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受心した青年のこころ⑦「ありがとう」


真相を、まだ、夫から知らされないままだったころ。

夜中の散歩の人影を感じはじめてまがなく、わたしは、社長から頂いたお祝い金へのお礼の電話をかけたくてしたかないでいた。

しかもアルバイト先の社長の奥さんが電話にでる、ありき、で。


信じられないほど、奥さんに「ありがとう」を言わずにはいられないでいた。

「ありがとう」と伝えたい、と思うだけで涙がでた。


あんなに苦手な電話なのに。

お礼の電話はいらない、と言われているのに。

わたしは社長の奥さんに「ありがとう」を伝えたくてたまらなくなっていた。涙をともなって。


なぜ?

そんなに今回のお祝い金が嬉しいの??

いや、嬉しすぎでしょう苦笑  


でもかけたい!

「ありがとう」と強く強く言いたい!

そしてなぜ涙がこみあげてくるの?

なぜ?


わたしは、事情を夫から知らされていないので毎日電話の前で悶絶する。

ただ、「ありがとう」を言いたいだけで。

そんな日々を過ごしていた。


つづく


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