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習作だった僕の神、終演。〜演出の振り返りその3〜

もう一ヶ月近く前の話ですね。
なんでこんなに書くのが遅くなったかというと

団員で沖縄に行ったり喘息の発作が現在進行中だからです。

もう記憶の彼方になってしまったのですが
「習作だった僕の神」、全公演終了しました。
ご来場いただいたみなさま、ありがとうございます。

一ヶ月まともにタイピングしてないととても誤字が多くなりますね。気をつけます。

暁役 深水宙

村はずれの薬屋で、謎の生命体「Kenji(CV.尾野由季)」と共に生活するケガレ。

迫害されながらも、紗良の思いを胸に秘めて日々生きています。

彼女の達観した視点は、彼女が経験した凄惨な過去があるからこそ。
私たちに信じた神が殺され世界が滅ぶなんていう過去がある人はいないとい思うけれど
「逃げるか、戦うか。」「迷うな!為すべきことを為せ!」
など、自分に決断が迫った時に言ってほしいことをしっかり与えてくれる人物。

暁自身は逃げた人で、身を潜めて生きていますが
彼女の周りの神楽や晃希が、彼女を救ったのではないかな、と思っています。

深水の出会いは一昨年の冬。
第三回公演「Party Ghost〜隣の部屋の幽霊がうるさくて夜眠れない件について〜」という、タイトルめっちゃ楽しそうなのにメリーバッドエンドというЯeality史上最大のタイトル詐欺の公演の稽古場に、深水が色鳥に連れられて稽古場見学に来たのです。

その時、雨草演じる「美保」という役のダブルキャストを探している状態でした。

何分か(本当に何分か)話て、いきなり「舞台でない?」と声をかけました。
私以外全員驚いていたのですが(深水は演劇初心者でした)
私は「いけるっしょ」と思っていました。

今ではあのときの自分の直感を褒め称えたい。

今回の暁という役は、他の団員四人が物語の軸にいる中、一人だけちょっと離れた位置にいます。
深水がЯealityで演じる役は、全て「普遍との境界線」という魂の名の下にあります。
普通と異端、善と悪、ケガレ。
そんな、私たちが区別しているものの境界線に立っている人物、という意味です。

彼女が演じる暁は、その雰囲気や言葉を超越する説得力があるように感じました。
自らが迷った人間だからこそ、発せる言葉たち。
深水のどこからそんな感情が出てくるんだろう、と毎回不思議になりながら
彼女以外にこの役はできなかったな、とも思っています。

暁という人間が、誰かの支えになるのではないか、と思います。

姫役 色鳥トヲカ

佐藤稔の記憶の人格であり、佐藤稔を幸せにさせないために存在する奪う神。
神と慕われながらも、実は一般的に思う神とはかけ離れた存在。
姫の信仰って紗良だと思うんですよね。
稔を守るために信じている神。

姫は、佐藤稔が大切なものと決別するためにニエを殺します。
実は習神バッドエンドバージョンなるものがあるのですが
そこでは稔がニエを殺してしまいます。(そのあと闇落ち兵吾が大暴れ)
それも、「佐藤稔」がニエを殺さないと、大切なものとの決別にならないからなのです。

姫は、最初から伏線がありまくりなのに、ラスト20分にならないと正体がわからない難役。
トヲカは基本的にЯealityで難役を請け負いがちなんだけれど、今回は一番難しかったんじゃないか。。。

トヲカとは、中学一年の時に演劇部で一緒になって。
当時はめっちゃ仲が良い!という訳でもなく、学年に3人しか部員がいないから自然と話すようになった感じ。
高校で私が部活に行かなくなっても、なんとなくお話はしていて
彼女のツイッター監視により私の今後が筒抜けになっていたり。

高2の最後にもらったお手紙、いまだに大切に取ってあるよ。

私が演劇の沼に引き込んで人生狂わせたと言っても過言ではないから、
何かあったら呼びつけください。

ニエ役 青木まり

田淵涼乃のスケッチブックの世界の人格。
良い子でいなくちゃ」という呪いにかかっており、
良い子でないと愛されない。死ぬことが周りの望みならばそれさえも叶える」という女の子。
誰の中にでもいる、愛されたい自分が少し歪んでしまったのではないかな、と思います。

最後は、自分を兵吾に受け止めてもらえて、彼女は優しく強い女性になります。
少女から女性への転身。私の中の「田淵涼乃」のテーマでした。

少女、というのはとても不確かな存在で。
周りに望まれる通りに生きてしまう、この涼乃という少女は、どれだけ自分のスケッチブックの世界のニエを殺してきたのだろうと思います。

誰しも承認欲求があって、誰かに認めてほしいものだけれど
その方法を間違えてしまうと、周りの認めて欲しかった人に利用されてしまう。
その度に大切なものに蓋をして、心も奥に閉じ込めて殺していたんだろうな。。。つら。。。

