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鈍色の

鈍色(にびいろ)の空という
言葉に出会ってから
ずっと探していた
鈍色の空

あれは重すぎ
それは軽すぎ
鈍くないし
鈍重では馬鹿みたい

そんな風に吟味して
毎回曇り空を眺めていた

失礼なことだ
曇り空にだってそれぞれ味があり
言い分だってあることだろうに

そもそも雲の上であれば
いつでも気持ちの晴れ渡るような晴天だ
そもそも曇り空を
吟味することもできない

50を過ぎてふと想う
鈍色とは心の反射した色だったのかもと

それなら私の空は
いつだって愚鈍で鈍重な空だった

今朝起きてふと空を見上げる
初夏には肌寒い薄曇りの空
なんならこれを鈍色の空と名付けて
今日一日を味わうのも
面白いかもしれない

ずっと探していた
鈍色の空
どんな味がするのだろう

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