#35 ステッカー

 登場人物

・ / 山田健斗(16)
・// 飯田祥太(16)
・/// 森本麗華(16)

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「今日はラジオネーム ヤンバルクイナさんにステッカー差し上げます!それではまた来週〜!」


僕は日常的にラジオを聴いている。深夜3時、ラジオから聞こえてくるパーソナリティの声。僕のラジオネームが読み上げられた。ステッカーだ。2枚目のステッカーが届くんだ。僕は心が踊った。この興奮をすぐに共有したい!そう思った僕は、麗華に「ラジオでステッカー貰った!やばい!」とLINEを送ったが、返信はすぐに来なかった。

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翌日、学校で僕は祥太にも自慢した。

/「なあ祥太、俺さ、昨日ラジオでステッカーもらったんだよ。ついに2枚目。」
//「へー。なんのラジオ?」
/「ハルカのラジオ。アーティストでハルカっているでしょ?俺ヘビーリスナーなんだよねー。」
//「え、俺もハルカのラジオ聴いてる。」

意外な返事に度肝を抜かれた。ラジオを聴いている友達が身近にいた。今までラジオの話をしてこなかった分、興奮が大きい。

/「マジ!?祥太、ハルカのラジオ聴いてんの!?」
//「うん、ステッカーもらったってことは、お前のラジオネーム、ヤンバルクイナだろ!」
/「あちゃー、バレたー。まあこればっかりはしょうがないな。」
//「ちなみに俺もステッカー持ってる。」
/「え、お前も投稿してんだ!」
//「してる。ラジオネーム 時折フィーバー って知ってる?」
/「え、時折フィーバー!?毎週読まれてるスーパーハガキ職人じゃん!」
//「そう、それ、俺だよ。」
/「ええ!マジかよ!やば!」

身近にスーパーハガキ職人がいた。とてつもなく興奮している。祥太が「時折フィーバー」だなんて。僕は人生で一番と言ってもいいくらいテンションが上がってしまった。

/「祥太、どうやったらあんな面白いメール思いつくの?」
//「とにかくエンタメを摂取することだな。」
/「やっぱそっかー。映画とか見たほうがいいよなー。」
//「まあな。ステッカー届いたら教えてよ。」
/「もちろん!」

家に帰ると、ステッカーが届いていた。番組名とともに、ベースを弾きながら歌うパーソナリティが描かれたステッカー。めちゃくちゃカッコいい。ふとスマホを見ると、麗華から返信が来ていた。

///「体調崩してて学校休んだわー。あとでノート送ってくれない?」
/「大丈夫かー。後で送っておくよ。」

ステッカーに対する返事はなくて残念だったが、僕はノートを写真に撮って送ってあげた。

///「ありがと助かるー。ってか、なんのラジオでステッカー貰ったの?」
/「あ、ハルカだよ。アーティストの。めちゃくちゃカッコいいステッカーゲットした。」
///「あ、ハルカ?それ、私が描いたやつかも。ちょっと明日持ってきてよ」
/「ん?え?どゆこと?」
///「まあ明日を楽しみにしたまえ」

麗華からの謎の発言。ステッカーの絵を麗華が描いたというのか…?いろいろ聞き出さねば。

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/「おはよう祥太、ステッカー届いたで」
//「おっ、いいね、俺もステッカー持ってきたわ、5枚。」
/「おい時折フィーバー読まれすぎだろ!どんだけステッカー持ってんだよ…。」
//「まあまあ、努力の証ってことよ。」
///「おはよ祥太、健斗!あ、それが昨日言ってたステッカー?」
/「おはよう麗華。そうだよ!俺は2枚目を貰ったけど、祥太は5枚も持ってるんだって。」
///「あ、やっぱりだ。それ、私が描いた絵だ。」
/&// 「どゆこと!?」
///「あ、いや、私イラスト部だし描くの好きじゃん?」
/「まあそうだね。」
///「この前ネットサーフィンしてたら、ラジオ番組のステッカーのデザインをリスナーから募集します!って記事見つけてさ。一回も聴いたことなかったけど、せっかく見つけたし、試しに送ってみたんだよね。そしたら採用された。」
//「やば!めちゃくちゃすごいやん」
///「いやーめちゃくちゃ嬉しかったよ。2000枚くらいアイデア届いてたんだって。2000分の1なのに選ばれたよ。」
/「すっげぇなあ…お前マジで絵上手いもんな。」
///「うーん、今回はラッキーだっただけかもね。でも、ラジオを聴くきっかけになったよ。ハルカのラジオ面白いんだよねー。」
//「時折フィーバーって知ってる?あれ、俺なんだよね。」
///「マジ!?めちゃくちゃ読まれてるよね。すごいなー祥太」
//「まあ送りまくってるだけなんだけどね。」
/「なあなあ、今週だけステッカー3枚を番組に送ってくれたら番組オリジナルボールペン3本と交換できるってのやってるじゃん?」
//「あー、やってるね」
/「あれさ、みんなでステッカー3枚送って交換しない?」
///「私ステッカー持ってないんだけど」
//「いいよ、俺が2枚出して、健斗が1枚出す。そしたら番組オリジナルのボールペン3本と交換できる。」
///「え、いいの?」
//「もち。てかお前、作者なのに持ってないの?」
///「サンプルしかないのよー。」
//「そかそか。まあいいよ、送ろうぜ。3本と交換できるんだしみんなで使おう。」
/&/// 「いぇーい」


ハルカのラジオ宛にステッカーを3枚送り、後日番組オリジナルボールペンが3本届いた。
僕は授業でボールペンを使っている。祥太は部屋に飾っているらしい。麗華は数学の時間に使っていた。


僕らはラジオを聴いている。きっかけはなんだっていい。好きなアーティストが喋ってるから。ステッカーが欲しいから。たまたま聴いたら面白かったから。ラジオには無限大の可能性がある。みんな、ラジオを聴こうぜ!


END


#2000字のドラマ

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