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【短編小説】女王さまの鏡

 わたくしの鏡が喋り始めました。
 喋り始めたのは、私の持っている手鏡です。政治に関する全ての権利を、息子に譲った時期から、鏡は私に向かって言葉を発するようになりました。
鏡は言います。低く、落ち着いた、紳士の声で。私にはそれが、かつて面倒を見てくれた側近に似ているように聞こえるのでした。しかしながらその従者は、今はもう居ません。
 体調が優れませんか。なら今日はもう、お休みになってはどうで

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