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やり直せるならもう一度あの恋を~第2話~

「~~ま、~~しま。おい、辛島ーー、起きろ」
聞き覚えのある声が俺を呼んでいた。
俺は目をこすりながら体を起こした。
すると目に入ってきたのは懐かしい光景だった。

「これは、夢……なのか」
俺が入学した明和文化学園めいわぶんかがくえん高校の教室だった。
教室を見回すと、高校一年生のときとそっくりそのままの光景だった。
そして教室の一番後ろの端の席に座っている彼女が、俺には一際ひときわ目立って見えた。
彼女の名前は金園かなぞのゆい。
そう、彼女が俺にとって忘れることのできない、未練たらたらな人生三度目の恋の相手だ。

ゆいに見とれていると、
「おい辛島、起きたと思ったらぼーーっとして。一年の五月でこんな授業態度じゃ先が思いやられるぞ」
と嫌みっぽく言われた。
そう、俺に対して嫌みを言っているこの男性。この男性が担任の松野智哉まつのともやだ。
そして俺はこいつのことがこれでもかという程に嫌いだ。
何かあるとすぐ俺に突っかかってくる。それがすごいめんどくさい。
松野がこの教室にいるということは、今は古典の授業中ということか。
「すみません」
俺は空謝からあやまりをした。
すると松野も分かればいいんだと少し威張りながら授業を再開した。
しかし今の俺の状況では全く松野の授業は頭に入ってこなかった。
俺は今の状況を整理することにした。

「確か俺、帰り道の駅のホームで清水先輩に突き落とされて死んだはずだよな。でも今、生きてるよな。夢なのか、それともタイムスリップでもしたのか」
周りには聞こえないように一人でぶつぶつと呟いていた。

すると後ろから、よく聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「本当に悪かった……」
後ろを振り返ると、幽霊になった清水先輩がいた。
「清水先輩! どうしてここに? それよりなぜ幽霊に?」
俺を殺した清水先輩が幽霊としてここにいて、さらにこの状況が理解できなくなってきた。
「一旦、俺の話を聞いてくれないか」
清水先輩は俺を落ち着かせようとした。
「分かりました。でも自分も清水先輩に言いたいことがあるんで。まずは先輩の話を聞きます」
先輩と話していると、気付かない内に徐々に話し声が大きくなっていた。
「辛島、何一人で喋ってるんだ。周りに迷惑かけるなら教室から出て行け」
するとまた松野が俺に突っかかってきた。しかし今回は松野の方が正しい。
「すみません」
今度は平謝ひらあやまりをした。
また松野は少し上機嫌になって授業を再開した。

「それで先輩。話って」
気になって催促さいそくした。
すると先輩は、俺に申し訳なさそうにしながら話し始めた。
「あぁ。今のこの状況、夢じゃねぇよ。でも、お前は確かに死んだ。俺が押したから。この目で見たから。そしてお前はタイムスリップして、この時代に来たんだよ。辛島、お前後悔してることがあるんだろ」
清水先輩は俺よりも今の状況を理解していた。
「はい。それで清水先輩の話は終わりですか?」
清水先輩の対して積もり積もった思いを、俺はぶつける準備ができていた。
「あぁ」
「じゃあ言いますね」


つづく

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