恋人とのディナーから家族の食卓へ
彼と付き合っていた頃はデートで色々外食をした。
寒い日はラーメンを食べに行ったり、蟹鍋を食べに行ったり。
フルーツパーラーに行ってキラキラ光るフルーツを沢山食べた。
仕事で海外に行く時は何よりも無事の帰国を願いつつ壮行会(?)がてらシャンパンで乾杯した。
好きなものを食べ、お互い仕事に励み、人生について語り合い、楽しい時間を過ごしていた。側から見てもごくごく普通の恋人の過ごし方だ。
入籍してすぐの半年間だけ別居をしていた。
諸事情により、それがベストな選択だった。
私個人としても今思えばあの時が一番気楽で幸せだったとも思える。
入籍はしたが背負う責任は自分自身の事だけで良かったあの時は
貴重なひと時だったと懐かしく思う。
ある寒い冬の晩、大きめな土鍋で煮込みうどんを作った。
食卓に置いたコンロに出来上がった土鍋を置く。
向かい側には夫となった彼がいる。
蓋を開けると、湯気が一気に立ち上がった。
「うわ〜〜!家庭料理っぽい!!」
煮込みうどんの見た目、グツグツとした音、匂い、そう言ったもの全てをひっくるめて「家族になったんだ」と実感した瞬間だった。
外食とはまた違った、色々な味を感じる夕食だった。