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思いやりと優しさが社会を変える。

先日、青山で予定を済ませて、立ち寄った「クレヨンハウス」。変わらず心躍る絵本がたくさんあり、我が家にもある絵本たち、息子たちが大好きな絵本たちを棚に見つけると、たくさんの笑顔が次々に浮かび、心優しくなる。

そして、環境や人権や平和や健康や・・・この美しい地球に、ほんのちょっと一時期、ちょっとだけ住まわせてもらっている、に過ぎない私が、延々続くだろう未来を見据えて、今すべきことは何か、と問いかけてくれるお店。

久々にB1Fでランチを頂くことにした。オーガニックの優しい味が体中に染み入り、ふと見渡すと、少し離れた席にはオーナーの落合恵子さんが何かの打ち合わせだろか、3人の女性と食事をされていました。紙面等で拝見する落合さんのままだ、と妙に感動しながら、私が落合さんの年齢(75歳)になったとき、何をしているだろかと妄想してみる。

10年前、初めての子育てに一喜一憂し、あたふたばかりの日々。熊本で出産してからの育児休暇は、すでにキミハルさんは東京に移動していたので、数ヶ月を、当時、川崎市多摩区のマンションで過ごしていました。慣れない育児と、殺風景なマンションの部屋に仮に揃えた「家族」のあれこれ、仕事用の服も靴もなく、何となく持ってきたカジュアルな服ばかりの冴えない私の毎日。2010年の梅雨は、とてつもなく寒くて、東京の梅雨に心身冷え込んだっけ。

とにかくよく泣く子だったので、おちおち電車にも乗れない。電車で愚図りだしたら、電車の中でさえ(時には、降りる予定もない駅で飛び降りてベンチに座り!)授乳ケープの下でオッパイをあげていました。「泣く子にオッパイ」が私の育児の唯一の方法だったのです。

重ね重ね、10年前のよく晴れた日、長男を連れ、華やかな青山に一度は行ってみたいという心躍る気持ちで、家族3人の青山デビューは、そう、クレヨンハウスでした。

赤ちゃんfirst、子どもfirstの優しい店内はすこぶる心地よく、3人で外食、B1Fのレストランでランチをしました。赤ちゃん連れということで、奥の座敷席に案内していただきました。

元気な息子は一通りお腹が満たされると、座敷の狭い空間をハイハイし出したり、テーブルの縁をたどたどしく触りながら、伝い歩きをし出しました。

と、隣のテーブルに座っていて女子トークに盛り上がる女性(20代後半~30代前半あたりかな)の一人が、唐突に、私たちに、

「うるさいんですけど。ちょっと静かにしてもらえませんか。」と、言ふ。

一瞬、何のことだか。思考停止。

がーーーーん。

いやいや、まってよ、ここは、子連れ同伴OKの座席じゃないの?

だって、そんなに泣き叫んでないじゃない?(泣いたらオッパイするし!)

一言も返答できず、小さく「すみません」と言った後、ただ悔し涙が溢れて止まりませんでした。東京って、何ていじわるなの。赤ちゃん連れに厳しい人がいるってホント信じられん!こんな大都会はニンゲンの住むとこじゃなか!私には絶対に住めん!はよ帰ろう!地方はみんな優しかとだけんね!と九州弁丸出しの心の叫びが次々に。


その10年前の私がクレヨンハウスB1Fには同居しています。笑。もちろん、今は、そんな一言に傷つくことは微塵もないし、そう言い放った彼女だってその後、子育てをして、どんなお母さんになっているかなと妄想も楽しいのです。都会は冷たいと思っていたけれど(他にも冷ややかな態度を向けられたことがあったし、ニュースや新聞等で子連れが批判されることをしばしば見聞きもしました)、でも、この10年でずいぶん東京も優しくなったよね、と夫婦の意見は一致しています。

10年前、出産は人生で1度きりでウンザリだと思っていた私が、まさか3人の「男子」の肝っ玉母さんになっている。年々、強くなっている。ランチを頂きながら、当時を思い出しては苦笑いもいいところでした。そう、この育児の経験こそ、私には必要だったのだと、2度ではなく、3度というのも必要で、三男坊が産まれたからこそ見える社会があるからです。すべてを糧にして前に進もう。

我が家の手のかかるウルサイ息子たちよ。ファミリー民主主義を地で行く我が家は、上下関係なく、立場も財力の有無も関係なく、性別はもっと関係なく、自分の頭で考え、対話を重ねながら、解を導きます。徹底して。でも、優しさと思いやりは絶対に忘れずに。

いろいろな人がいる、いろいろな生活。子育てが楽しく仕方ないお母さんもいれば、この子がいなければと思うお母さんだって、いないわけではない。都会では信じられないような教育熱の加熱で、相当の教育費を子どもにかけている(かけられる)家庭もあれば、日々の満足な食事が難しい家庭だって、ある。

いろいろな人がいることを、わかり合おう。誰もがもつ、思いやりと優しさを、ぜひ出し惜しみせず、与え続けよう。

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