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コンテンツマーケティングってぶっちゃけどう?6年間の経験を振り返ります

こんにちは。
株式会社システムインテグレータの佐藤 嘉彦です。
突然ですが、みなさんのスマホにはどんな広告がよく表示されますか?
私は仕事柄、自身のスマホでもBtoBマーケティングに関する記事を見るので、BtoBマーケティングに関連するサービスやホワイトペーパーの広告がかなり多く表示されます。
こうしたコンテンツマーケティングに取り組む会社、すごく増えた感じしますよね。
実は当社も結構力を入れて取り組んでおり、記事執筆時点で7年目を迎えています。
今回は、そんな当社が取り組んできたコンテンツマーケティングに関する歩みについて振り返りも兼ねてまとめていきたいと思います。
これからコンテンツマーケティングに取り組もうと考えている事業会社のマーケターの方の参考になればうれしいです。


コンテンツマーケティングに取り組みはじめたきっかけ

今では珍しくないBtoBにおけるコンテンツマーケティングですが、開始したのは2017年5月でしたので比較的早かった方ではないかなと思います。
それまでは各製品ごとにバラバラにWebページを管理し、施策もバラバラで、コンテンツマーケティングには特に取り組んでいませんでした。
当時6~7製品ほどを展開しており、製品や事業ごとにバラバラだとノウハウもたまらないし運用効率も悪く最適化できないという課題があったので、まずHPを同一のCMSで統合したうえで、運用の専門の部隊となるマーケティング部を立ち上げて推進するというところから検討をスタートしました。
なので、「コンテンツマーケティングやるぞ!」ということで進んだというわけではなく、Webマーケティングに関するいくつかの課題を解決する検討を進める中でコンテンツマーケティングにも取り組むことになった、というイメージです。

コンテンツマーケティング開始前のリード獲得は、製品資料ダウンロードや問い合わせといったインバウンドの他、展示会や外部カンファレンスなどで獲得が中心でした。
顕在層に近いインバウンドとオフラインの潜在層リードしかない、というイメージですね。
いくつかの会社に相談をする中で、潜在層のオンラインのリードを獲るチャネルを作り、ナーチャリングしていく仕組みを作ることで安定的に売り上げを拡大することが期待できるのではと考え、CMSによる統合だけでなくコンテンツマーケティングもセットで進めることにしました。

取り組み始めておきた問題

コンテンツマーケティングでリードを獲るには、セッションを集める記事とコンバージョンしてもらうためのホワイトペーパーが重要です。
ですが、はじめた当社はどちらも不足しているので、ここをどうスピーディに立ち上げていくかがポイントになってきます。
当社の場合は、外注と内製の両方で進めました。
重要なキーワードの記事執筆とホワイトペーパーづくりについてはノウハウのある企業に外注をし、最初から一定のクオリティのものを投入し、それを補完する記事やホワイトペーパーは内製していく、というようなイメージです。
この進め方自体はそれはそれで良かったと思うのですが、スタート直後におきたのは記事の品質問題です。
「品質」というと少し大きな言葉になるのですが、「SEO対策としての品質」「専門性が十分かという品質」という2つの観点で問題が起きていました。

品質問題1:SEO対策にならない記事が量産される問題

シンプルに内製で作成される記事がSEOを意識した記事になっていないという問題がおきました。
これは当初書き手が営業や開発を含め大勢いたことに起因するのですが、自身が詳しい分野について書くことは得意でも、SEO的に読みやすく構成されたものになっていないというケースが多く発生していました。
SEOを意識した書き方をマニュアルとしてまとめ、勉強会も実施していたのですが、一度読んだだけ、聞いただけでは十分ではありませんでした。
記事執筆の意義自体はよく理解してもらっていたと思いますが、「お手伝い」というイメージが強かったのか、SEOを強く意識するということが徹底できないままどんどん記事がパスされてくるといった状況でした。

また、設計したキーワードの全体像や他の記事を意識せずに書き始めるので、記事としての網羅性がなかったり、また内容の重複が多かったりという問題もありました。
単にその記事が上位表示されないだけであれば良くも悪くもそこまで影響はないのですが、重複したコンテンツがあることで整理が煩雑になってしまったので、これは後々の改善にも大きな影響を与えました。