けれど涼乃は、兵吾に愛されることによって、「良い子の呪い」を解いていきます。
良い子の呪いが解けたら、彼女は他の呪いにかかっている人々を救い出します。

自分を認めることが、結果的に大切な人を助けることになるんだな、と、薄ぼんやり思いながら演出していました。

青木とは小3から児童劇団で一緒に稽古していたのですが、在団している時はそんなに話しませんでした。
なんとなく、近づき難くて。
今では信じられませんが、青木さん高嶺の花キャラだったんですよ。
(兵吾Aのノザワは高嶺の花先輩の相手役で苦しんでました。。。)

彼女と卒団しても演劇するつもりは、実はあんまりありませんでした。
けれど、ツイッターで「演劇したい」とつぶやいているのを見て
これ運命なんじゃない!?」と思って誘ったのです。

最初「一回だけ」とか言ってた気がするんだけど
結局最後まで一緒にやりました。

Яeality以外で演劇しないと公言していますが
それは勿体無いなと思いつつ、たった一つの出演団体が私のЯealityで誇りに思うのと半々な気持ちです。

稔役 丹波枠

晃希と兵吾と三人でつるんでいて、最初ただの回し役かと思ったらこの世界の主だったというどんでん返しの大役。
久しぶりのЯealityお得意系どんでん返しポジションだな、と思って見てました。

この役は宣伝しづらい。だって言ったら全部ネタバレなんだもん。。。
という訳で、団員の中で彼だけ唯一赤字だったんで、
もし彼がよかったなと思ったならば、次の舞台見に行ってあげてください。
Bキャスト兵吾、田淵の杉山聖弥と浅野真琴も出演しています。

正直、一番私が向き合いたくない役でした。おそらく枠も。
「思い出したくない過去を封じ、その罪を背負いながら生きる」ということは
「幸せになってはいけない呪い」を永遠に自分にかけ続けることだと思います。

けど、それで幸せになる人っていないんですよね。

ニエが呪いから解かれて幸せになったように、呪いに良い呪いなんてないのです。

もうこの役について語ると泣き始めちゃうんでやめます。
とりあえず赤字丹波枠を応援してあげてください。。。

枠との出会いは第四回公演のワークショップオーディション。
もともとワークショップだけの参加予定だったのですが、
なんか、ビビッときちゃったんですよね。
あ、この子育ててみたい」的な。

深水の時と同じように、私の独断専行でオーディション合格させようとした気がします。
やはり周りからは「大丈夫?」みたいな声も聞こえましたが、無視

今ではアンケートでほぼ全ての回答に名前があげられるような役者になりました。やったぜ。

彼はその映画で培った知識を土台に、もうそれは幅広い役を演じてくれました。
これからが楽しみな役者です。

晃希役 中村拓海

白のスケッチブック、佐藤稔の心の中に飛び込み、神殺しを頼まれた少年。
現実世界ではいじめを受けていて、なんか色々大変な人。

昔は絵を描くことが好きだったのに、離婚した父親に「お前が絵を書かなければ」と言われたために絵を描かなくなりました。

晃希は、私から見た中村、という気持ちで演出していたのですが、
最後の最後で、私は晃希に寄り添えていなかったことに気がつきました。

私から見た中村は、いつもどこか遠くを見ているようで足元の花を踏まないような人間です。
頭が良いからなのかわからないけれど、様々な問題をテキパキ整理していく。

晃希も、なんとなく、そんなイメージだったのです。

私は、彼に助けられたことがあります。
稽古の帰りの、電車の中で。

12年前私がかかった呪いを、一番最初に解き初めてくれたのは、中村でした。
(この話を知りたい方はこちらを読んでください。。。あまり気持ちの良い話ではありません。。。

そんな彼の、たった一つの側面から私は判断してしまっていたのだな、と反省しました。
本当にごめん。

私にはわからないところで、悩んで、考えて、苦しんでいたんだなということを、ひしひしと感じています。
私には絶対に必要だった人なのに、私はちゃんと渡せてなかったのかな、なんて一人で考えていたり。

中村との出会いは、青葉区小中高生ミュージカルでした。
中村が演出助手で、私が衣装助手。
当時のこと、あんまり覚えていません。
「今から衣装合わせするので、この役の子達もらっていいですか?」
みたいな話しかしなかった。

そのミュージカルの出演者に、園部瑠奈と田川莉子がいたんですよ!!ご縁!!

第三回のオーディションに来て、もう初めから合格させること決定だったんで適当にやってたら圧迫面接と怒られました。
そんなつもりなかったんだけどな。。。ごめん。。。

そこから入団するかみたいな話になって青木さんとバトって
第五回公演から団員に。
もう、私のグダグダ運営にはかかせない人です。

この人がそばにいてくれれば、私、自分の思うこと全部できるのになぁと思うのですが
彼の人生は彼のものなので、また気が向いたら一緒にお芝居作りましょ。

まとめ

長々とまとめてきた習神レポートも、これでおしまいです。
Яeality、きっとそのうち復活すると思うんで、その時まで待っててくださいね。

Яealityを応援してくださった全ての方に、感謝を。

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!