自分の言動をカッコ悪いと思わない。

たとえ実際に思ってしまっても、「これを言ったらカッコ悪いよな」と考えて、表に出さない気持ちってあると思う。
夫にはこれがない。

たとえば。
まだ子供がうまれていなかったとき、二人でご近所のカフェにふらりと立ち寄った。カフェの店員さんが、「ご夫婦? 奥さんとってもおしゃれですね」と、私を見てから夫を見て、嬉しいお世辞を言ってくれた。
でも夫は不機嫌になる。
「オレのほうがおしゃれなのに」。

恥ずかしい。私はため息をつきそうになるのをこらえて苦笑い。
たとえ、もしそうだと思っても、それを言葉にしたら私が傷つくとか、自分がとても小さくかっこ悪く思われるとか。そういうふうに思わないのか。
私なら絶対に言わないし、そもそも配偶者が褒められたら、純粋に喜ばしい。「ほめられたね〜」なんて言いながら、私もウキウキしてしまうはず。でも夫は、そもそも単なるお世辞なのに、本気で首をひねってる。
「オレのほうがおしゃれなのに、なんなんだよ」。

夫は私よりも4つ年下だ。だから若かったそのころ、私はその違和感を、
「若いんだなあ。自分大好き?」
と、それだけで納得してスルーしてしまった。

つい最近、フードコートで夫が、息子と娘のために買ったジュースを全部ひっくり返してこぼしてしまった。
私は遠くにいたからわからなくて、席について初めて気づいた。
スタッフが清掃をしている。夫は不機嫌でイライラしている。
子どもたちはしょんぼり。

だから私は、てっきり子どもたちが、ふざけてこぼしてしまったんだと思ってしまった。

「どうしたの」と声をかけると、すかさず夫が「全部こぼしちまったんだよ!」とキレ気味に言い放つ。子供のしたことなんだからそんなに怒らなくとも・・・と思って、夫がもう一度子供の飲み物を買いに行ったとき、フォローのつもりで子どもたちに「大丈夫だよ」と声をかけた。

長男は不満そうに

「パパが全部ぶちまけたんだよ。それなのに俺たちがぶちまけたかのような言い方をするんだよ。スタッフの人は絶対俺たちがぶちまけたと思ってる」

と・・・。なんとカッコ悪いパパなのか。「ごめんごめん、やっちゃった。もう一回買ってやるからな!」でいいじゃんか! と、小さなイライラの炎が思わずメラッ。子供のせいにするか!?

その後、「オレ、ジュース自分で運ぶ」と長男が夫のもとへ。すぐにぶすっとした顔で戻ってきて、「パパに、もうこぼさないでね、って言ったら、ああ!?って凄まれた・・・」

本当に恥ずかしい。息子よ、本当にすまん・・・。

いくらバツが悪かったとはいえ、そんな凄む必要があるのか? 子供相手に、自分の何をそんなに守ろうとしているのか。プライド? 誰だって間違っちゃうことはあるよ。この程度のこと、「やっちゃったー。ごめん」でいいじゃん。そして、掃除してくれてるお店の人には、思いっきり平謝りしようよ。子供には、人に迷惑かけたなら親が謝る姿を見せようよ。

だけど夫はそうではないんだよな・・・。
一般的な大人が自然にできることが、夫はできない。まずなによりも、自分最優先。カッコ悪いことはしたくないから自分の失敗はごまかす。


だけどほんとはそれがいちばんカッコ悪いんだけどね。


そんなカッコ悪い姿を見せて、それでも妻やコドモに嫌われるはずがないと思っている精神は、ずぶといのか鈍いのか。

自分のことしかないから、他人の気持ちがどうかなんて考えもしないんだろう。

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