【メキシコ】目的地が言えずバスで街を一周した話
さて今回は、初めてメキシコを旅行した際の、
到着初日のハプニングについて語ります。
当時私は21歳、インドやロシアなどを経て
海外旅行にも少し慣れてきたところ。
周囲の人たちにメキシコに遊びに行くことを伝えると、
危なくないの? と皆に心配されました。
私が当時尊敬していたバックパッカーお姉さんからも、「メキシコみたいな治安の悪い国では、安く旅しようとしたらいけないよ。払うところはちゃんと払って、安全を1番に優先しなさい」と言われました。
一緒に行くことになったお友達も冒険家タイプではなかったので、「危険な事はしないでおこう」と話し合いました。
警戒心MAX、ドキドキしながら人生初の地に降り立ちました。
高速バスでグアナファトへ
グアナファトは映画「リメンバー・ミー」のモデルとなった街として有名です。(諸説あるようですが…)
飛行機でメキシコシティーに到着後すぐ、
高速バスでグアナファトへ向かいました。
チケットは当日、オフィスのカウンターに並んで購入。
カウンターで乗客対応をしていた制服のおじさんの背後からグラマラスなラテンお姉さんが現れて、おじさんの頬っぺたに強烈なチュー💋をしているのを見て衝撃を受けたりしてました。並んでる乗客みんなが見ている前で…やはり文化が違うなぁ…とピュアな私には何もかもが新鮮な驚き。
高速バスには等級がいくつかあるのですが、私たちはお金を惜しみなく出して上級クラスのバスに乗りました。
グアナファトまでは4〜5時間かかったと思います。
バスの中から見たスラムのような居住地や掘っ建て小屋、サボテンでも見つけられそうな植生と乾燥地帯の景色を見て、あぁメキシコに来たんだなーと実感。🌵
夕刻にメキシコシティーを出発したので、
グアナファト近郊のバスターミナルに着く頃には夜9時を過ぎていました。
グアナファト到着時間が遅くなってしまうことは、旅行計画を立てていた段階から懸念していた点でした。
しかも高速バスを降りるターミナルは郊外に位置しているため、そこからさらにローカルバスに乗ってグアナファトの中心地まで移動しなければなりません。
蛍光灯の灯る高速バス会社のオフィスを出て、
暗がりに立つローカルバスのバス停に向かいました。
ここからが大変だった!
まず、グアナファトのシティセンターへ向かうバスの出発時刻が分かりません。
バス停はひとつのみ、私たちの他にバスを待つ人影もありません。
ロータリーの奥に、電気の消えたバスが一台停車しているのみです。
警戒していた私はケータイを外で使わないようにしていました。
高速バスのオフィスに戻って、スタッフのおじさんに、バス停の場所を確認したりしながらひたすら待っていました。この時間はなかなか不安だった・・・。
幸いなことにしばらくすると、奥に停まっていたバスがエンジンをつけ、動き始めました。
運転手のおじさんがシティーセンターに行くというので、いざ乗車。
降りる場所をすぐに聞けるよう、運転手さんの真後ろの席を陣取りました。
ドンチャン騒ぎのバスで、言葉が通じず
運転手さんは英語が話せませんでした。
私もスペイン語はさっぱり分からず、当時運転手さんに伝えられたのは
「中心」を指す「Centro」という言葉のみ。
シティーセンターという意味で解釈してもらいたかったのですが、実は、グアナファトの中心地内にはいくつもバス停がありました。
Centroに連れて行ってくれと頼んだところで、どのバス停なのかまでは伝え切れていなかったのです。
しかも、このバス運転手さんがまた陽気な人で
返事こそ元気なものの、話しかけてもまともに取り合ってくれる気はなさそうな様子。
当初バスは幹線道路を走り、見える景色といえば道路沿いにうっそうと茂る木々の影ばかりで、治安の悪いと聞いていたはじめての国、しかも初日で私の不安は募るばかり。
そんな中、あるバス停でにぎやかな御一行が乗り込んできました。
彼らは手に手に楽器をもっています。
車内は一気に騒々しくなり、彼らは一番後ろの席に並んで座ったかと思うと、なんと楽器と歌声で大合奏を始めました。
ギターにドラム、かき鳴らす鈴の音、楽しい歌声・・・
よ、陽気すぎる。
今までこんなにうるさいバスは乗ったことがない。
隣の座席にいる友人とは、声を張り上げないと会話もできません。
残念ながら、気を張りつめていた私には大合奏を楽しむ余裕などありませんでした。
ドンチャン騒ぎに飲み込まれないよう、運転手の背後にへばりつき、
グアナファトの街が早く見えきてほしいと祈りながら、フロントガラスから見える外の景色をにらんでいました。
ある時急にバスの周りに人影が見えはじめ、
気が付くと観光地らしき石畳の道を走っていました。
さっきまでの郊外とはうってかわって、バスの外は明るく、
沿道にはおみやげ物屋らしき露店が並び、
沢山の観光客がぞろぞろと歩いています。
バスは数か所のバス停に止まりました。
これが街の中心地かな!?
