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【第4回期日 傍聴記】理不尽を受け入れるのではなく、怒って、おかしいと言い続けよう。

もう、傍聴に行くのも慣れたもの。

霞が関駅のA1の出口からでて、ちょっと歩いたらすぐ東京地裁が見えてくる。それから、手荷物検査をして法廷まで行くのも、もうスムーズに出来るようになった。

法廷に入ったら原告側にも、傍聴席にも知っている人ばかりで、裁判所の厳格なイメージが飛んで行った。

裁判傍聴もお手の物になった私は、第1回目の期日から立候補年齢引き下げ訴訟の傍聴に参加して、今日は4回目の期日。

「若者だからと年齢に縛られず、多様な属性が集まるそんな議会が見たい」という思いで、応援し始めた立候補年齢引き下げ訴訟。今では、訴訟があるたびに原告メンバーの一員になったつもりで傍聴に駆けつけ、イベントに参加して、さらに立候補年齢引き下げに思いを馳せるようになってきた。

今回の第4回期日では、国からの反論意見が聞けるかもという噂につられ、いつもよりルンルンで傍聴しに行ったが、国からの法廷でのプレゼンテーションはなく、書面でのやり取りのみ。次に原告側が提出予定の意見書の概要説明と日程調整をして終わってしまった。

みんな「あれ、もう終わり?」みたいな顔をしていて、それを察したのか弁護団の方が裁判所をでてから補足説明会を開いてくれた。

みんなで車座になって、弁護団の戸田さんのお話をきいていてなんだか青空教室みたいだった

立候補年齢の制限は憲法44条但書に違反する、ということを原告側が新しく追加で主張したということを戸田さんが教えてくれた。

憲法44条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない

このように憲法で定められているのにも関わらず、国は「思慮分別がない」「社会経験がない」という抽象的な理由で若者の被選挙権を否定しているそうだ。「若者は大人より能力が低い」という否定的なステレオタイプの押し付けに過ぎず、科学的根拠はない。

これは女性に参政権がなかったことと同じ理論で、若者に被選挙権がないことは、差別によるものだと訴えているということを教えてもらえた。

戸田さんの例えがすごくしっくりきた。私たちは今、偏見やステレオタイプの押し付けによって、立候補する機会が与えられていなくて、それはおかしいということがはっきり理解できた。

友人に立候補年齢の引き下げって何のためにやるの?って聞かれることが多いけど、それって多分差別されていることを当たり前に感じて、差別を受け入れてしまっているからだろうなって思う。

女性参政権がなかったときと同じ理論で、今若者も差別されてしまっているんだって知ればみんなはっとするんじゃないかな、、、。

「若者差別という言葉がもっと世の中に広がっていくことが必要なのかも」
とNYNJで取り上げたいテーマがまた一つできた。

「#未来を生きるわたしが決めるー立候補年齢を18歳にーキャンペーン開始イベント」受付の様子

その後は、NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)主催で同日夜に開催された「#未来を生きるわたしが決めるー立候補年齢を18歳にーキャンペーン開始イベント」に参加した。

ここでは、まずシンクタンクのレポートで立候補年齢と投票率との関連調査の結果をきくことが出来た。

立候補年齢引き下げは「若者の代表者」「私たちの声を議会に届けてくれる存在」で大切なことだよね、って思っていたことにプラスで、

①若い立候補者が増えると、若者の投票率が上がる傾向
②若い立候補者と新人立候補者が同時に増えると、若者の投票率が上がる傾向
③立候補者に占める20代立候補者率が10ポイント上昇すると、 10代投票率が8.85ポイント、20代投票率が2.96ポイント上昇する

という結果が出て、驚き。なんかいいことだらけじゃないか?
若者の声を代弁してくれる人がいて、さらには投票率も向上、、、?

さらに、弁護士の戸田さんより、国側は、「相応の思慮分別・社会経験が必要」として現在の25歳/30歳以上の立候補年齢設定になっていると主張しているが、その合理的根拠はない、と聞いて、なんだかすっきりしない。

私たちは、「若者」ってだけで、根拠もなく思慮分別がないって思われているのかな?

私たちも社会で暮らしている一員なのに、若者に任せたところでどうせ何もできない。あとは大人が決めるから、おとなしくしてて。って言われたみたいでもやもやが募る一方。しかも、そこらへんにいる大人とかじゃなくて、国にいわれたから尚更。グサッときた。

そんな、わたしの励みになったのはソフィーさんのお話だった。
ソフィーさんはニュージーランドの環境アクティビストで、18歳で地方議員になった方。今回、NYNJ共同代表の能條桃子さんとの対談という形でお話しをしてくださった。

ニュージーランド最年少18歳で地方議員になった Sophie Handfordさん(Kāpiti Coast District議会議員、現在23歳)

なかでも、一番心に響いたのは、「日本で選挙に立候補する権利を若い人たちが持つことはとても重要なことだ」という話。
なぜ重要かをソフィーさんは、

「私たち若い世代は未来に最大の利害関係を持っているのだから、未来を形づくるために、意見を言う資格があると思っています。今日下される決断は、これから何十年にもわたって私たちの環境や経済、社会に影響を与えるものです。若い人たちが立候補できるようにすることで、私たちの視点や意見が代弁されることや差別されないということを保証しなければならないと思います」と話した。

そうだ、怒らないとって思った。

これからの未来に最大の利害関係を持っているのは私たち。

環境も経済も、社会に与える変化はいい点も、悪い点も私たちが受け止めて行かないといけない。そして、おかしいって思った事には声を上げないといつまでもスルーされちゃうんだ。だから、いま私たち若者の声が政策に響かない仕組みになっていることに怒らないとって強く思った。

そして、強く関心を寄せないと、合理的じゃないよくわからない理由のままうやむやにされたままなのかもって焦った。

若者差別みたいな、偏見やステレオタイプの押し付けを受け入れるのではなくて、怒らないとそのまま私たちの意見は届かないままだったのかも知れない。

まだ社会には、沢山よくわからない理由でうやむやになっていることがたくさんある。
そして、それに対して怒って声をあげている人が沢山いる。引き下げに関わってくれている原告、メンバー、弁護士の方など一緒に怒れる仲間がいるのも頼もしい。

おかしくない?って言っても、「まあそれが世の常だよ、そういう理不尽を受け入れられるときが来るから」って高校生の時言われたけど、一向にその時は来そうにない。

だから、おかしいことはちゃんとおかしい!って怒りたいし、理不尽を当たり前と受け入れたくないからこれからも、仲間とともに怒っていたい。

これからもNYNJでの発信を続けるし、引き下げの応援もするし、おかしいことがあったらおかしいってこれからも言い続ける事が理不尽への自分なりの抵抗だと思う。

半分決意表明みたいになってしまったけれど、おかしいことはおかしいって言っててくれる仲間と、これからもちゃんと怒っていきたい。

そんな、パワーをもらえるすてきな裁判でした。
みんなが、怒って、おかしいことにおかしいって言えるのって大事だ!

「#未来を生きるわたしが決める」 イベントの最後に撮影した記念写真

2024.7.30
NO YOUTH NO JAPANメンバー/大学生 石田沙梨

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