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大きいだけのポスターはいらない

前回はアートポスターの話をしましたが、今回は普段グラフィックデザイナーが仕事として関わることの多い、商品・サービスなどの広告、イベントや映画・CDの告知、宣伝の為に作られるポスターの話をしようと思います。

にいがた結プロジェクトポスター

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ad.d. himaraya design
cl. 新潟県

医療従事者や社会生活を支える事業者の方々に感謝の気持ちを表すため、インスタグラムに投稿された写真を使用し、ポスターを制作しました。

打ち合わせ時にオーダーされたことは、2つ。
▶︎  写真を多く使用する。
▶︎「#にいがた青で伝えるありがとう」のキャッチコピーを入れる。
写真や文字の入れ方は自由にやってもらっていいということだったので、こちらで提案しました。

「#にいがた青で伝えるありがとう」というハッシュタグが目印となって、共有・検索することになるので、ここをしっかり認識してもらいたいと思いました。

既存の書体で組んだだけではちょっと弱い。せっかく投稿してくれた写真に文字が被ってしまうところも多くなりそうだったので、写真のグリッドに沿ったタイポグラフィを制作しました。

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こうすることで、「#にいがた青で伝えるありがとう」を最大限に大きくしながら、写真も見えるデザインができました。

実はタイポグラフィは他にも考えていたものがあったのですが、原寸で出力して壁に貼って検証し、遠くから見たとき、より文字が浮き出て目立つものを採用しました。

このデザインは離れれば離れるほど文字が見えます。まずはタイポグラフィで興味をもってもらい、近づいて、写真や情報をみてもらう。この一連の流れを意識して制作しました。

適材適所の効果を考える

駅などでポスターを見るときの時間はどのくらいでしょうか。
1秒か、2秒か、おそらく一瞬だと思います。
その間で伝えられる情報はほんの少し。

なので、ポスターにたくさんの情報を詰め込むのは、意味がありません。

通路を歩いているひとは細かな情報を読まない(読めない)からです。要素を絞り込む必要があります。この部分の作業はグラフィックデザイナーだけでなく、クライアントやコピーライターとも相談します。

要素を整理したうえで、興味を持ってもらうためには、目を引くヴィジュアルを考えることは必須ですが、蛍光インクや金色などを使った華やかな印刷手法を使えば、さらにインパクトが出せます。サイズが小さく、普通の印刷しかできない場合でも連貼することで目を引くこともできます。

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ad.d. himaraya design
cl. entwine


ポスターを作る時、チラシを大きく引き伸ばす(引き伸ばされる)場合がありますが、望ましくはありません。チラシならチラシの、ポスターならポスターの、適な情報量や文字サイズがあるからです。

グラフィックデザイナーは媒体やターゲット、掲載される場所などによって、デザインを考え、細部を調整します。

原寸で出力し、文字や画像の大きさ、全体のバランスなどを検証します。ポスターのように壁に貼られて掲載されるものは壁に貼り、離れた位置からの見え方を検証します。

多くのひとはグラフィックデザイナーがMacの前に座って作業する、その部分だけを〈デザイン〉していると思っているかもしれませんが、「考えること・想像すること・検証すること」もデザインの一部になります。グラフィックデザイナーの仕事の大半は結構地味なものです。ただ、そうゆうことが抜け落ちてしまうと、エンドユーザーを無視し、クライアントを無視した意味のないものが出来上がってしまいます。

ターゲットがどんなひとたちで、どんな効果を得たいのか。
そこから考えられる最も効果的な媒体はなんなのか。
その媒体でどんな表現をしたら良いのか。

そんなことを考えるのが、わたしたちの仕事です。

デザインってなんなのか。どんなふうに頼んだらいいのか。わからない、というひとはたくさんいると思います。それはまた別の機会にお話しようと思います。

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新潟県新発田市生まれと岩手県宮古市生まれの2人が、新潟を拠点にグラフィックデザインの仕事をしています。noteではわたしたちがどんなふうに考えながらデザインをしているのか、そんなお話をする場にしようと思っています。