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ピーベリー(丸豆)は美味しい

珈琲豆にはフラットビーン(平豆)とピーベリー(丸豆)があることはご存じかと思います。※ミカンのさのうのような形の豆もあります。余談。
ピーベリーが含まれる割合は「3~5%」と言う人もいれば、「5~20%」と言う人もいます。幅はあるにせよ割合からすると少ないと思います。

そして「ピーベリーの方が美味しい」と言う話もよく聞きます。

「希少」で「美味しい」となれば、ピーベリーを選別して価値付けしない手はないぞと、ピーベリーだけを選別して出荷している国もあります。ジャマイカ・ブルー・マウンテンやハワイ・コナなどがそうです。

実は私、今までピーベリーだけというのを焙煎した経験がありません。
ピーベリーにあまり食指が動かなかったからです。

いや待て、ピーベリーを焙煎したことないって、これ焙煎人としていかがなものかと。

いかがなものかと思いつつ、ピーベリーが手許にないので、当店で扱っている豆を焙煎し、焙煎後にピーベリーを選別して味わいを比較するという作戦です。
味わいを比較するならば、むしろより正しい比較ができるかなとも思います。
中煎りの豆3種(全て中米産)で味わいを比較することに。
それぞれ500g焙煎しました。

左:フラットビーン 右:ピーベリー

《比較テストに用いた豆》※重さは焙煎後のものです。
1.コスタリカ・グレースハニー(ハニープロセス)
ピーベリー31g/429g  ピーベリー率7.2%

2.パナマ・SHB・ベルリナ(ウォッシュド)
ピーベリー11g/420g ピーベリー率2.6%

3.ニカラグア・SHG-EP・パディージャ(ウォッシュド)
ピーベリー19g/425g ピーベリー率4.5%

ピーベリーの含有率はいずれも10%未満でした。

混ざった状態で焙煎したので、同一条件で焙煎されたと言えると思います。

カッピング方式とペーパードリップの両方で味を確認したかったのですが、パナマのピーベリーが11gしかなかったため、カッピング方式だけでの確認としました。

カッピング

私とスタッフ3名でカッピングして意見交換しました。

全員一致して

「ピーベリーの方が酸味がより明るくきれい」


でした。コスタリカもパナマもニカラグアも皆同じ結果でした。

巷ではピーベリーの方が美味しい理由は、
・焙煎しやすいから説、
・ひとりっ子なので栄養分をたくさん蓄えているから説
などいろいろと語られています。
生育条件の良い、養分をたっぷりと蓄えた豆の方が酸味の質が良く味わい豊かでより美味しいと言われていますし、私もそう思います。
そういう意味からすると、ピーベリーの方がより栄養豊富なのかなと。

成分を分析することができればこの説が正しいかどうか判定できるかもしれませんね。

皆さんも是非比較してみて下さい。
500gほどあれば、比較テストするのに十分な量のピーベリーを採集できると思います。

追記:ピーベリーの混入が味わいに与える影響があるかというと、10g中0.3~0.7g、つまり珈琲豆2~4粒程度なのでほぼ影響はないと思います。仮に影響があったとしても、味を良い方向に導く要素なので好ましいものだと思います。

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