香港の展示会に参加して気がついたことまとめ
こんにちは、ハイモジモジの松岡です。
10月の終わりごろ、香港の展示会(Asian STATIONERY SHOW in Hong Kong)に参加しました。
文房具メーカーとして海外の展示会に出展するのはこれが初めてだったのですが、いろいろと気づきや反省点があったので、ここに書き記しておきたいと思います。
これから海外の展示会に出展される方の参考になりましたら。
1.英語の配布物を用意したほうがいい
当たり前ですが、海外で日本語は通じませんでした。
日本に留学経験のある人が頑張って話しかけてくれたりもしましたが、やはり日本語は辺境の島国でしか使われていない、世界的にはマイナーな言語であることがよくわかりました。
ですので世界を相手に商談するには英語表記の配布物が必要です。
もちろん中国本土なら簡体字で、香港や台湾なら繁体字で、ドイツならドイツ語で。展示会の開催地の言語版を用意すればより親切ですが、とりあえず英語があれば何とかなる印象です。ビジネスする人はだいたい英語が読めますから。
そこで今回、私たちが事前に準備しておいた英語表記の配布物はこちら。
・全商品が掲載されたカタログ
・主力商品(WORKERS'BOX)のパンフレット
・商談時に参照するプライスリスト(小売価格と卸価格を併記)
・利用している卸売サイト(SUPER DELIVERY)のチラシ
・ウェブサイトにアクセスできるQRコード付きのショップカード
ウェブサイトの英語版も用意しておきました。
と、ここまで用意周到に準備しておきながら、肝心なものを忘れていました。
それは名刺です。
なんと、自分の名前(漢字)のそばにアルファベットの表記を添えていなかったのです。名刺交換をしたバイヤーに「これ何て読むの?」と、もう何度聞かれたことか。
次回は名刺を新調して臨みたいと思います。
2.プライス表記はUSドルがいい
今回、香港の展示会に参加するということで、バイヤーとの商談時に提示するプライスリストの通貨をHKD(香港ドル)で表記していました。
もちろん香港のバイヤー向けには問題ないのですが、香港は世界の玄関口とも呼ばれる国際都市。実際には世界中からバイヤーが来られました。
昨今の香港は政情不安もあって、来場者数はかなり控えめでしたが、それでもアメリカやイギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、メキシコ、韓国、サウジアラビアなどなど、いろんな国から来られてました。
そして色んな国籍の方から「USドルのリストをあとでメールして」と言われました。
さすがは世界の基軸通貨、USドル。
初めからUSドル表記のプライスリストを用意しておけば、その場でもう一歩踏みこんだ形で商談ができたかもしれませんね。反省。
3.通訳を頼ったほうがいい
今回、主催者側から通訳をつけてもらいました。
といっても専属だったわけではなくて、計18社が参加した日本ブース全体に4人が対応するという構成でした。
その通訳さんたちがみな若いのにとても優秀でした。日本語と英語、そしてもちろん広東語ができる上、ちゃんとビジネスがわかった上でメーカーとバイヤーそれぞれの意図をきちんと汲んで橋渡ししてくれました。
ただ、個人的には「英語で話してみたい」という欲があり、中学2年生レベルの文法と事前に暗記しておいた言い回しを駆使して、ひとりで頑張ってみました。
ところがバイヤーと突っ込んだ話になるともう何を言っているのか理解できず、しかもフランス語なまりやポルトガル語なまりの英語ともなると、単語すら聞き取れない状態で困りました。
それでもついつい「ヤー」とか「アーハン」などと愛想よく相槌を打ってしまうので、後ろからサポートしようと待ち構えてくれていた通訳さんたちに「こいつ会話できてるやないか」と安心させてしまったようなのです。
いやいや、ほんとはもっと助けてほしかった。
展示会への出展はビジネスチャンス。できもしない英語で「会話できた風」を装うのではなく、今後はちゃんと通訳さんに頼ろうと思います。
4.ホッチキスを持参したほうがいい
世界中から来られたバイヤーに共通していて面白かったのが「パンフレットと名刺をホッチキスで留める」という行為。
どのパンフレットがどこのメーカーのものなのかを後になって参照しやすいように、ひとまとめにしておくようなんですね。中にはノートの1ページに名刺をホッチキスで留めて、その横にメモ書きする方もいました。
これ、日本国内の展示会ではあまり見られない光景でした。
ただ、このバイヤーさんたちみんな、なぜか自分のホッチキスを持ってないんですね。毎回「貸して」と言われ、そのたびにたまたま持参していたまわりの出展者に頭を下げて貸してもらってました。
いやいや、自分のホッチキスくらい持ってきてよ。
と言いたいところですが、海外の展示会では「ホッチキスは出展者に借りるもの」という認識なのかもしれません。
ちなみに英語ではホッチキスではなく、ステープラー。
次回またバイヤーに「ステープラー(を貸して)」と言われたら、0.5秒で取り出せるよう心積もりをしておきます。
5.同業者に気をつけたほうがいい
これは海外に限らないことですが、展示会、見本市といった類のイベントには「なにか模倣できるものはないか」と探しにくる、イケナイ同業者がやってきます。
パンフレットやサンプルを会場でかき集め、社内に持ち帰っては「パクれそうなもの」を吟味する。その手のけしからん人たちが実際にいるのです。
この点、海外の展示会では特に注意したいものです。
