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【超ショートショート】(92)~ライバルからの応援~☆映画『ヒーローインタビュー』☆

子供の頃、野球を始めた男。

彼がマウンドに立つと、
突風のような風が吹き。

そんな日は必ず勝利するというジンクスから、
誰かが風のライオンとあだ名をつけた。

なぜライオン?

その理由は簡単だ!
男の子のヘアスタイルが、
風が吹くと、
ライオンのように見えたからだ。

彼はピッチャーの他に、
バッターとしても大活躍。
中学も高校もスポーツ推薦で、
名門に入学。

高校では、
甲子園常連校が幸いし、
プロのスカウトの目にも留まった。

だが、
高校2年の地方大会。
マウンドでバッターが打ち返したボールに、
頭を殴打され転倒。
意識の無いまま救急搬送された。

彼が意識を取り戻したのは、
それから1年後。

幸い言葉は話せたが、
身体は脳へのダメージが残り、
障害のある身体になっていた。

退院のために、
まずリハビリを開始。
1年の寝たきり生活で
落ちきった筋肉をつけることや、
関節の柔軟性を取り戻すことに、
集中して取り組んだ。

彼が20歳を迎えると、
同級生だった仲間たちが、
プロ野球で活躍。
そんな試合もヒーローインタビューも、
彼にとっては、
見れいられない残酷なものだった。

だが、ある夏の日。
同級生のプロ野球選手で、
ホームランバッターとして人気者になっていた男が、
ヒーローインタビューでこんな話をした。

「今日は、僕にとってとても大切な仲間が、
野球のマウンドの上で倒れた日なんです。
でも、アイツは1年後に意識を取り戻し、
始めはリハビリしても自力で歩けなかったのが、
今では、ゆっくりだけど歩けるようになった。
時々ピッチングの練習や
バットの素振りの練習もしているそうです。
だから、いつかアイツがプロのテストを受けて、
僕とプロとして対戦するのを楽しみにしているんです。
今日は、この話がしたくて、
アイツが見てるかわからないけど、
アイツのために今日はホームランを打ったんです。」

それから、5年後。
彼はプロのテストを受け、見事合格を勝ち取る。

この話題は、
テストを受ける前から取材が殺到。
プロになる前からすでに人気者になっていた。

そして、
プロ野球選手としての1年目のデビュー戦。
ピッチャーとして先発のマウンドに立つと、
バッターにあのヒーローインタビューをした
同級生が立った。

さて、結果は・・・

(司会者)
「今日のヒーローインタビューは・・選手!
おめでとうございます。
デビュー戦の感想はいかがですか?」

「そうですね!とても緊張しました。」

彼のヒーローインタビューを、
控室で見ていた同級生は、
号泣していたと、
翌日の新聞に書かれていた。

それから、
ふたりはライバルとして、
日本野球界を盛り上げ一時代を築いていった。


(制作日 2021.9.3(金))
※この物語はフィクションです。

今日は、
1994年9月3日(金)公開された映画
『ヒーローインタビュー』
CHAGE&ASKAの曲
『NATURAL』がオープニング曲、
『HEART』が主題歌として採用されました。

映画の主演は、
鈴木保奈美さん、真田広之さん。
その他、
安達祐実さん、武田鉄矢さん、江口洋介さん、
岸谷五朗さん、寺脇康文さん、渡嘉敷勝男さん
などが出演しています。

今日のお話は、
この映画のタイトル
『ヒーローインタビュー』を参考に
書いてみました。
物語の中の『風のライオン』は
CHAGE&ASKAの曲です。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/



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