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涙月花の裏話〜楽曲について〜

劇団Яeality第8回公演
「七月の涙夕月夜の花束」
全公演が終了しました。

こんなご時世に劇場にご来場頂いた方、
遠くから応援してくださった方
本当にありがとうございました。

演出、音響、音楽、衣装、振り付けと今回も様々なことをやったのでそれぞれの裏話をしたいと思います。

イカしたノリノリお兄さんと素敵なショータイム!


実は、一番最初に作った曲は京のキャラクターソング
「it's show time〜イカのおすし〜」でした。
大学の授業中にふと思い立って作詞、作曲までしました。

個人的に京のイカしたお兄さん部分と鬼の二面性が大好きなんですよね。それを表現したくて。
「お揃いのブレスレットをしようぜ」(呪いの手錠をつけよう)
「このまま時が止まればいいね」(由奈への誘惑)
「かつて恋した少女の影」(芦屋とさりを重ねる)
など、前半のポップな歌詞の中にもちょくちょく鬼の部分が出てきます。
たった独りで死ぬこともできず、人間になることに憧れた鬼。
そんな孤独は誰の中にもあるのではないかと思います。

変態な発言ばかりが目立つ京。
しかしその裏では、鬼であるが故の孤独や疎外感がある。
魂を喰らうことでしか生きられない。
幸せになれない。
そんな鬼を誰かが受け入れてくれる日を待つばかりです。

Teardrop tears a bouquet of love


次に作ったのはオープニングテーマです。

和訳すると、「催涙雨が愛の花束を引き裂く」です。
歌唱はЯeality常連客演だった雨草樹季さんにお願いしました。
彼女はこの作品の初演で真季を演じていたこともあり
作品をよく理解し表現してくれました。

この楽曲で一番最初に作った歌詞は
「永遠に眠れ哀しき鬼 愛しき人はあなたを救えない」
という一節でした。
鬼としての京が永遠の眠りにつき、人間として生きる為には、愛しき人からの愛が必要でした。
しかし、京の愛しき人である芦屋と彩子は京を救うことはできません。
京を愛したけれど京の最愛の人になれなかった芦屋。
京の最愛の人だけれども京を愛せなかった彩子。
愛しき人だからといって、「鬼」を救える訳ではない。

「永遠の愛を誓いし姫は 彦に己の命を預ける」
芦屋は京のために自害し、京に命を預けます。
芦屋は紅の月として、夏祭りの日に空から京を見守ります。
芦屋の「どうか皆んなが幸せでありますように」という願いは、芦屋の体が失われても浮世を漂い続ける。

「手から溢れる愛しい人 流れた星は鬼の涙」
この作品で、最後に愛しい人と生きて一緒にいれた人物はいません。
誰もが愛しい人のために動いたのに
誰もが愛しい人の幸せを願っていたのに
その願いは叶いませんでした。
引き裂かれた者が流した涙は
鬼が流した「寂しかった」涙と同じなのではないでしょうか。

独りで泣く子は誰だ

香織のキャラクターソングであるこの曲。
夕月夜のわらべ歌を軸に作りました。

夕月夜の果ての果て
独りで泣く子は誰だ
おてて繋いで笑いなさい
キョウに囚われ捕まるぞ

彩子と一樹の幸せだけを願っていた香織は
いつの間にか独りで泣き、手を繋ぐ人もいなくなり、京に囚われ捕まってしまいしました。

前半、悪役を気取って彩子と一樹の幸せを奪っているように見えた香織は「鬼」でした。
けれど、香織の中にいる鬼は幸せを願っていた。
「大切なものを守るためだったらなんだってやる」
香織と京に共通する台詞です。
その想いに共感した方も多いのではないでしょうか。

大切な人を守るために運命に争う勇者。
彼女の剣はペンであり小説でしたが
この夕月夜の物語は闇に葬られてしまいました。

鬼のテーマ


劇中の回想場面等で流れていた楽曲も制作しました。
全てがオープニングや京・香織のキャラクターソングをアレンジしたものです。
没を含めると30曲くらい作りました。

場面に合う音楽というのは、役者によっても変わります。
実は同じ場面でも使ってる曲が違うところもありました。
音を選ぶのは得意だったけど作るのは初めてで
けれどめちゃくちゃ楽しくてまたやりたいと思います。
(みんなには仕事抱えすぎって怒られたけど)

もっと楽曲を作りたい

私は元々初音ミクを持っていて、ピアプロで作曲していたのですが
今回ライセンスが切れてしまってGarageBandで全て作曲しました。
GarageBand、簡単でいいんですが一音ずつとかの歪みが難しかったんですよね。
次はもっと作り込めるソフトで作りたいと思います。

楽曲は劇団ЯealityのWebサイトで販売しています。
気になった方は是非買ってください……!!

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!