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パリ、東京、行ったり来たり。(8)パリでバレエレッスン

 私は趣味でクラシックバレエを習っている、大人バレリーナでもあります。そんな人たちが間違いなくフランスで行きたいところ、オペラ座。実は私オペラ座でバレエを鑑賞したことは、まだありません。たぶんこれからもないかもしれません。だけど、パリに行ったときにはいつも、オペラ座のおみやげショップに立ち寄っています。ここには、オペラ座の名前が入ったグッズやレッスン音楽のCDやバレエのDVDや本など、見ているだけでもとても楽しいです。
 なぜ、オペラ座でバレエを見たことがないかというと、私のパリ滞在ではバレエ鑑賞の優先順位が一番ではないので、オペラ座のバレエシーズンに合わせていくということをまったく考えていないからです。他の劇場でバレエやダンス、サーカスとか、ライブとか、あまり言葉のない舞台などを観ることが多いです。オペラ座の中は見学だけしましたが、ほんとうに素敵でした。とくに天井のシャガールの絵がとても素晴らしかったです。
 何年も前、パリで一度バレエのレッスンを受けたことがあります。ネットで見つけた情報で、旅行者でも受けられるオープンクラスがいくつかあることを知っていきたくなったのです。言葉はいまよりぜんぜんわかりませんでしたが、日本でもバレエの用語はフランス語なので、むしろ聞きなれた言葉で、レッスンは何の問題もありませんでした。たしかそのとき、受講料は15ユーロくらいだったと思います。そのときのレートで違いはあるにしても、感覚的には日本のレッスンと同じくらいかなと思いました。そのクラスは、たしか「中級」でした。今思えば、日本でも万年初級クラスに参加している私が、本場フランスで「中級」クラスを受けるなんてたいした度胸だと思いますが、その時は熱心にレッスンにたくさん通ってた頃だったので、初級ではものたりないだろうな、と思ったのです。でも、受付でお金を払うときに、「初級じゃなくていいの?」みたいなことを言われたような気がします。ほんとに不思議なのですが、フランス語がほとんどわからなくても、こういうときは何を言われているかわかるのですよね。
 この時のクラスは、私よりちょっと年上かなと思うような女性達が15人くらい参加していました。すごく上手な人はひとり(この人はアジア人でした)くらいで、そのほかはみんなそこそこで、私でも気にせず参加できました。・・・というか、だれもみんな他の人のことなんか気にしてない様子でした。日本のバレエクラスだと、初めての場所に行くのはほんとに緊張するのです。「初級」といっても、みんなすごく上手な人ばかりだったりしてついていけないこともあるので、ほんとに気をつかいます。慣れないところに行くと、なんとなくみんなが冷たい感じがしたり。むしろ、パリのクラスの方が「中級」でもヘタな人も混じっていたし、ついていけなくても、先生も他の生徒も誰も気にしてないし気が楽だったような気がします。それは私がその時だけの参加だったからなのでしょうか。
 レッスンが終わって更衣室で着替えていると、ひとりの人が私に「芸者」について質問しました。ゲイシャという言葉は聞き取れたのですが、そのほかは全くわからず。でも、状況からいって、私が日本人だと思って芸者のなにかについて聞いたのでしょう。私は唯一覚えていったフランス語「私はフランス語がわかりません」と言いました。なんともなさけないですが。すると、クラスで一番上手だったアジア人(この人は日本人のように見えましたが、違ったようです)の女性がなにか助け舟をだして言ってくれて、なんとなくその場がなごやかに終わりました。この時のスタジオはオペラ座の近くではなかったですが、オペラ座の近くにもいくつもこのようなスタジオがあるようで、時々外からもレッスンの様子が見えることもあります。そんなときも、私も親しみが持てるようないかにも趣味といった感じの雰囲気で、また行ってみたいなと思ったりもします。ちなみに、日本では大人からバレエを習い始める人も多く、発表会や舞台に出られる機会もありますが、フランスの大人バレエは発表会はないと聞きました。プロ以外は、やはり子どもの習い事という印象が強い感じです。フラメンコやボリウッドダンスの趣味の発表会は観たことがあって、これは出演者の子どもや恋人などが観に来てて、応援している様子を見るのもとても楽しかったです。
 プロの舞台はもちろん、このような趣味の舞台を観るのも、パリでの楽しみのひとつです。
 でもすごく不思議なのは、パリもいろいろな人種の人たちがいて、私も日本人というよりは「アジア人」という種類としてそこにいる感じがしますが、こういう舞台などを観に行ったときに、そこにはほとんど白人しかいないのです。もちろん、私も超少数派。アジア人と思われる人は、そこの劇場にいる人のなかで私を入れて5人もいない感じです。白人の家族と一緒にいる黒人もすごく少数いますが、ほんとうに少ないです。これは、パリの謎のひとつだと思います。
 

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