というのも、もしも模倣されたら、国境を越えて係争することになるわけで、なにかと面倒くさくなります。
ビジネスを拡大したくてわざわざ国外の展示会に出展したのに、本業に支障をきたす事態になってしまっては、たまったものではありませんよね。
そこで、できる対策としては、むやみやたらにパンフレットやサンプルを配布しないこと。
「この人なんだかパクりそうだな」と思いながら接するのは失礼ではありますが、ずっとブースに立っていると、その人にまじめな商談をする気があるのかないのか何となくわかってきます。
そして「商談しない側の人だ」と直感が働いたら「パンフレットは配布してません」「サンプル提供は行っていません」と、きっぱり断っていいと思います。
それでも断りきれない(パクリ業者かどうか判断がつかない)ことがあります。今回、私たちは「名刺交換」を条件にしました。
相手の名刺をもらって、その方の身元が分かれば、すこしは安心しますしね。
ただし、その名刺が本物であるかどうかの保証はありませんが・・・。
6.盗難に注意したほうがいい
展示会はたいてい2日間や3日間、開催されます。ですので搬入日に陳列したあとは、閉幕するまで商品をそのまま並べておきます。
一応、用心のため、今回の展示会では主催者側から不織布のカバーを提供してもらい、商品の上から被せて隠していました。とはいえ鍵をかけたわけではありません。
今回の展示会では、2日目の朝に展示用サンプルがひとつ盗まれました。
サンプル自体は予備があったので問題ないのですが、そのサンプルは小さな箱型の商品で、中に配布用のショップカードが入っていたので困ったことになりました。
きっと「犯人」は中身も確認せずに、とりあえず持っていったのでしょうけれど、せめて中身は置いていってほしかった。
また、昼食時やトイレに行ったときなのかはわかりませんが、ふと目を離したときにも別の商品を盗まれました。
日本の感覚だとモノを盗られることがほとんどないため、わりと不用心になってしまうのですが、世界では「盗られる方が悪い」と何かのガイドブックにも書いてありました。
ひとまず今回の件は「盗みたいほど商品に魅力があったから」だと好意的にとらえておきます。
今後は気をつけます。
7.最終日は販売できる
これは過去に出展経験のあるメーカー仲間にもともと聞いていたことですが、海外の展示会では最終日に「販売」をしてもいいようです。
出展者としても自国に商品を送り返す運賃を省ける上に、ちょっとした小銭も手に入るため、願ったり叶ったり。
また、バイヤーに限らず一般の方も「メーカーから直接安く買える」とあって、それを目的に来られるとのこと。
香港の展示会でも実際にそうでした。
初日や2日目には見られなかった、キャスター付きのキャリーバッグをゴロゴロ転がして「売ってくれるメーカーはいねえがあ」と、会場内を歩きまわる方々がたくさんやってきました。
きっとたくさん買って、たくさんバッグに詰めるんでしょうね。
私たちも、あまり数は多くなかったですが、希望者に販売しました。バイヤー向けの商談会で、一般ユーザー向けに販売するという、国内ではあまり味わえない体験でした。
8.メールのテンプレを用意したほうがいい
展示会の終了後、名刺交換をさせてもらったバイヤーにはアフターフォローのメールを送ります。
言語はもちろん、ビジネス界の共通言語である英語。
ですが普段書き慣れていない英文メールを送るのは、ついつい億劫になりがちです。対象人数が多いと、すべての人に送るのにずいぶん時間がかかってしまいます。
実際、私たちも名刺交換をしたすべてのバイヤーにメールを送り終えたときには、展示会が終わってから1週間が経っていました。
でも鉄は熱いうちに打て。
相手の記憶が薄れないうちに、まだ自分たちへの興味・関心が残っているうちに、早めにメールを送るのが吉です。
そこで事前に「フォローメールのテンプレート」を英文で用意しておくといいと思いました。
展示会でお会いできてうれしかったです、私たちのカタログとプライスリストを添付します、ぜひよいお取引をしましょう。その程度でいいと思います。
そしてそのテンプレに、各バイヤーが興味を示してくれた部分を補足したりとアレンジを加えるだけ。
と考えれば、ずいぶん気がラクになり、今後はメールもさくさく送れるはずです。
9.最後に
海外の展示会はモノを仕入れる権限のあるバイヤーがやってきて、その場で半年ないし1年分の仕入れをその場で行うのが一般的だと聞いたことがあります。
ですが今回参加した香港の展示会は、国内の展示会と同じく「一旦社内に持ち帰る」「あとでメールして」のパターンでした。
英語が不慣れな日本人とはあとでメールでやり取りした方がいいという判断なのか、たまたまバイイングの決定権がない人しか来なかったのか、理由は定かではありませんが、すこし拍子抜けしたのも事実です。
香港以外の展示会はどんな感じなのでしょう。他の国でも出展してみたいものです。
ちょっとした旅行も兼ねられますしね。
それでは最後に、香港の写真をすこし。
▲展示会場は1997年に「返還式」が行われた場所でした
▲香港の紙コップはなぜか三角すい
▲香港、大都会すぎ
▲カレー風味のチキンが美味すぎた大衆食堂
▲100万ドルの夜景も見れました
いやはや、いろんな気づきがあった、楽しい展示会でした。
みなさんも何かの参考になりましたら。
【お知らせ】11月16 - 17日は「紙博 in 台北」に参加します
公式サイトはこちら
http://kamihaku.jp/201911/
いただいたサポートは、新しいアイデアを形にする【試作費】に使わせていただきます。ありがとうございます。