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記憶喪失

 男性が記憶を失っている間がどれくらいあったのか、女性の悲しみと苦しみがいかほどだったのか、私には知るよしもありませんが、男性が目覚めるその瞬間までその女性はこれまでの二人の時間がどれほど大切だったのか思いを巡らせることでしょう。

 そしてその後、女性は同じく記憶を失うわけですが、その男性はその瞬間、そして当面は自らの不幸を嘆くでしょう。

 しかし、時が経つにつれ、女性と同じくこれまで当たり前に思っていた日常の幸せがどんなに大切で、どんなに尊いものだったのか思い知ることになります。

 そして彼女が目覚めたとき、男性は過去の二人の想い出をなんとか思い出して欲しいとチャレンジします。

 しかし、ひらひらと舞い落ちる粉雪は、彼女の悲しみを、そして男性の絶望を静かに見つめながら、二人の距離を次第に遠ざけていきます・・・

 男性は彼女の記憶が戻らないなか、やがてこう思うようになります。ここからまた二人の新たなベージを作りはじめようと…

 二人は出会った頃のように一つ一つ二人の想い出を作っていきます。

 そして二人の心の距離が近づいていき、男性は女性に改めてプロポーズします。そう想い出のあの場所で…

 そのとき、ひらひらと舞い落ちる桜の花びらは、彼女の頬をピンク色に染めながら、二人の距離を次第に近づけてきます。

 彼女はそのとき、涙を流しながらこう言うのです。
 「今までありがとう…そしてこれからもよろしくお願いします…」

 男性はその答えを聞き、むせび泣きます。

…果して彼女は記憶が戻ったのでしょうか?

一体、誰が不幸で、誰が幸せなんでしょうか?

その答えはあなたの心のなかにあるのです。

#レイチェル  #例えば淡く身を焦がし合う番いがいたとして

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