hike
家族と過ごす季節のあわいを綴る、歳時記。
冬が深まると、青々とした植物たちはその姿を消して 賑やかだったはずの野原は 静かで、どこか寂しいけれど 趣ある景色がそこ一面に広がる。 妊娠中も含めて、あかちゃんが産まれるまでの生活には 音楽と映画、本がずっとそばにあった。 自分の様々な面においてのエネルギー源だと言えるくらい頼りにしていたはずなのに、 あかちゃんとの生活が始まった途端に それらの一切を身体が受け容れなくなった。 嫌いになった、というわけではなく 「今は君たちを取り入れる隙間がない」という感じで。 あん
冬に向かって、冷気を深める風のこと。 この頃はまだ、ショッピングセンターのような施設で買い物していると 少し汗ばんだりして、休憩につい冷たいドリンクを選んでしまったりする。 外に出た時の、冷たい風が身体を程よく冷まし、気持ちがよい。 娘がしっかり座れるようになった頃に ほぼほぼ初めて、大きめの商業施設へお出かけした。 時折ひんやりした風がブワッと吹いて だけど日差しはたっぷりとあるのでとても気持ちの良い日だった。 娘は、普段なかなか目にしてこなかった店内に興奮気味だった
床に転がっているおもちゃを踏むとめちゃめちゃ痛い。 絶対足に窪みができたと思ったその日、上の子が帰宅早々「もしも服に火がついた時には、コロコロ転がればいいんだよ」と教えてくれた。 先生に教わってきたらしい。 「転がる」ことをぼんやり考えてた日に、「転がる」関連のことが自分の身に立て続きに起きたのでこれはここに書けってことかなと思って書き始めます。 久しぶりのコラムです。 私がこの日考えていた「転がる」は、おもちゃのことでも火のトラブルが起きた時の対処方法のことでもない。
寒い寒い冬 滑らないように、恐々少しずつ 何かにつかまりながら渡る、氷でできた橋。 でも慣れてくると滑って進むこともできるようになる。 それも楽しげに! 産後4日目くらいの夜。 急におっぱいがパンパンに張るようになった。 飲ませても飲ませても治るどころか、どんどん硬くなり、気がつけば赤くなるほどで痛みもひどい。 「乳腺炎」だった。 妊娠・出産関連ワードについては散々検索して色々と情報を得ていたはずなのに、こんなの知らない聞いてない!!という動揺と、とにかく痛くて怖い、とい
よく晴れた冬の 朝と昼の境目くらいの時間に生まれた新しい命 特別な、霽れの日 すごく晴れた透明な朝に 母の運転する車で病院に向かった。 窓の外を見る余裕はあって、道中なんとみんなで富士山を見ることができた。 霽れの日にぴったりの景色だね、なんて話しながら。 「出産」は、わたしにはとても野生的、動物的な過程だった。 痛みよりも、自分のコントロール外で自分の身体がものすごく収縮している、というのを強く感じるようなイメージで ずっとずっと昔から、もともと人間の身体に備わっている
明け方の静かな寝室 呼吸だけに集中していると 不思議とカーテンの向こうの、降っているかもわからぬ雪の声が聞こえるような気がしてくる。 明け方、寝ぼけた頭の中に冬の海のイメージが浮かぶ。 波がこちらの方に来ては、また遠ざかってゆく。 その波は、自分の身体の中で起こっているものだった。 陣痛のはじまり。 もうすぐ会えるんだ、とすぐにわかった。 静かな静かな寝室に ただ波が、近くなったり遠くなったりを繰り返している。 もし、外で雪が降っていたら 空からこちらに降ってくるまでの
冬の澄んだ空気の中では 星も一段とくっきり見える 空気も光も、冴え渡った空間では色々な感覚までもが研ぎ澄まされる。 夜に2人でゆっくり外食するのはもうしばらくできなくなるかもしれない、と言いながら、私たちはお気に入りの店でクリスマスディナーを食べた。 予定日が近づいていて、この頃はよくお腹に「クリスマスディナーとおせち料理はゆっくり食べさせてくれると嬉しいな」と話かけていたので、赤ちゃんはこのお願いをまず一つ聞いてくれたことになる。 帰り道、よく食べてほかほかになった身体
「awai saijiki」という、ちょっとした記録を綴ってみようと思います。 我が家だけの、「歳時記」を作るような気持ちで。 歳時記との出会い もともと、こどもの頃から「文字」に興味がある子でした。 小学生の頃は学級新聞みたいなのを作るのが大好きで、自分でファッション誌を作ってみたり(カッコよく言えばあれもZINE!笑)、好きなこども番組の脚本?のようなものを書いてみたりしていたのが 中学生・高校生になると分厚い教科書を手にするとニヤニヤが止まらない変人に成長。 そんな
娘が時々こんな風に質問してくる。 「いまは、朝?」 「もう、夜?」 彼女のなかでは、空が明るいときは朝で、暗くなると夜。 たまに家族でする夜の散歩が彼女は大好きで 夕方くらいから出掛け始めるとしきりに「もう夜?夜になった?」と楽しそうに聞いてくる。 せっかく空が美しくどんどん変わっていく時間帯なのだからもう少しこの景色を堪能してごらんよと思いながら 「まだもう少し、夕方」と答える。 数字は読めるけど、時計は完璧ではない彼女にとっては 「体感」が時間のほとんどすべてで そんな時
hikeでまず最初に販売することになった、イエローナイフのグラノーラ。 いつもお店に入ると、入って一番すぐのはじっこ パンがずらっと並ぶ(いや並んでいたのは幻だったのかなってくらいいつの間にか無くなってるときありますよね…)ショーケースの隣に無造作に置いてある、あの子たちです。 パンが売り切れちゃってる時間帯でも ふとこの場所に目をやって、「あ〜グラノーラには会えた、よかった!」とおっしゃってくださるお客さんの声を聞くとめっちゃ頷きたくなる。 わかる、嬉しいよね!と。 この
hikeは、イエローナイフのパンやグラノーラはもちろんですがわたしたちが「これは、とっておきのものだ」と思って選んだものも 販売、発信していきたいと思っています。 選ぶこと、 これは多分、hikeにとって重要なキーワードの一つになっていくと思います。 みなさんは、生活の中でいろーーーーんな物事をどうやって「選んで」いますか?というか、選ぶことについて真剣に考えたことはありますか? わたしは正直、こどもが生まれるまで日常生活の小さな選択はあまり考えもせずスパスパと決めてきたよ
はじめまして、hikeです。 hikeは、BAKEHOUSE YELLOWKNIFE が「とっておき」を発信するオンラインショップです。 この店名は「hiking」から連想してつけました。 ハイキングをしているときって 普段よく見えていないものを発見できたりしませんか。 可愛い野花や、あまり見かけないへんてこな虫 あと、葉の香りも強く感じ取れたり。 こどもがいるわたしたちは 土を踏み締めるこどもの横顔、表情なんかもきっと嬉しい発見になる気がします。黙々と足を進めていたら、