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作品集『ウォルター・クレインのフラワーシリーズ ~人として振舞う花たちの世界~』を上梓しました

Amazon kindleで一人出版しています。
今回、ウォルター・クレインの作品集『ウォルター・クレインのフラワーシリーズ ~人として振舞う花たちの世界~』を上梓しました。

数年前『クイーンサマーあるいは百合と薔薇の騎馬試合』の挿絵を初めて見たとき、その美しさに魅了されました。

「この本を全ページ紹介したい」
そう強く思いましたが、当時はそんなサービスも技術もなく、憧れだけで終わっていました。

「Kindle ダイレクト・パブリッシング」を使えば、今はセルフ出版ができるので、すごい時代になったなぁと思います。

ウォルター・クレインについて少しお話しますと、19世紀後半のヴィクトリア朝時代のイギリスで活躍した絵本画家・デザイナーであり、英国近代絵本の創始者として知られている、すごい方です。

『フローラの饗宴』より

日本ではそこまで知られていないかもしれませんが、クレインがいなければ、今の絵本文化は全く違うものになっていた可能性もあります。

見開きページを最初に考案し、絵本の表紙に挿絵画家の名前が記されたのも、クレインが最初と言われています。

挿絵画家の地位を引き上げ、挿絵、装飾、字体が一体となった本のトータル・デザインを目指した人でもありました。

日本の浮世絵に感銘を受け、それを作品にも生かしています。

今回出版した作品集は、クレイン円熟期のフラワーシリーズ5作品を全ページ収録しています。

クレインは多色刷木口木版で自身のスタイルを確立しましたが、フラワーシリーズは木口木版ではなく、多色刷リトグラフ(1作はハーフトーン印刷)で作られています。

木口木版とは全く違う、柔らかな流れるような曲線と余白が印象的です。

1章 フローラの饗宴
FLORA'S FEAST A MASQUE OF FLOWERS
~フラワーシリーズの第一作目~

2章 クイーンサマーあるいは百合と薔薇の騎馬試合
Queen Summer : or the Tourney of the Lily And the Rose
~クレインが描くユートピア~

3章 イギリスの古い庭園の花の幻想
A FLORAL FANTASY IN AN OLD ENGLISH GARDEN
~クレインが夢想した英国庭園の草花の世界~

4章 フラワーウェディング
A Flower Wedding
~花の結婚式の物語~

5章 シェイクスピアの花園
FLOWERS FROM SHAKESPEARE'S GARDEN
~美しいイングリッシュガーデンに魅了されて~

5作品全て、「人として振舞う花たちの世界」の物語です。
人に扮した花たちが、生き生きと自由に、軽やかに躍動する姿をお楽しみいただけます。

文章もクレインの手によるものですが、全訳はつけておりませんのでご了承下さい。各章前に解説を設けましたので、作品を読み解くヒントになるのではないかと思います。

英国の絵本黄金時代をけん引し、現代絵本芸術の発展に大きく貢献したクレインの魅力を、多くの方に知ってもらえれば嬉しいです。


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