古代史構想学 入門編(12)

神武東征と徐福伝説を訪ねる熊野への実地踏査ツアーの3回目になります。

勝浦温泉で旅の疲れを癒した3人の2日目は補陀落山寺からスタート。ここは今回の主旨に関係ないのだけど、極楽浄土を目指して小船で漕ぎ出すという思想に興味があったので立ち寄りました。しかし残念ながら、ここから旅立った人々の名が刻まれた碑を見ても、保存されている実物の渡海船を見ても、本尊の観音さまを拝んでも、その思想は理解も共感もできませんでした。

次はいよいよツアーのメインイベント、熊野那智大社の参詣です。熊野まで来て熊野古道を歩かない訳にはいかないという同行者の強い意向で、大門坂の駐車場に車を停め、歩いて登ることにしました。何度も熊野へ来たことのある私にとっても初体験で、いい思い出になりました。

那智1

那智2


熊野那智大社は神仏習合が現在もそのまま残されているが如く、境内には西国三十三箇所一番札所の青岸渡寺が隣接して建っています。以前に来た時はお寺で二礼二拍一礼という失態をやらかしてしまったので今回は気をつけました。(由緒ある神社とお寺が並んでいて、しかも先に神社をお参りしたら間違っても仕方ないと思いませんか(笑))那智大社の主祭神は速玉大社にも祀られていた熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ=イザナミノミコト)です。

那智3

この那智大社は他の二山と違って、どうも神武東征や古代史とは関係がなさそうです。那智の滝に対する自然崇拝と修験道の拠点としての山岳信仰が融合し、その後に熊野信仰の対象になったという印象です。そういう意味でここは記紀神話をもとにしたテーマパークとも言えます。青岸渡寺には修験道の開祖とされる役行者(えんのぎょうじゃ)の像が安置されていました。

那智4


ここからは再び徒歩で那智の滝に向かいます。那智の大滝をご神体とする飛瀧神社は主祭神として大己貴神を祀っていて、ここも記紀神話テーマパークの一部になっているようです。ちょうど先日、7月14日に行われる扇祭りのために大滝にかかるしめ縄の張り替えが行われ、ニュースで放映されていました。 さすが日本一の落差。日光の華厳の滝なんかとは比べものにならない迫力と威厳を感じます。別料金を払ってより滝に近づける拝所に上って滝の飛沫を浴びていると心が洗われる気がしました。

那智5


私たちが神社にお参りするとき、お賽銭箱が置かれた拝殿の前で拝みます。
そして通常はその拝殿の奥にはご神体が納められている本殿があります。でも、この飛瀧神社の場合、滝そのものがご神体なので本殿がありません。しかも、ここには拝殿もありませんでした。滝の正面に小さな鳥居⛩があって、その前にお賽銭箱が置かれているだけでした。その意味で、自然崇拝の原始信仰がそのまま残されているように感じました。

ところで、私は「ご神体」というのは神様のことだと思っていたのですが、神社のことを少し勉強してそれが間違いだとわかりました。ご神体というのは神様が天から降りてきたときに宿る依り代なんですね。そんなにわか仕込みのマメ知識を2人に披露しながら那智山を後にしました。JR那智勝浦駅の近くで美味しいマグロ丼を食べた後はいよいよツアーのフィナーレへ。


⇒ 古代史構想学に基づいてまとめた古代日本建国の仮説「古代日本国成立の物語」を電子出版しました。是非ご覧ください。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ありがとうございます!
2
仕事をしながら古代史を学ぶ自称「古代史勉強家」です。全国の遺跡や神社、歴史博物館を巡っています。博物館好きが高じて学芸員資格を取りました。古代史の学びを通じて人生を充実させたいと思います。こちらも是非ご覧下さい→http://kodaishi-gakusyu.blog.jp/

こちらでもピックアップされています

古代史構想学(入門編)
古代史構想学(入門編)
  • 16本

ともに古代史を学ぶ先輩が私たちの学びを「古代史構想学」と名付けました。空想でも妄想でもなく構想です。ディテールの研究は専門家に任せる。その専門家の研究成果を拝借しながら自分の考えを論理的に組み立てて古代史の骨格を構想する。それが「古代史構想学」です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。