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#62 子どもに「人に迷惑をかけるな」とは言ってはいけない?
僕自身も子どもの親であり、教え子たちも実の子どものように大切にしています。
だからこそ、今、僕は、お子さんを育てるお母さん・お父さんに、また、誰かを育てる立場にある人に言いたいのです。
ごくありふれた言葉が、大事な人の未来を奪っているかもしれないですよ、と。
"大事な人の未来を奪っているかもしれない"
なんて、怖いこと言わないで下さい!と思いますが、一体どういうことでしょうか?
今回は『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』という、ちょっと気になるタイトルの本をご紹介します。
著者は、有村架純主演で映画化もされた『ビリギャル』の生みの親、坪田信貴さんです。
坪田さんは、大学で学んだ心理学を活かし、塾講師としてたくさんの生徒さんを指導してきた経験の中で、
「親が子どものためを思って口にした、ちょっとした言葉が逆効果になっている」
場合があることに気付いたそうです。
本書では、つい子ども達に言ってしまいがちな要注意ワード28個と、それらの言い換え方を紹介しています。
「そんなに言ってはいけない言葉ばっかり紹介されても、うんざりするわっ」
と思った方もいるかもしれません。
確かに、子ども達との会話の中で「これは言ってはいけない」「あれも言ってはいけない」と禁止事項が多いのは疲れますし、そもそも逐一気を付けるのも不可能な話だと思います。
ですが、「言葉」の力は時に絶大です。
使い方によっては「救い」にもなれば「凶器」にもなり得る。
だからこそ、子ども達に向けて発している日々の「言葉」をもう一度振り返り、
「未来を奪っている可能性はないのか?」
と自問自答してみることには意味があると思います。
特に考えさせられるのは、タイトルにもある「人に迷惑をかけるな」という言葉についてです。
私たちを強烈に縛る「他人様に迷惑をかけてはいけない」
この言葉、今この投稿を読んでくださっているあなたも、親や先生から口酸っぱく言われませんでしたか?
ですが著者曰く、これが真っ先にやめたい声掛けだそうです。
「迷惑をかけないで生きる」ということは、ほとんど「生きていない」のと同じだと思います。 生きていればいろいろな失敗をすることはあります。人間誰しも間違うことはあるし、それを周りの人にフォローしてもらいながら生きています。(中略) それなら、「人に迷惑をかけて助けてもらった分、誰かにお返ししていこう」と考えるほうが健全です。
著者は「ゴミをポイ捨てする」とか「映画館や図書館で大声で話す」といった、いわゆる「迷惑行為」を容認しているわけではありません。
人は助け合いながら生きている以上「人の手を煩わせる」「人に手間をかけさせる」ことはある意味当たり前であり、それを完全になくそうとすることに無理があるのではないかと言っているのです。
「人に迷惑をかけてはいけない」という思い込みは、自分から行動するのを抑制する方向に働きます。
それによって、何か困ったときに人に助けを求められなくなり、
本当は「やりたいこと」「言いたいこと」も遠慮しがちになってしまうそうです。
子ども達に「迷惑をかけるな」と刷り込むことは、
「人に助けを求めてはいけません」
「やりたいことを我慢しなさい」
と暗示をかけるようなものなのかも…そう思うとゾッとします。
本書をしっかりと読んでいくと、"大事な人の未来を奪っているかもしれないですよ、" も大げさではないと感じます。
『ひなたの本棚』とう個人ブログで、さらに詳しい解説記事も書いていますので、興味を持っていただけた方はこちらも読んでみてください。↓↓
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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