手作りお菓子が苦手になった数々の体験談。
これは私が中学生からアラフォーの現在までに経験した手作りお菓子にまつわるお話です。
他人が手作りしたお菓子が食べられなくなってしまった過程を、ここに記します。
最初の記憶は中学生の時。
友達が「マドレーヌを焼いてきたよ」とこっそり学校に持ってきてくれた。
渡されたお菓子を見ると、一個一個透明な小分けの袋にきちんと入っていた。私は「個別包装の袋まで用意するなんて大変だったろうな」と思いながら受け取った。見るとその袋は油がかなり多く付いていた。
その瞬間「ギトギトだ・・・。こんなに油多いものだっけ?」と疑問に思いふいに「食べたくないな」と思ってしまった。とっさに「給食食べたばかりでお腹いっぱいだから家で食べるね」と言ってカバンにしまった。帰宅してから申し訳ないという気持ちもあったがどうしても食べる気にならず捨ててしまった。
高校生の時。
「趣味はお菓子作り」というクラスメイトの子があんぱんを作って一つ私にくれた。
「餡は甘さ控えめにしたから食べやすいよ〜」と言って、渡してくれたあんぱんは某有名パン屋さんのあんぱんにそっくりな物で「す、すごい!!高校生で本当にこういうの作れちゃうんだ!!」とびっくりしたのを覚えている。
食べてみると、パンにぎっしり詰まった餡が全て乾燥して白っぽくパサパサになっていた。正直口に合わなかった。私の判断がおかしいのかもしれないと、幼なじみの男子にこの状況と私が感じた事を伝え、一口食べてもらった。
「俺は美味しいと思うよ?」との返事。「私の判断がおかしいのかも。でもこの餡はこんなに白くて乾燥しているよなあ」と思った。
このあたりで「手作りってあまり好きじゃないかも。」と漠然と感じていた。
社会人の時。
ランチを一緒に食べるメンバーの一人(お局)が「お菓子を作ってきたの」と言ってスイートポテトを出してきた。
皆は「わぁ〜〜おいしそう!!」と言ってパクリと食べ「おいし〜〜!!すごい上手です!!」と絶賛していた。
以前このお局に本を貸したらボロボロになって返ってきた事(あまりに状態が酷かった為買いなおした。本を大切に扱う私にはショックだった)、彼女のデスクの下は常になんとも言えない足の匂いで満たされていて「ちょっと不衛生な人なのかな?」という印象が残っていた事などから
「この人の作るお菓子、食べたくないなぁ」と心の底から思ってしまった。
私だけが食べずにいるのがバレてしまい「早く食べてみてよ」と言われ、「お腹いっぱいで」の言い訳が通用しない雰囲気となり仕方なく一口食べてみました。
とにかく美味しくなかった。
スイートポテトってそんなに失敗する物でもないよね?と思いながら涙目で食べてやっとの思いで食べ終わり、求められた感想にやっと答えたのが
「犬にもあげた?」
でした。
周りは「それって不味いって意味に聞こえるんだけど〜〜!」と大爆笑していて、お局も「あげたけどさ〜 その言い方・・・」と苦い顔していました。(ハハハ、あの時のお局さんごめんなさいね〜)
午後の仕事中、胃の不快感をずっと感じていたのだが、仕事に対する緊張感と忙しさで気にしていられなかった。夜8時頃帰宅し玄関に入った瞬間大量に嘔吐してしまい(お食事中の方が読んでいたらすみません)泣きながら「なんであんな不味いの作って持ってくるんだよーーーーーー!!」と叫んでしまった。
この嘔吐した経験が決定的に手作りお菓子を嫌がるきっかけになったんだと思う。
我が子が幼稚園に通っている時。
インフルエンザの流行真っ只中にやってくるバレンタイン。
幼稚園では圧倒的に「手作りチョコ派」が多かった。「買うと高いからね〜」が合言葉だった。
そしてこの幼稚園で多かったのは「インフルエンザの予防接種は高いのにインフルにならないわけじゃないから打っても意味がない」「風邪は抵抗力をつける為病院に行かず自然に治す」という考えの方が多く、アデノウイルスに罹患しても登園させて広めてしまい、「小児科医に怒られた〜」と話すママさんもいた。
そんな中、咳がゴホゴホと酷く黄色い鼻水を垂らしている下の子を連れて「子供たちとチョコレートケーキ作ってきたよ〜」と持ってきたママさんがいた。時が止まった様に感じた。もう何も考えずに捨てさせてもらった。
またある時は「節約第一主義」のママさんが10人のママさん達へお菓子を作ってきた。
そのお菓子は一つ一つに爪楊枝が刺さっており、その爪楊枝にはマスキングテープで作った旗が可愛くアレンジして付いていた。
見渡すと一人につき六個ほどもらっていたと記憶している。その全てに旗付き爪楊枝が刺さっていたのだがその旗はどうみても手作り。マスキングテープで爪楊枝を挟んで折りたたんでハサミで三角に切った感じがした。
周りのママさんが「こんな色とりどりの飾りすごいね〜!」と言ったら
「うち、マスキングテープは沢山あるから!」と言っていた。
そのママさんの衛生観念は知る由もない。
ただ考えられるのはこのママさんはラッピングにお金をかけるタイプではない。そしてこのお菓子の旗の為に新しくマスキングテープを買うとも思えない。
ということは、子供の文房具入れに入っているマステを使って子供と一緒に作ったのかなーーーーと考えてしまったらもう無理だった。
体がカッと熱くなり、胃がグルグル動き出した様に感じた。嫌な汗が出て、本当に本当に本当に泣きたい気持ちになった。
「私って本当に手作りお菓子嫌なんだ。」って感じた。だって、このママさんは別に悪気はないし、だた良かれと思ってお菓子を作ってきただけ。
私の個人的な経験からくる自分本位の価値観で目の前の状況を想像で判断しただけなの。だから誰も悪くない。だから、誰も責められないよね。
パティシエママに出会う。
子供の習い事で出会ったママさんに現役のパティシエの方がいた。
私はそういう世界に全く詳しくないのだけど、一人ヨーロッパに行って一年間修行してきたそうだ。帰国後表参道で働いていて、今は新築した家でお料理教室を開く準備をしていると言っていた。
そういう話になると「すご〜い!!今度お菓子作ってきて〜〜!!」と周りが言う様になる。
そのパティシエママさんはこう言った。
「いいけど・・・・ お店と家では衛生環境が違うんだよね・・・。
どうしてもって言うなら作ってくるけど・・・・・。」
結局そのパティシエママさんは一度もお菓子を作ってこなかった。
私は初めてその人の作ったお菓子なら食べられる、と思った。
長くなりましたが、以上が私の手作りお菓子が苦手になった強烈な体験談です。
バレンタインが近づくこの時期になるとふと思い出す話を文字にして自分の気持ちを整理してみました。