夜道を歩くな

子供の頃、「夜道を歩くな」と当たり前のように叱られた。夕方の門限は絶対で、余程のことが無い限り夜に外出するなんて許されない時代だった。それは、我が子が犯罪に巻き込まれないように(または手を染めないように)という親心に他ならない。

もちろん夜道で暴漢に遭っても悪いのは犯人で、襲われた側に何の責任も無いと思う。今の社会で犯罪を誘う行動が悪いなんて言えば正論の嵐が吹き荒れボコボコに叩かれて炎上してしまうだろう。

でもやっぱり、自分の身を護るという意味で親の小言は正しいなと思う。
令和の時代でも、女子供がひとりで夜道を歩いていても100%安全な社会になっているかと言えば残念ながらそうではない。
たぶん、ウザいなと思われながら小言を続けていた親の時代は本当に治安が悪かったのだ。あたしの経験で言っても、夜道が持つ緊張感は昭和後期と令和の今ではだいぶ違っている。親が若かった昭和中期なんて推して知るべしだと思う。

犯罪は犯罪する者が悪いのだから、真っ当な市民が小さくなって遠慮することは無い。というのは理想であって、人はやっぱり環境に合わせて自己防衛する必要があると思う。それは危険なことを察知する能力でもある。熊が出ると言われている山には近づかない、近づくなら準備をする。そういうリスクマネジメントは、人間のコミュニティの中でも必要なのだ。

ウザかった親の気持ちを察するなんて、あたしも歳を取ったなあと思う。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?