その夜を握りしめる

ふと、切ない恋愛について書きたいと思った。揺さぶられたくないと思いながらも、その中で溺れたかったのだろうか。

愛することは感情の幅が上に下に左に右に広がるものなのかもしれない。喜びが広がれば切なさや苦しさも広がってしまう。無くても平気だったはずなのに、その温かさを知ってしまったがために失うことが怖くなる。

手のひらにのせた温かさが、どこかへ連れさられてしまうのではないかと握りしめ守る。けれどいつも力が入りすぎて壊してしまう。

手のひらには、ただ不安だけが残っている。

◆その月にふれたいだけなのに

こんなにそばにあるのに、
そんなに輝いているのに、

私はその月が欲しくて何度も手を伸ばす。

やっぱり届きそうで届かない。
本当は届かないことはわかっている。

どうしたら私のものになるのだろうか。


こんなに想っているのに、
そんなに愛しているのに、

あの人は時々雲の中に逃げてしまう。

どうしてと怖くて聞けない。
本当は私ではだめなことは気付いている。

どうしたらあの人のそばにいられるのだろうか。

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◆絡ませた指

あの人のポケットの中で指をからませた。

手が温かい人は心が冷たいというが本当なのだろうか。
ふと顔を覗きこんだ。

あの人はただ笑っているだけだった。

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◆揺さぶられる想い

あの唇に触れる前までは募る思いを伝えられない苦しみが、触れた後は守り続けたくて、そしてその答えを知るまでは委ねたくて、知った後はこの時間を止めてしまいたい。

それがたとえ身勝手な愛だとしても。

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◆アイシテル

時には「アイシテル」の響きを感じたい。
繰り返し再生してはその愛を刻み込む。

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◆明けない夜

明けない夜は無い。
誰が言ったかは知らないけれど、そんななぐさめは耳に入らない。

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