラを貯めていると、突然大きな大きなキラキラに変わったりするの。それを見るとまた嬉しくなって頑張る!」
リリリンリン。
「何?」
「お昼ご飯だよ。一緒においでよ」
妖精が手を取ると僕はスーッと舞い上がった!
「凄い綺麗!」
桃色と水色が一杯フワフワしている。そしてキラキが沢山散らばっている。他の妖精さんが歌ったり踊ったり演奏したりしている。
 ご飯は妖精の口に合わせて小さかった。ほんの小指程のお皿にパンや果物が山盛り。僕を見て水色の妖精が棒を一振り。するとあっと言う間に僕の口に合う大きさになったんだ。これって魔法? 凄いよ初めて見た。
「では頂きます!」
楽しい楽しい時間。それにとても美味しかった。みんなで少しお昼寝もした。僕が目を覚ますと、もうみんなは仕事を為ていた。
本当働き者の妖精たち。
「そのバラでチュチュを作りましょう! 香りを混ぜることが出来るようにするには……」
「子供カーニバルには、この本でお芝居したら楽しいよね。急いで台本作ろう」
「そうだね! そしてお月様を出して。そうだ! まん丸お月様を三日月になるまで食べちゃうシーン入れる?」
とか!もう楽しい事が次から次へと溢れでる妖精たち。そう言えばさっきのハロウィンの話しの続きはどうなったのかな?
耳を澄ませると聞こえてきた。
「だからね、こわい音楽の題名は? 何よ」
「えっとね、えっと」
僕は思わず
「禿げ山の一夜」
妖精たちは驚いて振り返り
「はげたのは一夜? って何」
違うよ! もう禿げ山の一夜!
これは怖いよ~」
妖精たちゲラゲラ笑うと
「知ってるよ! ちょっと揶揄ったの。そうだねそれがいいよ。君のキラキラだよ! 誰がキラキラに気付いてくれるかな。落とす場所、ひとは、沢山あるし。誰かに届けば良いね!」
ワクワクする。僕のキラキラかぁほら! あの人悩んでるよ。スタッフと意見が合わないんだ。
「アニメから選ぶのは如何かな。一瞬何が起きたかって思わせたいんだ。俺は違う何かが良いんだよ」
「じゃあ言ってくださいよ。具体的に」
「ど忘れした。すぐ言えれば苦労しない。少し考えるから待てよ」
僕のキラキラを落としてみることになった。出来たてホヤホヤのキラキラを。
「見てて」
水色の妖精はスーッと消えた。あっ! あれ? 小さい光がキラッと瞬いて消えると、その男の人は突然立ち上がりその場でスマホを弄り始めた。
「これこれ! 禿げ山の一夜! 聴いてくれ」
スタッフはスマホを見つめている。中のひとりが
「良い! イメージピッタリ!」 
みんな笑顔だ。水色の妖精が得意げに帰ってきた。
「幸せ感じた?」
「感じた!」
眠気を我慢しながら聴いている創も可愛いけど。
「続きは明日ね」
「絶対ね! 約束」
指切りをさせられる毎日が幸せだよ創ちやん。
私もキラキラ欲しいよ妖精さん!
「了解。また明日は運んでくるからね」

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