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大阪に進学した私が、どうしても地元の島根で働きたい理由

8月のある日、インターン先の事務所で職場の人と「島根×インターンって、都会にいるとなかなか想像つかないよね」なんて笑っていた。

今回は、大阪に進学して一年間の海外留学を経験した私が、一ヶ月のインターンを通して見えてきた”島根”について書いてみたい。


インターン先は、松江市にある地域・教育魅力化プラットフォーム
「地域の教育で未来を変える」を理念に、地域みらい留学の推進などを行っている。
地域みらい留学とは、島根発の新しい教育の形。都会では得難い体験を求める生徒と、地方の高校生との出会いを生み、多様性のある学びの場を作っている。高校の魅力化にもつながり、地域の高校が存続する一つの道としても注目されている。


2017年に設立したこの団体では、島根出身者に限らず、様々な経歴を持った人が働いている。(つまり私は島根のスタートアップベンチャーで働いていたわけだ…!)
フレックス勤務、リモートワークも当たり前、職場内のコミュニケーションツールはSlack…と、新しい働き方を地で行く職場だった。首都圏で働いていた人も多かったためか、この職場では私が東京のスタートアップでインターンしていた頃と全く変わらない自由さで働くことができた。

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地域みらい留学は、全国各地の参画校で行われている。その中でも島根県からは県内40校の公立高校のうち、離島中山間地域に位置する14校が参加し、高い割合を占めている。
地域みらい留学を利用して島根に「留学」する生徒は、高校卒業後も島根と関わりを持ち続ける人が多い。第二の故郷を手にした彼ら/彼女らはすっかり島根に馴染んでいて、まるで出身者のように帰省してくる。

自分が生まれ育った地域の高校に進学する道が「当たり前」だと思われていたはずの中学生が、自分の意志で他地域にやってきて新生活を始める。
私が中学生だった頃にはなかった、新しい進学の選択肢。「地元以外の高校へ進学する選択肢がある」ことが、これからどんどん当たり前になるだろうと思う。


地域みらい留学の卒業者だけでなく、今の島根には”意志ある若者”の輪が確実に広がっている。
「島根で働きたい」「島根に帰ってきたい」という大学生、若手社会人の声をたくさん聞いた。そして実際に行動を起こしている人も多かった。
お盆やお正月を利用して若者が集うイベントが開催されていたり(参加者と同じ世代が主催しているからコンテンツもおもしろい)、高校生と大学生が一緒になってプロジェクトに取り組んでいたり。


少し前まで、都会へ出ても島根に帰りたいという私みたいな人はごく少数だろうと思っていた。今は、実は周りにもたくさんいるんだよ、と言いたい。
仲間を見つけたことで自分の将来を相談できる人が増えたし、こんなに熱量の高い同世代がいることを知って島根に帰るのがますます楽しみになってきた。

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そしてもう一つ驚いたのは、行政の底力
危機感のある行政は強い。行政が課題を正しく理解して、民間とタッグを組みながら課題に取り組んだ例が島根にはたくさんあった。

地域みらい留学の源流となった取り組みが、島根県が島根の離島中山間地の高校への全国生徒募集を支援する「しまね留学」。この「しまね留学」も、島根県海士町にある隠岐島前高校の「島留学」に影響を受けて始まった取り組みであり、県内の先進例を柔軟に応用しようという行政の姿勢があってこそ実現した取り組みである。

「課題先進地」なんて島根お得意の自虐を交えながら、それでも諦めずに解決策を模索する島根の行政が頼もしく思えるようになった。
民間と行政、それぞれの得意分野を生かして地域の課題解決をする。地域・教育魅力化プラットフォームのような団体がその架け橋になって、島根はもっとおもしろくなるんだと思う。

「日本の課題の答えは島根にある!」なんて言われる日も近いかもしれない。



1ヶ月間島根でインターンをしながら、島根と関わりを持つ人にたくさん出会った。
正直、私は悔しかった。

自分の意志を持って島根で活動する人たちが、輝いて見えた。
社会人も、大学生も。

強みにできるスキルがあって、職場やコミュニティで必要とされていて、人を巻き込む力があって、その上周りの人を気遣ったり私のような新参者も受け入れてくれる余裕があって。何より、人としての魅力に溢れていて。

私は「地域に関わりたい」って言っているけれど、いつになったらこの人たちに追いつけるんだろう。どうやったらこんなに人間的に成長できるんだろう。
今まで、大阪でも海外でも感じたことのないほどの憧憬と焦燥感を感じていた。

「この人たちに認めてもらいたい」「いつかこの人たちと一緒に仕事をしたい」。
その想いが、私と島根を繋ぎ留めるもの、これからも私が島根に関わり続ける理由になると思う。


人との出会いは、人生を変えうる。
人生に目標を持たせてくれたり、生きる意味を与えてくれたりする。

出会いのチャンスは、地域にも溢れている。人口が少ないからこその濃密な出会いも、地域ならではのネットワークを生かした出会いもある。
意志あるところに出会いは生まれ、意志ある人の周りには同じく意志を持った人が集う。

出会いの場は人それぞれだけど、自分をアップデートし続けられるような出会いを求める姿勢を忘れたくない。
そして、その出会いの場の一つとしてこれからも「地域」が存在し続けるように、私なりのやり方で地域と関わっていきたい。