どうしよう、どこで降りよう、と考える私。
ところが。
バスが進むにつれ、少しずつ減ってゆく人影。
そして、バスはもう止まることなく再び暗闇の中を走り始めたのです。
真っ青になる、とはまさにこの瞬間でした。
え、もしかして今、街を出た・・・?
これだけ待って、街を通り過ぎただけ・・・
というかこのバスはどこへ向かっているんだろう!?
賑わう繁華街の光でようやく見えたはずの希望が、一瞬にして消えていくのを感じました。
結局、振り出しに戻る
ドンチャン騒ぎのバスで言葉の通じないやりとりに翻弄され、
目的の街に着くも下車のチャンスを逃した私たちが
30分後にどこにいたかというと、
振り出しのバスターミナルに、1時間前と同じように突っ立っていました。
もうほんと、笑っちゃう。
これでも不幸中の幸いというもので、シティセンターを出たバスが
全く別の土地へ向かわなかったことが救いでした。
結局私たちは一番はじめに乗車した、郊外のターミナルに帰着したのです。
真夜中がどんどん近づいてきます。
しばし待っていると、先ほどと同じように一台のバスが動き始めました。
運転手にシティセンターに行くことだけを確認し、
今回は後方の席に座りました。
隣に座っていた制服姿の女の子に、泊まる予定だったホステルの地図を見てもらい、どこで降りたらいいか聞きました。
その子はスマホの翻訳を使いながら私たちに説明してくれました。
バスは1度目と同じルートを辿り、
再び観光客で賑わうシティセンターに入っていきます。
隣の女の子が降りるバス停に着いたようで、
彼女が席を立つ際に、前に座っていたおばさまに
私たちが降りるべきバス停がきたら教えてあげて、というようなことを
話してくれました。
結果、市場の前のバス停に停車した時、おばさまが私たちに声をかけてくれ、無事に降車することができました。
バス停からホステルまで、またも人手を借りる
同じバス停で降りた男性が、声をかけてきました。
どこに泊まるの?と聞かれたので
ホステルの地図を見せると、途中まで一緒に行くよと言ってくれました。
少し警戒しつつ、周囲に他の人もいるしまぁ大丈夫かと思い、坂道を歩き始めた私たち。
彼は英語が話せました。聞くと、彼もホステルを経営しているそう。
上り坂の路地を歩き、ある地点で彼が、ホステルはここをまっすぐ行くだけだよ、自分の家は反対側だから、と言い、そこでお別れしました。
親切のおかげでホステルには迷わずに到着できました。
いやーーー、それにしても、
バスの降り場が分からなかったばかりに、はからずも街を周遊ツアーする羽目になるなんて。
今となっては笑い話なのですが、その時は焦った。
これが昼間ならそこまで不安にならなかったのだけれど。
壮大な冒険をひとつやり切ったような気分です。
最後に、私がバスで走り去った夜のグアナファトの写真たちをお届け。
読んでくださりありがとうございました!
Adios⭐︎
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