[115]上海電力がもたらす悪夢～（その48：アサヒ衛陶）
先の記事[110]でフロント企業化工作の終盤にあるのでは無いかと考えた企業を見ていきます。今回はアサヒ衛陶です。セルをグレーに塗っていませんが、伸和工業が株主になっているので現状を確認します。
会社概要
洗面や便器などの陶器を製造する会社です。陶器はセラミックの一種でセラミック関係の技術を持っています。
陶器製造の会社としては中堅規模のようです。
懸念項目
中国製造2025における9番に関係する事業を行っていることが分かります。
セラミックは、経済産業省のキャッチオール規制の対象になっています。
第６部 化学工業 （類似の工業を含 む。）の生産品
→第２８類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同 位元素の無機又は有機の化合物
第１３部 石、プラス ター、セメント、石 綿、雲母その他これ らに類する材料の製 品、陶磁製品並びに ガラス及びその製品
→第６９類 陶磁製品
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t07sonota/t07sonota_kanzeiteiritu.pdf
また、経済産業省の安全保障貿易管理の技術マトリクスにおける先端素材にも含まれています。
外為令第５項（３）
セラミック粉末又はセラミックの設計又は製造に係る技術であつて、経済産業省令で定めるもの（（１）及び１５の項の中欄に掲げるものを除く。）
つまり、セラミック関係は中国にとって欲しい技術であるものの、日本からの輸出（製品・技術）に関しては規制がある状況です。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/seminer/shiryo/gijyutu_gijyutu_2022.pdf
この経産省の資料の中で言えば、一番可能性が高いのは買収ですが、買収まで行かなくても株主になることで研究内容の概要や人材情報を入手しやすくなります。或いは、株主の立場を使った”留学生”を入社させるという可能性も考えられます。
どの様な技術を持つのかを見てみます。
特許関係で行けば、軍事転用に関係ありそうなものとして
・サニタリー設備品若しくはキャビネットの表面構造（実登3201604）公知日2015/12/17
・永久磁石封入陶磁器の製造法（特開昭61-163161）
・陶器質素地形成物とその製造方法（特開昭58-79865）
・陶磁器の鋳込成形法及びその成形用型（特開昭61-095902）
・液体改質用容器（実全昭62-097656）
が考えられます。特許や公開技法として登録されていなくても、例えばセラミックのコーティング技術は適用範囲が広いでしょう。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/seminer/shiryo/anpo_anpo_kaisei_2022.pdf
例えば、上記資料の赤枠部分の輸出規制のある耐食性のある機器などを中国内で製造する場合に必要となりそうです。
株式関連
株主推移は長いので、途中で切っています。プロスペクト（現・ミライノベート→Jトラスト）買収時に伸和工業と共に動いたSBI証券、楽天証券と面子が揃っています。また、SBI証券と入れ替わる形で創展環球有限公司という香港にある会社（生活用品などを扱う会社）が株主として登場し、2023年2月20日時点で4.40%を保有しています。更に、BANK JULIUS BAER AND Co.Ltdはプライベートバンクで資産運用を行っているので、チャイナマネーの隠れ蓑になっている可能性があります。これらを合わせると15%近い株を保有していることになるわけです。
ここ最近、アサヒ衛陶に対する買収の動きが活発になっています。
中国との関係
今のところ目立った動きはありません。今後の動きに注目です。
まとめ
株の保有比率から、フロント企業化工作が終盤である可能性が高いと思います。近いうちに乗っ取りの動きがあるかも知れません。
（つづく）
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