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底辺の仕事がいいんです 1of2

はじめまして

メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。自分の こころを守る、自分らしく幸福に生きる、をテーマに学校では教えてもらえなかった、考え方、生き方を、真剣に考えています。

今回は「底辺の仕事がいいんです 1of2」という内容でお伝えします。

ひきこもりの方の「意外な戦略」


もう5年以上前に担当した方のコトバです。

20代男性、大学院生で、とてもしっかりされている印象を持つ、落ち着いた男性。鬱様の陰性症状を見るも、通院や服薬はしていない。

私は伴走支援という立ち位置で、ラポール形成を目指して、お話をしながら、買い物や、プラモデル作りを一緒になってやっていました。

大学院を行かなくなり、休学して2年。親御さんは非常にアカデミックな両親で、兄も研究からJTCメーカーへ。本人も非常に勉学優秀で、親御さんの期待に応えてきたが、なにがあったのか、院へ通うことをやめてしまった。

人間関係がとてもつらい

少し体育会系のような空気を持つコミニティやそういった空気や人間関係でとてもいやな思いをしたのか、集団をさけるような傾向に本人も苦しんでいて、今後の就労などに不安を感じて、将来を悲観している様子でした。


なんの仕事をしたいかを聞いた


我々支援者は「不安に繋がりうる話」はしません。

学校のこと、就職のこと、恋愛のこと、お金のこと

こういったデリケートな話は「侵襲性が高い」と評価しています。

急性期にこういった高侵襲な話は大きなストレスを伴うので、我々支援者においては、むしろ「禁句」と捉えています。

(親御さんにとって解決して欲しい困りごとがたいてい高侵襲なテーマなので依頼者である親御さんは非常に冗長でもどかしく思えるようです)

そのため「なんの仕事をしたいかを聞く」というのは、とてもとても、先にある通過点であるわけです。


当事者同士のフリースペース


しかしそんな高侵襲なテーマのトークが飛び交う場があります。それが事務所内の一角にあるフリースペースです。

ひきこもり当事者が交流をするスペースで、そこでは古株ともいえる慢性期のひきこもりの方が、気ままに集まります。

ゲームをしていたり、本を読んでいたり、会話していたりします。
もしこの様子を意外に思われるのであればこちらの記事をどうぞ。

常連たちにデリカシーを求めることは筋違い


このフリースペースの常連たちは、コミュニケーションや距離感がうまくつかめず、どこかでコミュニティからはじかれてしまった過去をもっている場合がほとんどです。デリカシーや当たり前といった曖昧な価値観は通用しません。人によっては躁状態で、悪気なくたくさん話してしまう状態の方もいます。

「このバイトマジで楽だったわ」

「SSRでた」

「こんなに薬飲んでるんだよ!」

「○○さん、かわいいよな」

支援者との交流では得られない、全く異質のエネルギーが、良くも悪くも放たれている場所です。まるで中高生のような会話が、20代30代40代の当事者においては、当たり前です。

この中で出てきたテーマが「なんの仕事をしたいか」でした。


今回は「底辺の仕事がいいんです 1of2」という内容でお伝えしました。

続きはまた投稿します。

ひきこもりには理由がある

「親がしてはいけないこと」と銘打ち「ひきこもりには理由がある」を合言葉に、いまひきこもっているひとが、いまどういう状態なのかを考えています。ひとは理由なくひきこもりません。根源的な課題解決なしに性急に回復したような状況だけを求められてしまう当事者はたくさんいらっしゃいます。その環境出力だけを達成しても予後がよくない傾向にあります。いまどういう状態なのかをきちんと考える事で、一時的な状態変化に惑わされず、いま必要なものが考えられます。
当事者にとっても、家族などの身近な伴走者にとっても、理解してほしい、一度考えてほしい内容になっています。ご一読くださいませ。

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