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「表現すること、伝えることです。」
この言葉は、上司から「あなたの人生の仕事は何ですか?」と問われて出た答えです。
私は若い頃、バンドのドラマーとしてデビューするために上京して少しだけミュージシャンとして仕事に就く事が出来ました。
しかしそれも長く続けて行く力が及ばずに32歳で地元に帰ることになりました。
大事な夢を諦めた自分を認めてあげることが出来ず落ち込み、仕事が出来なかった時期がありました。ですが仲間から音楽の誘いを少しずつ受け、そこから地元で改めてパートやアルバイトで音楽の仕事に就きました。
アルバイトも週末二日しか演奏は無いし、貸しスタジオや音楽教室の講師も掛け持ちしていましたが、たくさんの生徒さんが居る訳でも無く、時間はたくさん使うけどなかなか稼げずにいました。
プライベートでもバンドを一番多くて三つ掛け持ちし、他にも吹奏楽団の演奏会に参加したり、非常に忙しくなってしまいました。
そのうちアルバイトの中の一つ、貸しスタジオの経営が危うくなりかけ、それを何とかするためにも走り回って、スケジュールを上手く回せなくなり、人間関係までこじれ始めて私は頭を抱えて悩んでいました。
その頃ミュージックバーの上司に注意を受け、それから優しく諭して下さった質問が「あなたの人生の仕事は何ですか?」でした。
急な質問に一瞬戸惑い、しかしすぐに答える事が出来ていました。考えてもいなかったけど、自然に答えていました。
「表現すること、伝えることです。」と。
その時から「今まで表現したい、伝えたい気持ちに駆られて生きていたのか」と気付き、同時に「それは音楽だけでなく、もっともっと何か伝えたいことが自分の中にあるし上手く伝えきれていない」と思いました。
上司から生きていく上で大事なことを気付かせて頂いた私は、すごくラッキーでした。
残念ながらこの時の職場は後に無くなったのですが、その後も人生の仕事を常日頃意識して励む様にしていますし、模索は今でも続いています。
そして、いま私は人生の仕事を更に膨らませられる様な文化系のホールの求人を見つけて採用試験の最中です。
なかなか無い、音楽にも関する求人ですので今までの中で一番力を入れて面接に向けた準備をしています。
「今までの経験や人生の経験を活かしながら、新しい職場での仲間や利用者さん、お客様とたくさん会話をして、音楽や芸術、美術、文化、人と地域など、私が好きなものを伝えて幸せな気持ちになって頂きたい。」
まずはしっかりと採用担当の方々にお伝えしてきます。
どうか採用してもらえますように。
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