他にはSEO対策もそうなのですが、シンプルに文章を書くのが得意でないメンバーも書き手に加わっていたので、せっかく書いてもらったけど外に出すのはちょっと、というような記事も中にはありました。
協力体制を得るというのは推進する上でとても重要ではあるのと思うのですが、同時に得意不得意を加味した分担を整理ことも同じくらい重要です。
たくさんの記事をとにかくすばやく投入する、という点においては一定狙い通りではあったのですが、今振り返ってみると見出しレベルまではコントロールした方がムダがなかったのかなと思います。

品質問題2:過剰な専門性を求める問題

外注で記事執筆をお願いすると、基本的には既存の上位サイトを参考にし、共起語などを含めてライターの方が執筆するという形になります。
業界に詳しいライターの方も中にはいらっしゃいますが、一般的には執筆を依頼する事業会社の社員よりはその分野の知識を有していません。
ですので、納品される記事はその分野の専門家が唸るような深い記事になっているかとそんなことはありません。
また、インターネット検索で情報を求めている読み手からしても専門家を唸らせる記事を求めているわけでもないですし、マニアックだから上位表示されるということもありません。どちらかというとわかりやすい記事が求められます。

これが前提になるのですが、普段他社との差別化をどうするか、顧客の業務を深く深く理解し提案に努めているメンバーが納品された記事を目にすると、「なんだこの普通の話は?」となってしまいます。
もちろん、「こういうもので、こういう方がいいんだよ」という話はしているのですが、納得がいかず自身で書き直しをするケースも少なくありませんでした。
もちろん記事には独自性や一定の専門性があるべきなのですが、わかりやすさも重要なので、認識のズレからムダな作業が双方に発生していたなと思います。

一方納品される記事を100%そのままで掲載すべきかというとそんなこともなく、訂正や修正は一定必要なケースがほとんどです。
たしかに「これはちょっと…」という明らかにダメな記事が納品されることも中にはあるのですが、一定の水準の記事に対し求めるべき品質のラインがまちまちな段階でレビューをしてしまうと、余計な手戻りや作業が発生してしまうので、「専門性」のラインについての共通認識を持っておくとスムーズに進むんじゃないかと思います。
特に外注に期待することは、0→1をすばやくという点ですし、実際記事を上げてみないとどんな順位がつくかはわかりません。
一定の水準をクリアしているものについてはすばやくアップし、順位が微妙であればすばやくリライトという進め方がいいんじゃないかと思います。

成果が出るまでのあゆみ

コンテンツマーケティングの目的ほとんどの場合は認知獲得とリード獲得になるので、それを支える自然検索セッションは重要な指標です。
当社のビジネスはBtoBソフトウェアの提供ですので、狙うキーワードも基本的にニッチでGoogleでの月間検索ボリュームも1000以下のものが中心となるため、とにかく上位表示させることが成果を出す上では欠かせません。
コンテンツマーケティングのスタートから新規記事の投入、リライトを繰り返しオウンドメディアを成長させていくのですが、当社は以下のような推移で成長していきました。

2017年度:48万
2018年度:141万
2019年度:164万
2020年度:234万
2021年度:395万
2022年度:535万

直近の年度では初年度の11倍以上の自然検索セッションを集めるまでに成長しました。
記事執筆時点では1,721の記事型コンテンツがあり、1,980のキーワードでTOP3に入っています(10位以内だと5,126のキーワード)。
ただ特別な対策をしたわけではなく、新規コンテンツ追加、リライトを愚直にやり続けた結果ではあるのですが、新規のコンテンツ作成は外部、リライトは内部と明確に切り分けてから成長のスピードが速まったかなと思います。それが2021年度くらいのことですね。
今思えばそこにたどり着くまで時間かかり過ぎだろと思うのですが、良くも悪くも何でも自分たちでやることを良しとする内製志向が強い文化だったので、自分たちで頑張った期間も長かったという感じでした。

今はある程度狙いたいキーワードに対しての記事は書ききった感があるので、リライトに比重を寄せています。
記事と狙うキーワード、実際についているキーワードと順位、想定CTR、想定CVRを組み合わせて管理するものをノーコードのアプリで作成し、優先順位付けを行いながらリライトを継続している、みたいなイメージで現在は運用しています。

実際効果はあるか?

