大事なことほど小声でささやく
フリーランスになって、5ヶ月になろうとしています。
最近の悩み。
漠然とした、webよりも紙の編集やライティングをやってみたいという気持ち。これにどう向き合えばいいのかということ。
なぜ紙なのか、なぜwebじゃダメなのか。
それよりも前に、私は何をしたいのだろうか。
今朝、前職の後輩にあたる女性から相談を受けて、あれやこれやと去年や半年前くらいの記憶をほじくり返していたら、私の悩みの糸口が掴めたような気がするので、書いておこうと思います。
彼女はとても素敵な視点をくれました。ありがとうございました。
どんな言葉、文章を届けたいのだろう。
今日、ちょっとだけ、この部分が明確になったような気がします。
私がつくりたいのは、
世の中の大半の人が言わないけれど、心のどこかでは思っていることを、そっと差し出す文章。
自分はみんなと違うかもしれないと苦しんでいる人に、心の拠り所にしてもらえるような言葉。
そういうものだと思っています。
どうして、私はそんな文章を紡ぎたいのだろう。
それは、自分自身が社会でうまく生きていけないような気がして苦しんできたし、今も悩んでいるから。
小さい時から、多少のハンデがあったり、あまり友達ができなかった時期もあって、私の心の拠り所は小説でした。小説には、物語の中に”大切な言葉”がたくさん散りばめられていて、読むといつも、著者から励まされているような気持ちになりました。
大人になって、伝えることや書くことが人の役に立つかもれないと思い、今の仕事をしているのだと思います。
そう思うようになるまでも色々とあって、そのことは、大学4年の時にgreenz.jpで記事として書くことができました。
この記事は、webで書く面白さを思い出させてくれる記事。全く知らない人が読んでくださって、月日が経ってから私とその人が出会うことになったり。この記事をきっかけに、クルミドコーヒーで働くことを決めてくれる人がいたり。
書くこと、webという誰もが読める場所に置いておくことのおもしろさを感じました。
この記事は、私みたいな悩みのある人に届いて欲しいと思って書いた記事で、私が紡ぎたい文章として、今までで一番納得しているものなのではないかと思っています。
本と私の関係にあるもの
そんな中で、webではなく紙が好きな私。
私が紙に興味を持つのは、その、「こういう考えもあるよ」という差し出し方が好きだからなのではないかと、思っています。
紙の本と私の間には、ゆるやかな関係性がつくれると思っていて、webではスマホを閉じたらおしまいなのに比べ、本はそっと寄り添っていてくれると感じます。
「いつでも閉じていいし、いつでも開いていいよ。」
そんな贅沢な関係性があると思うのです。
本を開いてからも、その心地いい余白は続きます。行間も、文字と文字の間も、それから本と他のものとの距離も。
人は、ポツンとひとりです。本も、何とも繋がらないことができる、孤独な存在だなと思います。でもだからこそ、孤独な者同士が向き合う時、ほっとするのかもしれません。
相手に真摯に向き合うことができる、自分への安心感があると思いませんか。
webで読んでいると、ものすごく気が散ります。スマホ側はネットと繋がり、溢れんばかりの情報を私に届ける準備ができているので、私は一つの物に集中できなくて、あっちゃこっちゃと気持ちが分散してしまうのです。
そうなってしまう自分が、嫌になる。
だから私は、本との方が、うまくいくなあと感じます。
大手の出版社・メディアの会社になぜ入らないのか
そんな風に本を好きな私ですが、新卒の会社はオウンドメディアやwebメディアをやっている会社でしたし、今も基本の仕事は全てwebメディア。
本や紙媒体には携わってきませんでした。
大手の出版社や編集プロダクションにあまり興味がないのは、きっと一番冒頭に書いた気持ちが、心のどこかでひっかかっていたからでしょう。
有名な人の本を出したり、マスな考えを押し付けたり、マーケットが生まれるようなインパクトのあるようなことを発信したり、みんながすでに求めていることを提示したり。
そういうことより、ハッと気づかされるようなことを差し出すような文章をつくっていたい。
素朴でいい、小さくていいから、どこかの誰かの心のはじっこが待っている、「これに出会いたかった」と思ってもらえるような文章を、書きたいし届けたいと思います。
私が大切にしたいこと
随分と長くなってしまいました。
つまりは、私が大切にしたいのは、
素朴で純粋でまっすぐな、誰かの心が本当は欲していた言葉を紡ぐこと。
その言葉を置く場所が、webでも紙でも、そこは二の次でいいのでしょう。
でも、私は紙との方が相性がいいから、これから先、少しでも紙のお仕事ができたらいいなあと願っています。
ちなみに、タイトルは大好きな小説のタイトルで、森沢明夫さんの著書です。
本当にそうだなあと、何度本を閉じて思ったことか。
お腹の中があたたかくなるような安心感と、気づき、涙、ほほえみ。全部が詰まった、これからも大切にしたい本です。
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。