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会社説明会では教えてくれない新卒生保営業職の裏側

はじめに

大学時代の友人と飲む機会があり、そのときに実際に新卒で生命保険業界で働いていた女友達から聞いた話です(現在は退職済み)。

あまりにもひどい労働環境で絶句してしまいつつ、また失礼ながらそんな世界があるんだとちょっと面白かったので今回noteに書いてみました。

結論から言うと、新卒生保営業の働く環境は非常に厳しいものであるということです。ただ、その環境に適用できる・耐えれる・生き残れる人はとても優秀な方であり、どの業界でも通用する方であると感じました。

生保業界といえば、ほぼ大手企業で、継続的な収益が見込まれる一見安定した業界に見受けられます。ただしそれはあくまでビジネスモデルの話。

その内部で働く環境は非常に聞いてみるに厳しいものでした。これから生保営業への就職を検討している方には、特に読んでほしいです。

なお、私が聞いた話はあくまで一例であり、客観的な見解ではありません。よって、必ずしもすべての同業社に当てはまるわけではありません。また、彼女が働いていた当時(2016年頃)と今とでは実態が大きく異なる可能性があることをご留意の上でお読みただければと思います。


ここがやばいよ新卒生保営業 

生保は体育会系

当時彼女は某大手生命保険会社に、新卒で営業として入りました。入社して数ヶ月は研修期間で、そのときは同期と和気あいあい楽しいものだったとか。しかし、配属されてからびっくり。そこには厳しい上下関係が待っていました。

まず大きな声で挨拶は当たり前。先輩が印刷物を印刷したら、率先して取りに行く等。女性社員が9割を占める(1割は総合職の男性社員)営業所で意外にも体質は体育会系。元々体育会系だった彼女にとっては、まあこれだけならまだ良かったかもしれません。

歪な営業スタイル

さて肝心の営業活動ですが、その営業スタイルを聞いてびっくり、非常に歪なものでした。

営業ターゲットは比較的大手企業の会社員。どう営業するかというと、その会社オフィスの入り口もしくはオフィス内のエレベータや食堂、階段付近の踊り場に立って営業活動するというもの。まずそのアナログな手法に驚きました。

声掛け(きっかけ)の手法としては、手書きの新聞(A41枚のフリーペーパー)を作って、そこにお菓子や飴を添えて通りかかる人に挨拶しながら渡すというもの。

確かに私の職場にも、そういった人が出入りしています。まあほとんどの人はスルー(無視)していましたが。

私も最初何者かわからず、こんにちは〜と言われながらなにか紙を渡してきたので、反射的に受け取ってしまいました。受け取るや否や、すかさず営業トークをかけられ、個人情報を聞き出そうとします。そこでちゃんと断れないと、その個人情報を元に勝手にライフプランをシュミレーションされ、それに基づいた最適な保険の提案資料を作ってきます。

その提案資料を元に電話でアポを入れようとします。もちろん保険に加入したい人であれば嬉しいでしょうが、そうでない人から見ればただのありがた迷惑です。

また、日本の大手保険は基本保険料が高い。保証はいいかもしれませんが、保険会社は他にもたくさんあります。そして、他の保険会社の方が安く良い保険を取り扱ってることもあります。

保険は決まれば基本毎月支払いが発生するもので、いくらその保険商品が良くても、おいそれと決めれるものではありません。ただ、提案される資料には他社の比較はありません。

保険に入る気がない人はちゃんと断ることが必要です(特に新卒1年目の人へ)。保険加入意思があるような思わせぶりが一番良くありません(笑)。

契約が取れないと上司にがん詰め

これはまあ営業職であれば当たり前な話かもしれません。営業活動で配った紙の枚数、収集した個人情報、アポ予定をもとに見込み顧客を毎日上司へ報告するそうです。その上でその結果を報告し、なぜダメだったのかを上司と詰める(詰められる)ようです。

入社後に月1万の保険に入らされる(半強制)

入社して研修を終えて営業所に配属されたあと、数週間は営業のロールプレイングをするそうです。ロープレでは仮想の顧客の年齢や性別やその家族構成を想定して、その人の人生設計をシュミレートしてそれに合った保険を提案するみたいです。

そのロープレに一番最初に自分の将来設計をするそうなのですが、そこで算出された保険をまさかの自分で加入をするみたいです。しかも月1万くらいのレベルでないと上司からキレられるとのこと。

その友達はそもそも入ることに疑問を感じ結局加入することを拒否したわけですが、ほぼ9割の同期は同調圧力に半強制的に加入したようです。

これから入ってもらうお客さんに対して、自分なある程度の金額の保険に入っていないと、お客の気持ちをわからない・示しがつかないと言う意図があるのかもしれませんが、まだ新卒の給料が安い段階でそれを強制するのはおかしいですね。

生保営業は会社員ではない?

