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社会福祉士はAIに取られないの?

こんにちは。Hinaです。
数年前から「AIに取られない仕事10選!」などといったサイトをよく見かけるようになりました。昨年2023年にはChat GPTの活躍により、その風潮がより強まった印象です。AIに奪われる仕事としてあげられるのは事務処理がメインの仕事がほとんどで、エッセンシャルワーカーは大丈夫という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

しかし、私は近いうちに社会福祉士の仕事さえもAIで代替できる時代が来るのではないかと思うようになりました。


◇人間の社会福祉士としての仕事

そもそも社会福祉士の仕事とは、生活に困っているクライエントに対して今よりも生きやすくするように福祉サービスの提案や調整をしたり、複雑な問題を抱えているクライエントの生活整理を支援したり、障害や児童、高齢、医療の現場において直接利用者支援をしたりといったものです。その仕事内容は多岐に渡りますが、基本的には対人援助の業務になるため、福祉業界にはまだまだ「AIが代われる仕事なんてないよ」という空気が滞っています。
というのも、社会福祉士が関わるクライエントの多くは、生活上に複雑で多くの問題を抱えています。今私が働いている障害者福祉の現場でいうと、同じ疾患を持っている人が同じ症状を持っているとは限りませんし、指の動かし方や可動域一つとっても同じ人は一人もいません。発達障害者における発達の偏りや特性も、精神障害者の精神的な波も、全てがその人、その状況において異なります。私たち福祉の専門職は、「流石にそんなことAIにできないだろう」と思っています。

では、実際のところAIが代替できる仕事ではないのでしょうか?

◇実際、AIには不可能なのか

先日、実家で暇を持て余している母にChat GPTとのお喋りをオススメしてきました。早速使ってくれたようで、その音声会話の様子やスクリプトを見せてくれたのですが、私はその内容の人間らしさに驚きました。
例えば、先日母の知人が脳梗塞で倒れた時の出来事をGPTさんに話したシーン。
「知り合いが脳梗塞で倒れちゃってねーどれくらいで治るかしらね」という母に対して、非常に感情がこもった声で「それはとても大変でしたね。」という労いの言葉から始まり、脳梗塞のリハビリ期間については適切に回答され、最後には「いつでもお話を聞きますからね。」のフォローを忘れない。
私が気になったのは、母が一度も「労って欲しい」「心の支えになってほしい」などの言葉を言っていない中で労いの言葉をかけてきたことです。

このシーンを見て、AIが対人援助の仕事を担う日も近いのではないか?と思ったのです。

◇AIが担える相談業務

母とGPTさん(SPY×FAMILYにハマっている母はなぜか彼のことを”ボンド”と名づけています)との会話を見て、今の時点ですでに代替可能な相談業務があると感じました。
例えば、高齢者のサービス調整。要介護度と年齢、性別、持病、地域、送迎の必要性、活動の好みなどを入力すれば、空き状況を含めてかなり絞り込んでサービス調整ができるのではないかと思います。障害のサービス、児童のサービスであっても、同じように”求めているもの”がわかりやすいケースではAIによる相談業務が可能です。
現に私が所属する法人の相談支援事業所では、同じサービス形態になる人には同じような目標設定を記した利用計画書を発行します。同じくらいの年齢で、同じ福祉サービスを似たような目的で使う人に対しては、個別の対応というよりも形だけの相談業務を行なっているのです。その部分をAIが担っても不思議ではありません。

しかし、「まだ人間にしかできなさそうだな」と思う範囲があります。それは現場での支援と、複雑に問題が絡み合っているケースの対応です。

◇人間が担える範囲

私がいる地域活動支援センターなどの障害者支援の現場、入所の現場など、あらゆる現場対応は今もこれからも人間が担っていくものだと思います。心理学者ハーロウは、アカゲザルの赤ちゃんを用いて”針金でできた母親の模型”と、”布でできた母親の模型”のどちらに愛着が湧くか?という実験をしています。どちらの模型からも授乳できたにも関わらず、恐怖を感じた時に抱きつくのは決まって布製の模型。つまり、スキンシップによる愛着形成が重要であると結果が出たのです。
このことからもわかるように、私は人間同士の関わりでないと成り立たない発達段階や、人間同士の生活の中で自然と身につく力があるのだと思います。その支援をする現場職員は、今も今後も人間にしか担えないものであってほしいです。

また、支援の必要性を感じていない家庭への支援介入や、可視化できないほど複雑な問題を抱えている家庭への支援は、まだまだAIの手に負える範囲ではありません。私たち人間が担うべきは、この二つの範囲になっていくのだと思います。

◇人間にしかできないことをする意識

目まぐるしい現場の中では、日々があっという間に過ぎてしまいます。気がついたら先週と同じ支援しかしていない、いつの間にかこの施設を卒業しなければいけない年齢になっていたなど、思うように個別支援ができていない現場も多いのではないでしょうか。
今は「人が足りないからこの支援になっても仕方ないよね」と目をつぶれても、これから人間とAIが一緒に相談支援の仕事をするときがきたら「そんな支援ならAIでもできる」と一喝されてしまうかもしれません。
人間だけで担っている今でも、常に「私にしかできない関わり」を意識して現場の仕事に就くことが大切だと改めて感じました。

では、また💐


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