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ハイモジモジ10周年ふり返り(2期目の前半)

ハイモジモジ代表の松岡です。

2010年4月28日に創業し、間もなく10周年を迎えます。そこで、この10年の歩みをふり返っていきます。今回は2期目の前半をお伝えしていきます。


東日本大震災が発生


2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本全体に大きなダメージを与えました。

私たちハイモジモジは国立市にあった自宅兼事務所がそれなりに揺れた以外は、特段の被害を被ったわけではありません。けれども、その影響はいろんなところで出ていました。

一番大きかったのは物流です。同じ都内であっても荷物を届けるのに1週間ほどかかるケースや、予定通りに届けられる保障がないため着日指定のある荷物を受けつけられなかったりもしました。

ひとり個人のお客さまで、私たちの「Deng On」を結婚式のプチギフトとして参列者に配りたいといって、震災前にたくさん購入してくださった方がいました。お届け予定日は3月の後半で、まだまだ情勢が落ち着いていなかったころです。


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そんな中でも結婚式を挙げる決意をしたと連絡があり、どうしてもギフトを間に合わせてほしいという連絡がありました。そこでお届け予定日の1週間前に運送会社のドライバーさんに事情を説明したところ、必ず届けられるとは言い難い状況だと言われました。

それでも届けてもらえることを信じて、配達をお願いしました。結婚式の会場は日比谷の帝国ホテルでしたから、国立から電車で約1時間半。もしも預けた荷物が期日に間に合わない場合は、もう1セット同じものを用意して、結婚式当日に自分で届けるつもりでした。(最終的に無事届けられました)

社会が混乱している中でも挙式する決意と熱意に応えたいと思いましたし、何より人様の一世一代の晴れ舞台に私たちの商品がお役に立てることがうれしくて、今でもこのときのことを覚えています。当時ご結婚された方、今でもお元気でいらっしゃいますか。


相次ぐメディアの援護射撃


東北地方はもちろん、首都圏にも大きな影を落とした大震災。食料の買い占めが起こったり、計画停電が実施されたりと、非常時であることを強く意識させられた時期でした。ある電気が止められた夜、自宅のリビングで懐中電灯を照らし、ラジオで天皇陛下(現上皇)のお言葉に励まされたことが記憶に新しいところです。

さて、そんな混乱期にあっても商品の売れ行きは絶好調でした。というのも、メディアの援護射撃が相次いだからです。

とくに反響が大きかったのはテレビ朝日系列の『雑学王』。爆笑問題の司会で、5名の芸人さんが回答する深夜の人気クイズ番組でした。


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しかもただの商品紹介ではなく「これはどういう風に使う商品でしょうか?」と問いかけるクイズ形式でしたから、視聴者の関心もぐんぐん高まっていきます。

そうして放送終了後は直販サイトにアクセスが殺到し、数秒おきに注文が入る状態でした。クイズの出題と回答でCMをまたいだところも、大きな関心を寄せる結果につながったのだと思います。

もちろん、問屋さんや小売店さんからの注文も殺到。ますます在庫が足りない日々が続きます。


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毎週、何かしらのメディアで取り上げられる中、一風変わっていたのは台湾最大の語学学校「地球村」の日本語教材で「Deng On」と「LIST-IT」商品が取り上げられたことでした。

上野のパンダだったり、天候皇后両陛下のことだったりと日本を代表するトピックがふりがな付きのかんたんな日本語で紹介される中、なぜが創業わずか1年の零細メーカーが同じ冊子のなかで並ぶという奇跡。

去年、台湾を訪れたとき、たまたまこの学校の広告看板を見つけ、とても懐かしい気持ちになりました。


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▲写真は2019年11月のもの


事務所を吉祥寺に移転


とにかく2期目の前半は、ありがたいことに商品の出荷にかかりきりでした。取引先もどんどん増えて、受発注をくり返しては目まぐるしく荷物を出荷する毎日。「Deng On」の種類を増やしたり、ノベルティー依頼に応えたりはしていましたが、新商品を開発する余裕はまったくありませんでした。

そして会社の業績はうなぎのぼり。一方、個人としての生活は「震災」と「激務」で疲弊していました。

とくに松田(ハイモジモジのデザイナー兼妻)が「ちゃんと寝られない」と言ったのは驚きました。

まだ震災の余震が残っていた時期で、地震速報のアラームもストレスフル。当時入居していた自宅兼事務所の壁にひびが入ったことも輪をかけて、安眠できない日々が続いていたようなのです。

そこで私たちは事務所を移転することに決めました。

家庭と仕事を建物でわけ、個人と法人の区別をはっきりさせて、より会社らしくあろうとしました。そしていくつか物件を探した中で、吉祥寺の分譲マンションの一室に巡り合います。

まずはそこを事務所として借り、国立の自宅から毎朝通いながら、住居としての物件も吉祥寺近辺で探しました。なかなかこれという部屋が見つからず、激務と人生初の通勤疲れで胃潰瘍になったりもしました。

そんなとき、事務所のとなりの部屋に空きが出たことを知り、すぐに入居を決めました。結局、壁を一枚隔てるだけで、事実上の自宅兼事務所。

ともあれ、2011年の夏。ハイモジモジは吉祥寺を拠点に、ますます活動に脂を乗せていくことになるのです。


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ハイモジモジ10周年まで、あと21日。

(つづく)


【ハイモジモジ PROFILE】
2010年創業。「Kneepon from Nippon!」を合言葉に、思わず膝を打つアイデア・プロダクトを日本から発信している。キーボードに立てる伝言メモ「Deng On」、耐洗紙のメモ「TAGGED MEMO PAD」でグッドデザイン賞を受賞。人気シリーズ「WORKERS'BOX」好評発売中。

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