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焙煎人にとって最も大切なスキル:店を始めたい人へのメッセージその21

3年間続いたコロナ渦の中、雨後の竹の子のように出てきた小規模自家焙煎店さん。

(ここから先、辛辣なもの言いになりますが、本当に大切なことを述べるつもりです。受け止めて頂けるとうれしいな)

そんな新しい小規模自家焙煎店さんの珈琲を土産に頂くことがたまにあります。また試しにと自分で買ってみることもあります。

飲んでみて「え?これ商品にしちゃうんだ」って思ってしまうNGな珈琲に出会う確率は高いです。
「え?」な珈琲を「え?」と思わずに販売している。

これって焙煎人にとって一番必要とされるスキルが足りてないからだと思います。

そのスキルとは

「自分の焙煎の良否を、自分で判定できる味覚センス」

です。

開業したら、自分以外に焙煎の良否を判定してくれる人はいません。だから自分で判定できなければなりません。

(2023/12/22追記)このスキルが最も大切であると同時に、このスキルを持っていることが最低ラインでもあります。
味見ができない料理人・・「あり」か「なし」か?
「なし」ですよね。

焙煎人でなくても気がつくであろうレベルの例を挙げれば、

・舌がすぼまるような渋みを伴うもの
・青臭さが残るもの
・落花生のようなにおいがするもの
・鋭い苦味がいつまでも舌に残るもの
・燻り臭いもの
・・・・などなど

どれもNGです。

そして一番出会うことが多いのは
・舌がすぼまるような渋みを伴うもの

・鋭い苦味がいつまでも舌に残るもの
です。

「珈琲は嗜好品だから正解はない」

そんな言葉を信じてはいけません。
少なくとも作り手自らがそんな言葉を吐いてはいけません。

「正解」も「不正解」も頑として存在します。

ではなぜこのスキルが身についていないのか?

それは自分自身への投下資本が圧倒的に足りていないことの結果だと思います。
自分自身にこそ、最もお金と時間を掛けるべきなのに、そこをケチってしまった。そうでなければこんなことにはなりません。

・大切な学びや情報収集をググることで済ませてしまった。
・練習だからと安い生豆で済ませてしまった。
・ネット上で見かける開業コンサルや焙煎セミナー業者の「焙煎なんて誰にでもすぐに出来るようになる。だからあなたもレッツゴーフィーバー!」といった、ロースターを小馬鹿にしたような軽いキャッチを鵜呑みにして、数回焙煎練習をしただけで焙煎できるような気になってしまった。

どれもセコさを感じます。

焙煎そのものは「ルーティーンオペレーション」です。
だから基本的な焙煎技能(=瑕疵のない焙煎。その豆の良いところを最大限に引き出す焙煎はそのずっと先)を身につけるのにそれほど時間は必要ない。

それは認めます。

しかし大切なのは・・・繰り返しになりますが、

「自分の焙煎の良否を、自分で判定できる味覚センス」

です。

このセンスばかりは、
良質な生豆を使って、
きちんとハンドソーティングをして、
繰り返し繰り返し瑕疵のない焙煎をして、
テイスティングを重ねて、
自分の舌に教え込んでゆくことでしか身につけることは出来ません。

そう断言します。

私の修行中の焙煎記録簿1
私の修行中の焙煎記録簿2

焙煎で食っていくために絶対に身につけておかなければならないスキルを身につけないまま開業してしまうと、後で取り返しのつかないことになりま
す。
「え?」な珈琲を「え?」と思わずに販売している痛い自家焙煎珈琲屋さんになり、そして廃業です。

「小さく始める≑低コストで始める」、もう少し突き詰めて言うと「分相応ではじめる」ことはとても大切なことだと思います。

しかし、「小さく始める」ことと「セコく始める」ことは根本的に違うと思います。

「これで食っていく」という強い覚悟なくして成功はあり得ないと思います。

そして才能も能力もないのなら、あとは「根性」しかないのと思うのです。

まさに自分はこのタイプです。

サポートは謹んで辞退させて頂きます。お気持ちだけで十分幸せです。