「ガロの追憶」を追憶する〜ジャズ刺繍
クリエイターのEijyoさんがこんな記事をあげていた、昨日の夜。
Eijyoさんの書かれた詩、是非見ていただきたい。
なんとブルーな追憶に満ちていることだろうか。
そこに登場するコーラ?は中々シュールではあるが、炭酸飲みつつジャズ喫茶も乙な気がする。
そんなEijyoさんのフォービートが今日になって私に伝染したのだ!
不思議なもので、ブルーノートは伝染るんです。
今日は私もダバダしながら、「ガロの追憶」を追憶したい。
ついでにEijyoさんとジャズ喫茶その他をはしごしたくて、10曲選んでみた。
Eijyoさんのお好みは50年代前半ごろのビバップだろうか。
私はもっと手広く行くつもりなので、どうかお気軽な気持ちで、酒か炭酸でも飲みつつ聞いていただけたらなぁと思います。
オスカーピーターソン、略してオスピーの超明るいナンバーからスタート。
とある晴れた日に、という題にぴったりなゴキゲンぶり。
「ガール・トーク」という隠れた?名ライブアルバムの出だしを飾る。
オスピーはピアニストでは一番好き。
こんなふうに明るいナンバーもあるし、ブルージーなナンバーもある。
でも聞きやすいのが不思議。
この曲なんかポップコーンに炭酸が合いそうではないか。
「ガール・トーク」のフルアルバム版YouTubeにあるので、是非聴いていただきたい。
オスピーから何故かサッチモに飛ぶ。
「バラード・オブ・デイビー・クロケット」。
オスピーはピアニスト、サッチモはボーカルとトランペットだけど、二人に似たものを感じてしまうのは私だけ?
このアルバム「サッチモ・シングス・ディズニー」は三回くらいCDを買って、人に配ってしまったくらい好きだった。
商業主義に走りすぎとも言われるが、こんなに楽しくて愉快な、聞きやすいジャズはないのではと思う。
究極のエンターテイナー・サッチモ。
彼がディズニーと出会ってしまった化学反応は今聴いてもすざまじいものがある。
ディズニーがすぐに消しに来るので、リンクもすぐ死んでしまう可能性あり、ご了承を。
楽しさよりも、もっとスイングしたくなってきた。
では、日本人最愛のソニー・クラークを聴こう。
名盤中の名盤、「クール・ストラッティン」から「ブルー・マイナー」を。
ソニー・クラークはピアノを弾いていて、トランペットがアート・ファーマー。
アート・ファーマーはそばかす美人のジャケットで有名な「トゥー・スウェーデン」が有名、私も買いました。
マイルスの黄金クインテットからチェンバースとフィリー・ジョーが来ている。
このアルバム、ジャケットにしろ、音楽性にしろ、日本人の思うジャズのドツボにハマったのだろうと思う。
クイーンが日本発で火がついたように、このアルバムも日本人が発見したアルバムなのかもしれない。
ちょっとクールダウンしてバラードへ。
マイルスの「カインド・オブ・ブルー」にも参加していて、それで私は知った。
ピアニストのウィントン・ケリー。
ビルエバンスも「カインド・オブ・ブルー」のピアニストとして「ソー・ホワット」などを担当したが、彼とウィントンは大分毛並みが違う。
あまり詳しくないから言語化できないけど、エバンスのピアノは水底に沈む感じ。
ウィントンのピアノはみなもを照らす感じ、だろうか。
同じ「枯葉」であっても。
エバンスもウィントンも「カインド・オブ・ブルー」に参加し一躍名を上げたが、両者の対比的な音楽には改めて興味が湧いてくる。
思いっきり黒っぽいギターナンバーへも行く。
ウェス・モンゴメリーの「フル・ハウス」。
ウェスのギターはあんまり聴いて来なかった。
スイングしすぎていて。
私が最も好きなのは「アランフェス」で有名なジム・ホールだと言ったら趣味がわかってしまうだろうか。
でもこうやって聴くと、ウェスはすごい。
艶やかだけど、抑制もされていて、音がきれい。
すごい聴かせてくる、朗々とした語り口。
雰囲気だけで聴かず、ちゃんと耳をソロに傾けなければ、と今日思った。
だいぶ古いジャズ・ギターの先達へ。
音が古くてスミマセン、ジャンゴ・ラインハルトの「マイナー・スウィング」。