これは会社によるかもしれませんが、その友達の会社では営業職は実は個人事業主として契約されていたようです(そこは友達の事前の確認不足だったかもですが)。

そのため、交通費はもちろん、備品・商談で利用するカフェ代等は全て領収書で保管し定期的に定例している税理士法人にわたして経費処理をしてもらい、最終的に確定申告を行う必要があるようです。

商談時のカフェ代や顧客に渡すグッズは自腹

以前、会社で食堂の前に立っている保険営業の方からティッシュや飴をもらったことがありますが、実はそういった備品は自腹を切って買っているようです。普通会社の経費でしょと思うのですが、そう言えば個人営業主でした・・・えぐい。

印刷代やタブレット代は給料天引き

業務で使うタブレット代のレンタルはまさかの給料天引き。普通業務で使う端末が給料で払われるっていくら少額だとしてもおかしいですよね。しかもそれだけでなく、営業活動で配る資料の印刷代もまさかの給料天引き。めっちゃケチすぎません?

残業代は出ない

個人事業主だったのからかわかりませんが17時以降の業務での残業代はでないとのこと。でも、お客さんとの営業活動や提案のアポって普通18時とかお客さんの業務が終わった後とかにしますから必然的に残業しますよね?それがなぜ出ないのか?絶句です。

1年目離職率は驚異の・・・

よく会社四季報とかで会社の離職率とか書いてたりすると思いますが、保険の会社の多くは具体的な数字は出てないと思います。それはおそらく離職率が半端ないから。

その友達は10ヶ月くらいで辞めたそうですが、その時点で 1/3くらいは辞めてしまっていたようです。営業職は全国にあり、その平均値も公表もされてないので推測でしかないですが、おそらく1年目での離職率は半分くらいあるのではないでしょうか?


ここがすごいよ新卒生保営業

前項ではネガティブな部分を書いてしまったので、逆に良いことも書きたいと思います(笑)

会社負担で定期的な高級ランチ

やめさせないため、営業社員のモチベーションアップ・維持のための一環かわかりませんが、定期的にホテルのランチにいける機会があったり、目標達成したチーム単位でちょっといい朝食もしくはランチに会社の経費で行くことができたりするみたいです。まあ効果は未知数ということで・・・

頑張れば1千万稼ぐことも可能

実際1千万プレイヤーはいるようです。基本的に個人営業になるので、個人の頑張り次第で報われることができます。保険契約による収入には一時金のようなインセティブだけではなく、その契約した人が保険を契約し続ける限り月額でもらえるインセティブもあるようです。そう言うのが積み重なるると、たしかに1千万プレイヤーになることも夢ではないようです。

強靭なメンタル、営業スキルが養われる

BtoCの個人営業はメンタルが強くないとやっていけません。断れてもめげずに別の人にアプローチしていく。また、契約が取れなければ上司に詰められる。

そんな環境で働き続ける人はまあどこでもやっていけるメンタルが鍛えられるはず。1年続けることだけでもすごいですが、それを3年以上やっている人は間違いなくその仕事のプロといえるでしょう。


結論:新卒生保営業で3年働ければどこでも通用する?

今回ぶっちゃけてくれたその友達はこの環境に馴染めず1年も経たずに辞めてしまったようです。新卒1年目と聞くと、もっと頑張れとか思ってしまうかもしれませんが、さすがにその環境で頑張れとは言えませんでした。。。

会社説明会で月100万か年収1000万がわかる明細を見せて夢をみさせるようです。もちろん実際に稼ぐ人もいるみたいですが、それはほんの一握り。

新卒では教えてくれないような、なかなかハードな裏話を聞くことができました。結構推測も入ったりしていたりするので判断はお任せしますが、少なくともこれを読んで少しでも違和感を感じるのであれば生保営業は辞めた方が良いと思います。

信じるか信じないかはあなた次第。