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「楽しくなくても、死にたくても、人生生きていけるんだよ」|赤裸々に語る

「緋那は何を楽しみに生きているの?」

この質問が、一番怖かった。

そんな時代の話。

事の発端

 昨夜、彼氏は飲みに行っていた。
 そのメンバーの中に、日本の就職システムをなんとかしたい、という人がいたらしい。曰く「今、働いている人で幸せに働けている人がどれだけいるのか」とか。

「それで、働くことについての価値観について色々考えてさ。緋那って、僕がいない間どうやって生きてたのかな、って思ったのよね」

 彼は言った。

 今の私は比較的幸せに生きている。
 ただその"幸せ"は基本的に彼に愛されて、彼を愛す、彼と共にいる日々に立脚したもの。だからこそ、それなしで生きていた頃は、何を原動力に生きていたのかが気になったみたいだった。

「楽しくなくても、死にたくても、人生生きていけるんだよ」

 答えはすぐに頭に浮かんだ。けれど、すぐには答えられなかった。

怖いから働く

 私の働くことへのモチベーションはいろいろある。いろいろあるけれど、結局のところ一番土台にあるのは「恐怖」からの逃げだった。

 結婚して、出産して、仕事を辞めた母。
 父からひどい扱いを受けようとも、自分で稼ぐ事のできなかった母に"離婚"という選択肢はなかった。

 それを見て育った自分は、「手に職をつけたい」という気持ちがとても強かった。子供を産んで、一度仕事を辞めても稼ぐ必要があるときには働けるように。あるいは、在宅でも働けるように。

 選択肢をなくしてしまうのが、自立できない状態になるのが怖いのだ。

 そして、東大卒の肩書きながら大企業や官公庁には入らず、「手に職」をつけられそうな中小企業へ入社。

 (私がいうのもおこがましいが)優秀で、成長欲求が高くて、ドロドロなんて全然してない、素敵な人たちばかりの会社で、

 なんて居心地のいい職場なんだ。

 そんな感動と共に、今度は別の不安が鎌首をもたげた。

 私はここにいていい人間なんだろうか。

 自分を含めて同期は5人。そのうちで私が一番成長が遅く、成果を出せていなかった。それはきっと単純な話で、一番"努力"を積み重ねられていないからなのだろうとは思うけれど。

「与えてもらえた経験に見合った成長ができてない。成果も出せない。そのための努力もできてない。そんな私は、この会社にいていいんだろうか」

 そんな恐怖を払拭するように、がむしゃらに働いた。
 日付を超えるくらいまでオフィスにいることもままあった。

 そんな生活の中で、+αの努力をしている気力もなく、地道に積み重ねている同僚との差が開いていくのを感じつつ、それでも手放すのが怖くて、ただ必死に働いた。

生きるために生きる。そんな日々

 毎日夜遅くまで働き、土日も働く。

 最初こそ楽しかった仕事が楽しくなくなってしまってからは、そんな生活に楽しみなんてあるはずがなかった。

「このくらいもできないんじゃ使えないんだけど」

 上司が本当にそんなことを言うと思っているわけじゃない。
 けれど、そんな言葉たちが脳内再生されて、自分を追い立てた。

 この人たちに失望されたくないから。輪の中にいたいから。

 常態化していく体調不良も見て見ぬ振りして突っ走った先で、気づいたら人生は空っぽだった。

 旧友に会う盆正月。

「緋那は何を楽しみに生きているの?」

 この質問が、一番怖かった。
 人生が楽しくないのを指摘されているようで。
 そして、楽しくないと人生を生きていちゃいけないような気がして。

泣いた、ただ虚しくて

「緋那って、僕がいない間どうやって生きてたのかな」

 彼のその問いにしばらく押し黙って、
「楽しくなくても、死にたくても、人生生きていけるんだよ」
 そう返した。

 かつて笑顔で嘯いたこの言葉、今日は涙を堪えられなかった。

「しんどい?悲しい?」

 涙をぬぐいながら、彼は私に尋ねた。

「ううん、そうじゃない」
 この感情を表す言葉を探して、「多分、虚しいんだと思う」と返した。

 そして彼の腕の中、ひとしきり泣いた。

寄り添ってくれる貴方と

「今はどう?」様々な言葉を重ねて、聞く彼に、私は
「今はマシかな」と答えることしかできなかった。

 貴方が隣にいるのはとても幸せで。
 貴方との未来を楽しみに、明日も生きていたいと思える。

 けれど一方で、仕事は「しんどい」が強くて、
 "彼以外"の幸せは依然として私の中にはない。

 ただ、一つだけ言えることがある。
 それは、当時を虚しいと感じられるのは、それだけ今が充実してるからだ、ということ。

「ひなはとりあえず僕のために生きてよ」
「そうしているうちにきっと自分のために生きれるようになるよ」

 彼はそう言って、私をぎゅっと抱きしめてくれた。貴方とともに歩む日々の中なら、「生きているのが楽しい」と言えるようになるような気がした。

   きっと、いつかは。

ということで、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
少しでもあなたのお役に立てていれば幸いです。

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