コンテンツマーケティングは初期投資もそうですが、運用し続けることが前提になるので外部に支払うコストもそうですが内部コストもかかり続ける施策です。
すぐに結果が出るかというとそういうものでもないので、ある程度は長い目で見る必要はあるのですが、事業を成長させることを目的に実施する施策ですので、費用対効果は見なければなりません。

コンテンツマーケティングの費用対効果の見方

費用対効果については、シンプルにリード獲得単価で見るパターンと、有効商談数や売上金額で見るというパターンがあると思いますが、一般論としてコンテンツマーケティングに限らず近年タッチポイントが多様化しているため、商談や売上にどれくらい寄与したかは見方が難しくなってきていると思います。
コンテンツマーケティングの場合、TOFU向けコンテンツが中心になってくると思うので、その場合はファーストタッチが自然検索経由かつホワイトペーパー経由のリードが売上をどれくらい作っているのか、という見方がシンプルでいいんじゃないかなと思っています。
もちろん発生からリードタイムが経ちすぎている場合は例外としていいと思いますので、ビジネスのリードタイムと比較して考えるといいでしょう。

実際に売上につながるのか?

リードが獲れる獲れないだけで言うならば、どんなビジネスでも検索ニーズが一定あるキーワードと関連性があれば、リードを獲ることはできると思います。
ですが、実際の売上につながるかどうかは、商材によって大きく異なってきます。
当社では、売上高500億円くらいの企業をターゲットにしている高額なシステムから規模を問わず数万円から導入いただけるシステムまで幅広く扱っており、それぞれでコンテンツマーケティングを展開してきました。
その経験からすると、シンプルなサービス・商材ほど売上につながりやすい傾向があると思っています。
ターゲット企業の属性というより、サービスの特性次第というイメージですね。
コンテンツマーケティングに限らず、潜在リードから売り上げを作ることを考えると、「Aという既存の課題に対して、Bを入れると、Cが〇%良くなる」といったようなわかりやすいベネフィットを訴求できるサービスでないと、意思決定のプロセスが複雑になりがちで顧客の中でも予算化が難しいケースが多く不向きです。
あくまで傾向ですが、バーティカルなサービスよりもホリゾンタルなサービスの方がコンテンツマーケティングに向いていると思います。

ただし、これはファーストタッチとして直接的に売上寄与していると言えるかどうか、という見方をした場合の話で、初回接点づくりとしてのリード獲得にフォーカスした場合は、ターゲットやビジネスの種類に限らず効果があると言えます。
リードは獲れますし、うまく立ち上げることができればリード単価という点において格安にすることができるからです。
ただしこの場合、初回接点から接点を広げる、深めるABMアプローチを営業と一緒に設計し、実施していくことが前提となってくるので、ただ獲っただけで終わらないようにすることが重要です。

コンテンツマーケティングはおすすめか?

ここまでご紹介してきた通り、当社ではオウンドメディアへの流入がある程度の規模に成長するまで時間とお金もかかりましたし、一般的にもそうなんじゃないかなと思います。
ですので、サービスの立ち上げ段階でいきなり取り組むべき施策かというと決してそうではないと思います。
究極すべてを内製で実行することができる施策なので予算がないという条件下では取り組みやすいと言えば取り組みやすいのですが、予算やリソースが十分でない段階では受注に近いところからケアしていくべきだと思います。
PMF段階、あるいはPMFがある程度見えそうな段階で、時間がかかる前提で仕掛けていくのがいいのではないかと思います。
一定の規模のビジネスをすでに展開しているが、コンテンツマーケは未着手であるという場合はやりやすいですよね。

ただし、繰り返しになりますが実際の売上につながるかどうかは、サービスの特性や初回接点以降のアプローチの体制の有無で変わってきます。
コンテンツマーケだけやればよいということはありませんので、セットで考え実行していく必要があります。
マーケターだけでは完結しない話になりますので、各部門の協力体制を得ながらしっかり設計できる場合は、おすすめの施策です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
これからコンテンツマーケティングを検討しようと思っている方や、今コンテンツマーケティングを行っていて課題をお持ちの方に読んでいただいたと思いますが、少しでもお役に立っていると嬉しいです。

当社ではマーケターをはじめ、各種ポジションで随時採用を行っています。
少しでもご興味いただけましたら、ぜひご応募ください。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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