すごいイタリアかスペインっぽいイメージを抱く曲だが、ジャンゴは戦前ヨーロッパで活動したジプシー(ロマ)だ。
戦後のジャズには無い雰囲気を持っていて、私はすごい好き。
ジャケットの写真、左手がすごいことになっているが、ジャンゴは小さい頃火事で左指数本に障害を負っていた。
それでもジャズ黎明期の巨人となった人だ。
ジョー・パスは「フォー・ジャンゴ」というアルバムで彼を追憶していて、そちらも名盤。
このピアニストもだいぶ古株だ。
バド・パウエル。
「クレオパトラの夢」は日本人にも馴染み深いナンバーである。
リンクの曲は「ウン・ポコ・ローコ」、確か気が狂って、みたいな意味だったか。
あ、それはエリックドルフィーの「アウト・トゥー・ランチ」だったか。
この曲に横溢する変な雰囲気、ジャズを知らなくてもわかるだろう。
バドは精神病で一時期思うように活動ができなかった。
多分この時期のジャズ・プレイヤーはほぼ薬チュウだったから、彼もそうだったのだろう。
それでも彼は40年代、50年代、60年代とそれぞれに代表作を打ち立てている。
そんなプレイヤーはサッチモかデューク・エリントンくらいではないか。
変人つながりで、この方を。
ピアニストのセロニアス・モンク。
名盤「ブリリアント・コーナーズ」よりバラードの「アイ・サレンダー、ディア」。
「降参だよ、ハニー」みたいな意味。
ジャケットからして変人さが伝わる。
この曲はマイルドで聴きやすくて好きだが、他の曲はめっちゃアク強め。
否、この曲でも音の選び方がところどころ変わっている。ちょっとアカデミックな雰囲気もある。
総じて、劇薬のようなアーティストだ(フリージャズはさらに劇薬笑)。
モンクつながりでEijyoさんが大好きそうなコルトレーンとのナンバーに飛ぶ。
「ブルー・モンク」だ。
このアルバム、まだジャズの右も左もわからなかった高校時代に聴いてたので本当に懐かしい。
コルトレーンも50年代半ばは何もできないくらい酷い薬チュウだったが、師匠のモンクとの、このナンバーでは伸び伸びとテナーを吹いている。
後半のピアノソロではモンクがめっちゃうなってて面白い(クラシックではグレン・グールドもうなるピアニストだった)。
無論、「ジャイアント・ステップス」の迫力には敵わないが、その前のコルトレーンも好き。
一番個人的に好きなアルバムは「マイ・フェイバリット・シングス」。ジョニー・ハートマンと組んだアルバムもいい。
あ、これで10曲目ですな。
じゃあこの曲で終わりにしておきましょうか。
「ストレイト・ノー・チェイサー」、マイルスです。
チェイサー抜きでウィスキー原酒行きましょう笑
この曲が入っているのは「マイル・ストーンズ」、私が初めて買ったジャズアルバムです。(もう一枚は同じマイルスの何故か「イン・ア・サイレント・ウェイ」)
いわゆるハードバップの始まりとも言われる「マイル・ストーンズ」。
よくよく聴くとインプロビゼーション(即興演奏)がビバップよりもはみ出すように演奏されていることに気づく。
私は音楽素人なのでこういう風にしか表現できないのが歯がゆい。
マイルスの発明はジャズというタガをどんどん外していき、やがては彼の大作「ビッチェズ・ブリュー」に結実するのだろう。
おっと、最後はこの曲で締めようではないか。
11曲目の隠しナンバー、エバンスの「マイ・フーリッシュ・ハート」。
「愚かなり我が心」かぁ。
「私馬鹿よね、お馬鹿さんよね」なんて歌謡がありましたな。(今すぐ歌いたい)
なかにしさんは「マイ・フーリッシュ・ハート」が念頭にあったのかな…。
この曲は「ワルツ・フォー・デビイ」の冒頭曲で、このあとなだれ込むようにタイトル曲が続きます。
この流れは何回聴いても神がかってる!
もう一曲、聴いちゃう?
はい、ジャズ喫茶Himashun、閉店のお時間でございます。
是非またご来店ください。
次はジャズボーカル限定で行きましょうか。
あっという間のお時間でございましたね。
私にインスピレーションを吹き込んでくださったEijyoさん、ありがとうございました!
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